-10- 探り
2-B教室では、英語の授業が行われていた。いつものように、生徒たちは寝ていたり、髪をいじったりしている。石黒芽衣担任は、この授業の教師だ。
「はい、みなさん、Wake Up!」
「メイ先生、英語の発音がメイ先生みたいになるにはどうしたらいいですか?」
「英語をたくさん聴いてください!」
「アメリカ人の彼氏とはどんな感じですか?」
「え、なんで知ってるの?」
「その噂、本当だったんだ!」
「しまった!」
生徒と石黒担任の雑談で、授業は大渋滞だ。
チャイムの音が鳴る。
「はい、That’s all for today! ね!
次、体育でしょ!早く準備して!」
石黒担任が教室を出ると、木村の隣の席の生徒が、木村に声をかける。
「今日の石黒もキャラ強かったなあ」
「いいと思うよ」
と、木村。
「え、お前石黒好きなの?」
「え、木村くんメイ先生好きなの?」
と、紗良。
「どうして」
と、木村が言うと、隣の席の生徒が、
「だってそうだったら面白いじゃん」
と、返した。
「違うよ。」
と、木村。
「じゃあ、誰が好きなの。」
高橋と木村は、急に紗良が言った言葉に、静かになった。
「あ、なんでもない。忘れて!体育の準備しなきゃ!」
紗良は、走り去って行った。
「佐藤って、意外と切り込んで来るのな。なあ、木村。」
その後も、撮影は、順調に進んだ。授業中も木村はカメラを回しているが、もはや誰も注意しない。ここまでくると、誰も止められないんだなと、紗良は羨ましさとともに、納得をしていた。
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