[六日目 10時24分・現実世界]
高橋圭太郎の肉体は、病院のICUにあった。当然、その状態は常に監視され、その情報は常にモニターに表示されている。
最先端の設備がなされていたがゆえに、その病院では、かならず視界のどこかに画面があった。
そこを『運営』はついた――と考えられている。
その瞬間のことは誰も覚えていない。
だが、高橋圭太郎の様態を見守っていた病院内全ての人間が、一斉に気を失ったことは一部だけ機能が残されていた監視カメラに記録されている。
家族も、医師も、看護師も、詰めていた研究者も、警備員も、全てが同時にゆっくりと崩れ落ちた。
その五秒後、高橋圭太郎は心肺停止となった。
警報音は発せられない。中央管理室を含め、他のフロアの人間は誰一人として気が付かなかったと証言している。
『運営』のメッセージを見て、本部から、そして病院にいる各国の人員にはそれぞれの国から連絡が入ったがいずれも不通となっていた。
本部長である竹内は近くにいる予備の人員に連絡を入れるように指示を出したが、それらにもつながらない。竹内は近隣の警察に独断で連絡を入れた。派遣を要請したもののそれらは残念ながら間に合わなかった。
心停止の時間は十五分に及んだ。
その後、現場にいた全ての人が、呆けたように頭を振りながら立ち上がった。
状況を把握したのち、ただちに行われた懸命な心肺蘇生の措置は効果をあげることはできなかった。
そして。
高橋圭太郎の死が、確認された。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます