第12話 燃えよ魔神
突如現れた魔神、ソウトゥース。
「カヅチ・タケミィッ!!お前ってやつをオレに教えてくれッ!!!」
こうして魔神ソウトゥースとタケミの戦いが始まった。
「行くぞおおッ!!」
タケミはソウトゥースに向かって走りだす。
「シャッッ!!」
するとソウトゥースは自身の腕を擦り合わせ火花を起こした。
その火花は大きくなり一瞬でソウトゥースの全身を包む。
「ハハハッ!!おれはよぉ体が温まるまで時間がかかるタイプでなぁ、こうすると最初から温まって戦えるんだ!お前は強そうだからなッ!!」
炎が全身を包んでいるというのにソウトゥースには一切ダメージが無いようだ。
「温めるってそうじゃないだろッ!!」
タケミの後ろからネラがつっこむ。
「行くぜッ!!」
ソウトゥースの両腕にある無数の関節が伸展され、弾丸のような突きが放たれる。
「っとッ!」
タケミは伏せて攻撃を避ける。
「うおッ!!さっきよりも速えぇッ!!」
「ただ腕を伸ばすだけでこの威力ッ!?」
ネラとユイもその攻撃を避けきれず、武器で受ける。
「そおら足もだッ!!」
今度は足を突き出すソウトゥース。
「ぐっ!!」
タケミにその攻撃が直撃。
(この攻撃、軌道が読みづらいッ!!)
突き攻撃はそのスピードもさることながら、軌道を幾度も変えてくる。
「ウラァッ!!」
食らった足を弾き返すタケミ、彼の身体には少しばかりの切り傷程度しかついていなかった。
タケミはソウトゥース目掛け突撃する。
「おお!!!これでも耐えちまうかッ!!最高だぜっ!!」
ソウトゥースは何度もタケミに向かって突きを放つ。
しかしタケミの肉体を傷つける事は出来ても、貫くには至らない。
攻撃を受けながら距離を詰めるタケミ。
「ッ!!!捕まえたッ!!」
最後にソウトゥースの腕を掴むタケミ。
その腕を思いっきり自身の方へ引き寄せる。
「うおおッ?!」
引っ張られたソウトゥースがタケミの元へと飛んで行く。
「ウオオオオラァッ!!」
タケミの強烈な一撃。
ソウトゥースはそれを食らい地面へと叩きつけられる。
「すげぇ破壊力だ……!」
地面に衝突したソウトゥースだがすぐに体を翻して起き上がる。
「やっぱりか、あいつと同じ……腕だけでなく体にも関節がいくつもあるんだろ?それを動かして衝撃を分散させたな」
「お前のパンチすげぇスリルあったぜ」
ソウトゥースには大してダメージが無いようだ。
「あいつの甲殻、既に私達の武器じゃ全然傷つけられねぇ硬さだな」
「あんな炎を纏いながら戦えるってことは炎への耐性も高そうだね、その上高い打撃耐性のある体の構造……あの突き攻撃もシンプルだけど厄介だし」
タケミ達とは少し距離を置いた場所にいるネラとユイは改めて相手の強さを実感していた。
「ユイ、魔法は使えるか?」
「この街ではそんな大規模なのは無理だけど、出来るよ」
二人はお互いをみて頷き行動を始める。
「お?今度はうしろの二人もか?」
「悪いが命賭けてるんでねッ!!」
跳び上がったネラが両手の鎌が黒い煙のようなものを纏う。
「デス・バイトッ!!」
彼女の鎌から三日月状の黒い物体が放たれた。
「おおお!かっこいいなッ!」
飛来してくるネラの攻撃に向かってソウトゥースが突きを放ち打ち消す。
「おい、なんだよバイトデスって、技名?」
「ちげーよ!デス・バイト!死神の技っぽくてカッコイイだろッ!」
「えー、安直じゃね」
ネラの技名について二人が話す、ネラのセンスはそういう感じらしい。
「斬り裂け、フルグル・グラディウスッ!!」
そんな話をしている二人をよそに、ユイは魔法で生み出した雷の剣をソウトゥースが伸ばした腕目掛け放つ。
「おっ!!」
雷の剣はソウトゥースの関節を斬り裂くことに成功。
