No.7 襲撃者と転校生の追いかけっこ
「貴女を障害とみなし排除します」
ユキチカ達を襲った三人の一人がそういって武器を構える。
「そう簡単にやられてやんないよーだ」
「ジーナ楽しそう」
構えるジーナを見てユキチカは彼女がどこか嬉しそうにしているのを感じた。
「来るよ!」
相手の三人は一斉に飛びかかってきた。
「おっと」
「はやいねー!」
「うわー!」
相手の攻撃を避けるユキチカ達。
散らばる形で跳んだ彼らは敵と一対一で向き合う形になった。
「いざ……」
ジーナが構える。
「鬼ごっこ?ぼく逃げればいいのね」
ユキチカは相手の前で屈伸などストレッチをした。
「あの!私は皆様ほどこの事態に前向きになれてないのですが!?」
ジーナが勢いよく相手に跳びかかり蹴りを繰り出す。
相手は攻撃を受けながらも、構わず電気が流れる警棒を振り回した。
(全然効いてる感じ無いな、結構いいの入ってるのに)
相手が振り下ろして来た警棒を避け、相手の腕を掴む。
「そーれっ!」
攻撃の勢いを逆利用し、相手を投げ飛ばすジーナ。
「初対面の人にこういうの失礼なんだけど、重くない?骨格と筋肉量とかからみて明らかに重いんだけど。ひょっとして服の下に鉄板とか入れてる?それともご飯食べすぎた?」
彼女の質問に答える事なく相手は立ち上がり、攻撃を再開する。
「あれ、ひょっとして怒っちゃった!?」
「あははは!鬼さんこちらー」
その頃ユキチカは走り回って追いかけっこをしていた。
「ユキチカ様!!」
と同じく為す術もなく逃げ回るウルル。
「ウルルも鬼ごっこ?」
「違います!全力で逃げ回ってるんです!」
「うーん諦めてくれないねー。じゃあ」
するとユキチカが急に立ち止まり振り返る。
「とうっ!フライングアタックッ!」
彼は後ろから走ってきた二人に対して身体をぶつけるように飛び込んだ。
勢いよく衝突し、そのまま二人を下敷きにする。
「凄いですユキチカ様!一網打尽です!」
ウルルが喜ぶ、だが
「目標を確保」
「わー捕まったー」
相手二人にロープでグルグル巻にされるユキチカ。
「ユキチカ様ァァァァ!?」
捕まってしまったユキチカをみてウルルは叫ぶ。
「何やってんの!?もう!」
ジーナが助けに行こうとすると相手に邪魔をされる。
「ちょっとどいてよ!」
「ユキチカ様!貴女達離しなさい!」
ウルルが相手に掴みかかるがウルルは蹴り倒される。
「邪魔をしないでください」
相手が地面に倒れるウルルに冷たく言う。
ウルルをみてユキチカが口を開く
「……なにしてるの……?」
「ユキチカ様……?」
倒れたウルルが見上げる。
「……ダメ、ウルルをイジメないで」
彼はロープを内側から千切った。
「捕縛対象の危険レベルが上昇。無傷での捕縛は不可能と判定、行動不能にします」
二人はユキチカに向け警棒を振りかざす。
「いみないよ、これ」
次の瞬間、彼は振り下ろされた警棒を掴んでいた。
彼は電気ショックを受けるも効いている様子はなく、二人の顔を掴む。
相手は警棒で殴りつけてはいるが彼はビクともしない。
「わるい人とはもう遊んであげないっ!」
そして彼は二人を持ち上げ、地面に叩きつけた。
そのあまりの衝撃にアスファルトの地面が大きくひび割れた。
「なんて、パワー……お相手生きてる?」
ジーナがそういうと相手はぎこちない様子で立ち上がる。
「うっそ」
「貴女達は……そんな!」
ジーナとウルルが立ち上がった相手を見て驚く。
「損傷……甚大、作戦の……継続…不可」
相手の右頬部分から銀色の骨格が露出、腕なども同様に金属質の骨格やケーブルが露わに。内部から電気がバチバチ音を出しているのが聞える。
それは明らかに人間の内部とは違ったものだった。
二人はドサッとその場で倒れた。するとジーナと対峙していた最後の一人がジーナ向かって走り出す。
「本作戦の失敗を確認。対象を変更、脅威となりうる可能性を排除します」
相手の両掌から刃物が突出。
ジーナに襲いかかる。
(なるほど、軽く小突いた程度じゃ効かない訳ね。じゃあ思いっきりやるか)
ジーナが深く腰を下ろして構える。
襲いくる相手を迎え撃つ気だ。
(私に向かって一直線、これなら当てられる)
深く息を吸う。
(ここだッ!!)
向かってくる相手目掛け拳を放つ。
衝突の際に金属同士がぶつかったかのような音が。
胴体に直撃を受けた相手は後方に大きく跳んだ。
そしてそのまま地面に倒れ、機能を停止した。
「これで、終わり……かな?」
「はい、完全に機能停止しております。おつかれさまです……ふぅ」
ジーナとウルルが倒れた相手を確認し、動かないことを確認する。
「今日もありがとねジーナ!」
ユキチカがニッコリと笑ってそう言った。
「え、ええまあ。どういたしまして。というかこの人たちは」
ジーナはそう答えて目の前に倒れているアンドロイド達に視線を戻す。
「アンドロイドです。ですがこれほどまでの武装を、どうやって?」
「確か法律でダメなんだよね?」
ウルルはジーナの問いに答える。
「はい、私達は武器の使用及び所持が出来ないようプログラムに組み込まれています。ですから本来は武器を手に取る事すら不可能なのです」
「あれ?でもウルルちゃん料理しないの?包丁とかはセーフなの?」
「私のように男性におつかえするアンドロイドのみ、活動に必要な道具を予め登録しています。その他のアンドロイドは調理等に使用する機械を管理しているだけです」
ウルルの説明をうけてジーナは頷く。
「この人たちずっと見てた。遊びたいのかなって、学校のみんなみたいに。でもウルルのことイジメた。イヤな人だった」
ユキチカの話を聞いてウルルが申し訳無さそうな顔をした。
「ウルルの新機能試せなかった、ちょっとザンネン」
「新機能?そんなのあるの?」
ユキチカの発言を聞いてジーナが尋ねると
「あるよ!ウルル、防衛モード!」
彼の声に反応するようにウルルの右人差し指が変形。
「えっ、えっ!?」
「ビリビリショット!」
ウルルの指先から壁に向かって電気が流れる網が射出された。
「新機能!でもこの人たちには効かないだろうね。もっと出力あげてみよーっと」
「こんな機能、カタログに一切記述ないのですが!?というかお話聞かれてました?!アンドロイドの武装は法律固く禁じられているんです!」
自身の指をみて慌てふためくウルル。
ゴトンッ!
ウルルがちょっとパニックになっている後ろで、重量感あるものが地面に落下する音が。
「ん?」
「ユキチカ様?」
二人が音がしたユキチカの方を振り向く。
そこにはユキチカの左腕が地面に転がっていた。
「あ、とれちゃった」
ユキチカは腕を拾い上げ元の場所に取り付ける。
彼を見つめて固まっている二人を見てユキチカが笑って言った。
「うん!ぼくのカラダも機械なんだー」
「「えええええ!!!!」」
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