-12- 合宿

美術部にも、夏休みの合宿がある。

部員たちが、バスに乗り込んでいく。

「合宿って、どんなことをするんですか?」

と、新入部員の梓ちゃん。

「主に文化祭用の部室の装飾を作ったり、おしゃべりしたり、お菓子食べたり、スイカ割りしたり、花火したりかな」

と、部長。

「めっちゃ楽しそう!」


貸切バスの中で、部長が声をあげる。

「合宿の行程なんだけど、初日の今日は思いっきり遊んで、二日目に作業することにしたから。三日目は、朝飯食べたら帰りのバスに乗る。」


合宿の宿舎に、部員たちの声が響く。

「前。前。右で。アタック!」

「こら、俺じゃなくてスイカにアタックしてくださいー」

「わっ。部長じゃないですか。ごめんなさい!大丈夫でしたか?」

「ギリギリね」


「部長、スイカ半分じゃないですか」

と紗良が言うと、

「俺はスイカ割りに命をかけたからな」

と、なぜか得意げな部長。

「それにしても、大きさがまちまちですねー」

梓ちゃんが、

「木村先輩、私とスイカのかけら交換こしてくれたんです。尊すぎる……」

と、しみじみとしていた。

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