彼の左腕が地面へと落ちた。
「よし!」
思わずガッツポーズを取るユイ。
「へぇー!お前魔法使いか!すげぇな!おれのこの炎は生まれつき使えるもんだからまた別だけどよ、雷と炎使える奴って珍しいんだろ?バアル様が言ってたぜ。さっきの黒い攻撃といい、今日は面白れぇやつに出会いまくれる良い日だぜぇ~」
腕を切り落とされたにも関わらず嬉しそうに話すソウトゥース。
「だがこれじゃあ戦いづらいな、よっと」
そう言って彼は左腕を生やした。
「えっ?!」
「よーし、これでいい!」
生えた腕を軽く動かす。
「待たせちまったなっ!!さあ!もっとお前らをオレに教えてくれッ!!」
「うっそ!そんな簡単に?!」
「再生能力も段違いだな」
ユイとネラが驚く。
「……」
「タケミ?おいタケミッ!って熱ッ!?」
何やらボーっとしてたタケミの身体を小突こうとして手を伸ばしたネラ。
彼の身体に触れると異常な熱を感じ、手を引いた。
「え?ああ、わりぃ」
「おまえどうしたんだよ、この熱!つーかなんかお前赤くなってねぇか?すげぇ汗かいてるし」
ネラの言う通り体は赤くなり熱を発し、タケミは多くの汗をかいてた。
「気にすんな、それよりも今はアイツに集中しねぇと」
タケミは少しふらつきながらも相手に向かって進む。
「え、どうしたの?タケミ足元おぼつかない感じだよ!!」
(もう少し調整しねぇと、上げ過ぎた)
タケミは息を深く吐いて走る。
「さぁッ!!お前をもっとオレに教えてくれッ!強烈によぉッ!」
ソウトゥースは突きを繰り出す。
タケミは攻撃を受けながらも相手へと着実に距離を詰めていく。
だが最初に比べ攻撃を避けきれずに被弾が多い、まだ意識が朦朧としているのだろうか。
(まだだ、まだ高い、もっと下げねぇとッ!)
相手に近づき、拳を叩き込むタケミ。
「お!なんだ急にさっきまでの動きに戻ったな!」
ソウトゥースは攻撃を回避してそう言った。
(違う!下げ過ぎた!これじゃあこいつは倒せねぇんだ!)
タケミは再び相手との距離を詰める為走り始める。
「フゥ―ッ!!」
身体が再び赤くなり熱を発し始める。
「なに?!」
次の瞬間、距離を取った筈のソウトゥースの懐にタケミは潜り込んでいた。
(ここだァッ!!!)
先ほどよりも速く、鋭い彼の一撃がソウトゥースの顔面を捉える。
「今の……?!ハハハッ!」
殴り飛ばされながら笑うソウトゥース。
「なにあれ!タケミスゴイ動きしてたよね!?」
「さっきから体が赤くなったり、どうなってるんだ?」
「フゥ―ッ」
息を吐くタケミ。
彼の身体は赤くなり、蒸気を上げていた。
「スゲェな!オレと同じように体を温めたのか!だが人間はそんな体温に耐えられるのか?熱病だなんだっていう奴と同じぐらいの体温じゃねぇか?」
起き上がるソウトゥース、今度は彼の顔の外殻にヒビが入っていた。
「心配してくれるのか、ありがとな。だが大丈夫だ、調整済みだしだいぶ慣れて来た。この体温でも視界も意識もハッキリしてるぜ」
タケミは口角を吊り上げた笑顔で答えた。
心底嬉しそうな顔だ。
「やっぱり世界は広いんだな。自分の身体に火を付けて強くなる奴がいるなんてよ。そんなお前に会えたからおれはもっと強くなれた」
「ハハハッ!!それならもっと面白いもの見せてやるよ」
ソウトゥースは笑い、そして口から黒い煙を吐き出す。
煙は彼の腕を包んだ。
「ん?今度は何するんだ?」
「いくぜ!しっかり構えろよ!ブラストスピアッ!!」
ソウトゥースはそう大声をあげると彼の腕を包んでいた黒い煙が大爆発を起こす。
そして、次の瞬間タケミは血を吐いて宙を飛んでいた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます