狂依存

王水

囚われたのは

ある日、私の心は天使に囚われたのだ。


―――あれは酷い嵐の夜だった。

雷雨の中、見張りの応援へ駆り出された私は海上で妙な光景を目の当たりにした。

3海里ほど離れた岩礁一点に、辺りの雷が全て誘われていたのだ。

怪訝に思い眼を凝らすと、人影のようなものが長い金属棒を持ち、蹲っているではないか。

他の大陸から来た敵だとすれば、雷を統べる能力は我が大陸にとってこの上ない脅威。私は更なる応援を要請した後、偵察すべく単身で海へ潜った。

標的との距離が1海里ほどになった時、敵の姿が鮮明に見えるようになったが、その正体は年端も行かぬ少年のようだ。

読唇するに、少年は自分の置かれた状況を飲み込めていないらしい。敵である可能性は低くなったが、素性が分からない内は警戒するに越したことはない。私は嵐の騒音に紛れ少年の背後を取り、幻術を使った。


先ずは落ち着かせた方が良いだろうと、静かな環境を作ってやる。


「え……?えええっ……!?」


先程までの荒れ狂った海の姿から一転、長閑な晴れ渡った空の下、凪いだ海の様子を見て、少年は混乱を隠しきれないでいる。

勿論、ただの幻術であるので、実情が変わった訳ではないが、彼には突然信じられないことが起こったように感じられるだろう。


「少年よ。」


「ひい!?どどど、何方ですかあ!?」


「私はこのオーストラリア大陸の最深海層を護る者だ。お前はここで一体何をしていた?応えなさい。」


「さ、さいしんかいそう……!?ぼ、僕は目を開けたらこんなところにいて……わけも分からず波と雷に打たれて……、ううっ、どうしてこうなったのか僕が聞きたいくらいなんですうう、助けて下さいい!お家に帰りたいよお!」


そう応え、崩れ落ちる少年。

敵意の欠けらも無い様子に拍子抜けしていると、先程呼んだ応援の軍勢がこちらに向かってくるのが見えた。討伐には至らないような者だが、恐らくこのままでは私の制止が届く前に命を奪われて仕舞うだろう。


「致し方ない。少年、死にたくなければ私に付いてきなさい。」


私は少年に手を差し伸べた。


「へ……?し、死ぬ!?死ぬんですか!?お、お願いします!助けて下さいい!!」


泣きじゃくりながら私の手を取った少年を、私は半ば拐うように自室まで連れて行った。


「はぁっ……はぁ……!ゲホッ…ぜえ、はぁ……ッぉえ……。」


少年は嗚咽混じりの呼吸をしながら青い顔をしていた。

水圧の影響を受けないよう術はかけたものの、簡易的なものだったため、身体への負担は大きかったようだ。


「手荒なことをした。すまないな。」


背中を撫でてやると少し落ち着いたのか、少年が呼吸を整えながらこちらを見上げた。


「い、いえ、助けてくれたんですよね…っ、ありがとうございます…。えへへ、命の恩人です……。」


言いながら、へらりと笑顔を作って見せた。


その時、稀有な感情が私の中に渦巻いた。


幸の薄そうな頬の色。

少し汚すだけで濁りそうな澄んだ眼。

描いたようにはっきりとした眼瞼裂。

それを歪ませながら作る意地らしい表情。


それら全てが私の鼓動を速めた。


「……少年よ、名は何という。」


これまでに無い高揚感を抑え、言葉を捻り出して名を問うた。


「僕……、僕は編李です。」


「アミリイ……。」


「は、はい。貴方は、えっと。」


「……シーサーペントだ。」


「しいさあぺんとさん……?よろしくお願いします!」


「ああ……、宜しく頼む。」


―――これが私と天使アミリイの出会いだった。


それからと言うもの、私はつばさが傷付いた彼を自室に匿い、身の回りの世話や手当てをしてやった。


「アミリイ。身体の調子はどうだ。」


「はい。随分良くなりました!しいさあぺんとさんのおかげです!」


「そうか。良かったな。今日の夕食はシチューだ。食べられるか?」


「わあ、クリームシチューですか?美味しそう。大好きなんです。」


「そうか。熱いから気を付けて食べなさい。」


「もう、また子どもみたいに!フーフーしたら食べられます!」


他愛ない会話をしながら食卓を囲むこの一時が、自分を信頼し優しく微笑む目の前の天使が、いつしか心の拠り所となっていた。


カラン


アミリイは持っていたスプーンをゆっくりと皿の上に置き、目を擦りながら口を開く。


「ふああ…、あはは、また、ご飯を食べたら眠くなって来ちゃいました…。本当に赤ちゃんみたいですね…。」


恥ずかしそうな笑みを浮かべ、溶けそうな眼を必死に開こうとするアミリイ。


「傷を癒すには体力がいるものだ。今日もゆっくり休むといい。」


傍に行って立たせてやると、殆ど倒れ込むように胸の中へおさまった彼を抱え、寝室へ運んだ。


―――そのような日々が1ヶ月は続いただろうか。

アミリイのつばさは未だ回復には至っていなかった。


「アミリイ、体調はどうだ。」


「あ…あはは、そうですね、もう以外は何とも無いんですが…、すみません、治すのにこんなに長くかかってしまって…。迷惑、ですよね…。」


アミリイは不甲斐なさそうに眼を伏せた。


「気にするな。迷惑などと思ったことは無い。」


「でも、こんなにして貰ってるのに、全然治らなくて、僕…。」


下睫毛に大粒の涙をためながら、小刻みに震える様子を見て、思わず抱きしめる。


「しっ…しいさあぺんとさん!?あ、あの…!?」


突然のことに眼を丸くして赤くなっているアミリイに、大丈夫だと囁いた。


「気に病むことは無い。いつか必ず治るはずだ。私も協力しよう。」


「…っ、ありがとうございます…。」


アミリイの細い指が、ゆっくりと背に添えられた。


―――それからまた数週間が経った。


アミリイは浴室で泣いていた。


「どうしよう。」


「どうしよう、このまま治らないのかな。」


「お家に帰れない。」


「しいさあぺんとさんにも迷惑かけて。」


「やだよお、治ってよお。」


嗚咽混じりの嘆嗟に、かける言葉は見つからず、私は扉の前でただただ立ち尽くしていた。


そして、彼が私の部屋へ来てから半年が経ったころ、あまり眠れなくなったと言う。


「これまでは晩御飯を食べたらすぐに寝ちゃってたのに、最近何だか寝つきが良くないんです。小さな物音でもすぐ起きてしまって…、あはは…。」


「……そうか。おかしいな…。ゆっくり眠れるよう、添い寝でもしてやろうか。」


「え!?しし、しいさあぺんとさんに添い寝させるだなんて!ダメです!恐縮すぎます!」


「…そうか。」


しかし、それからアミリイのつばさの傷は回復へと向かった。

同時に、彼は明るい笑顔も取り戻していった。


「しいさあぺんとさん、見て下さい!これならもう、飛べそうです!自分でお家にも帰れます!!」


「そうか。良かったな。帰り道は分かるのか?」


「たぶん…この前の岩のところ…きっとあそこに行けば何か分かると思います!しいさあぺんとさん、連れて行って貰えますか…?」


「…ああ。勿論だ。」




―――喜ぶべき日だろう。あれだけアミリイが待ちに待った帰還の日だ。


「あ、しいさあぺんとさん!あれです!見えてきました!あの岩…!」


祝福してやらねば。

笑顔で送り出し…。


いや


うまく、演出してやらねば―――。


ぐにゃり


『え?』


これは、どうしたことか。視界が歪む。

アミリイの声は重なって聞こえ、次第に遠のいていった。



―――ふと、喧しく騒ぐルサールカとクルウルウの声で目が覚めた。


「だから、その男は何処に消えたと言うんだ?」


「知るか。岩に空いた穴の中に吸い込まれちまったんだとよ。」


何の、話だ…。


「ん…?おい、シーサーペント。起きたか。お前なぁ、会議を放ったらかして地上にお散歩かあ?ったく、イービルアイってのはそんな輩しか居ねえのか!」


クルウルウに襟首を捕まれ、責め立てられる。


「……ここは、医務室か…?おい、アミリイはどこだ。」


「はあ?アミリイだあ?……もしかして例の男のことかあ?倒れたお前のそばに居たから敵だと判断したジョゼリアがぶち抜いたって話だが、穴に吸い込まれて消えたとかで死んだかどうかは分からないらしいぜ。」


それを聞いて、我が耳を疑った。どういうことだ。私のアミリイが?


「…………打たれた………………だと?



貴様、アミリイをよくも"」


「ああ"!?んだよ、俺じゃねえって言ってるだろうが!!耳ついてんのかボケ!」


クルウルウと互いに掴みあった時、リヴァイアサンが双方の腕を抑えた。


「まあ、落ち着きたまえ、君たち。」


腹に響く低音と強制的に宥めるような圧力。

しかし、それを以てしてもアミリイを失った今、心を落ち着かせるなど出来るわけがなかった。


嗚呼、私の…、私のアミリイ。

私の天使を…テンシヲカエセ。


「…その様子からすると、そのアミリイとやらに随分入れ込んでいたようだね。シーサーペント。」


「……。」


私は肩で呼吸をしながら、リヴァイアサンの方を見る。


「前からおかしいとは思っていたよ。日に日に生気を失っていく君を見ていてね。


…能力を使い続けていたな。」


「…………。」


「疲労の仕方から、数週間と言わないくらいか…。自室の中程度の狭い範囲だからもっていたものを、地上などに出たから力が尽きたのだろう。………君が死ななくて良かったよ。その能力の使い方を誤ってはいけない。」


岩場にあったあの穴。なにか妙な気配と、アミリイと同じ匂いを感じ取っていた私は、あそこからアミリイがここへやって来たのだと悟っていた。しかし、また無事戻ってこられるのかも分からない穴にアミリイを送り込む訳にはいかない。岩を調べて何も無いと分かれば、アミリイも晴れて私と一緒になる道を選んでくれるはずだ。そう思って能力を使った末の悲劇だった。


「…………愛、故に…。」


「……君はその愛を盲信している。悪いことは言わない。彼のことは諦めなさい。もう見つかることは無いだろう。はこの世界のものでは無い。」


その後、私は例の岩礁に入り浸るようになった。もしかしたら、また会えるかも知れない。

そんな希望を捨てきれないまま、半年が過ぎ…


その日は突然来た。

初めて会った時と同じような嵐の夜。

雨が激しく波を打ち、雷が幾度も空を裂いた。

私の目の前に大きな雷が落ちたかと思うと、そこにいたのは。


「―――……アミリイ」


「……えへへ、お久しぶりです、シーサーペントさん。」


天使が私の元に還ってきたのだ。



―――それから、またアミリイは私の元を頻繁に訪れるようになった。前のように一緒に暮らすという訳にはいかないが、会えるだけで私は満たされた。


ある日、アミリイが恥ずかしそうに口を開いた。


「明日は、一日お休みをもらえたんです。


……シーサーペントさんのお家に、また行きたいな……なんて。」


それをきっかけに、またアミリイは私の部屋へ訪れるようになった。


「この前、村椿くんっていう一緒に住んでいる男の子に、変なこと言われたんです!僕一日しかお休みもらってないのに、村椿くんったら5日も居なかっただなんて、おかしいですよね!?あはは」


「……何かの思い違いかもしれないな。」


「絶対そうですよお!」


一緒に住んでいる者がいるのか。気を付けなければ。


いや、それなら、いっそ……。


聞けば、アミリイの世界ではいつ死ぬかも分からない環境で妙な子どもに扱き使われ、アミリイもうんざりしているようではないか。そんな所に居るよりも、私の所にいた方が彼は幸せになれるはずだ。


騙してなどいない。これは彼が罪悪感を感じないよう、少し事実を隠しているだけだ。彼の幸せのため…。


―――幸せな時というのは、すぐに過ぎ去って仕舞うもので、気付けば1月が経っていた。

アミリイはもう、故郷などただの夢だったと知り、自分は私のものだとしっかり理解している。


「アミリイ、一人にしてすまない。今日は外せない会議がある。すぐに戻ってくるから、いい子で待っていてくれ。」


「はい、分かりました!寂しいけど、ずっと待ってます…すぐ、戻ってきてくださいね。」


嗚呼、可愛いアミリイ。

何も知らず、純真で、可哀想な私の天使アミリイ



その夜、私はいつも通り自室に帰り、アミリイと夕飯を食べ、床につこうと席を立った。


ぐらっ…


「ぉ…?」


突然目眩に襲われ、立っていられなくなった。

跪く私にアミリイがかけ寄りぶつぶつと何かを呟いている。


「……が、……ですよ……。ぐすん」


……?泣いているのか……?薄れる意識の中、私はアミリイの手を握る。



―――手足に妙な違和感を感じて目が覚めた。


ガチャリ


「……?これは……。」


手足に枷が嵌められている。ここは…何かあった時の為に作っておいた監禁部屋ではないか?

何事かと解錠を試みるも、この枷が簡単には外れないことは私が一番分かっている。それに、倒れた影響か、まだ体がうまく動かせない。

……しかし、誰がこんなことを。

思考を巡らせていると、ギシリとベッドが軋んだ。


「おはようございます、しいさあぺんとさん。」


「………ア、ミリイ。」


驚くべきはその淫らな服装。


「待て、どうしてそんなに衣服が乱れている…?まさか誰かに」


「ち、違います…!僕が、こんなことしてもいいって思うのはしいさあぺんとさんだけです!」


「……まさか、アミリイ、これも君が?」


アミリイの顔に目をやると、恥と罪悪感を含んだような表情をしていた。


「……しいさあぺんとさんが、悪いんです。」


「私が…?何を……"ッ!」


突然、アミリイの手が私の股を這う。


「ぼ、ぼくっ…しいさあぺんとさんが、僕だけを愛してくれてるんだと思ってたのに…っ」


「待て、一体何を言っているのかッ…ぐッ♡///」


「僕が、……僕が何も出来ない臆病者だから、ダメだったんですか…?だったら……///」


言いながら、スラックスの中に手を忍ばせ、直接刺激を与えてくる。

……ダメだ。天使がそのような淫らなことをしてはいけない。穢れを触るなど。


「やめ"ッなさい…///これ以上は、ッ♡ハァ♡」


「でも、しいさあぺんとさんのここ、嬉しそうじゃないですか…///」


アミリイの手の動きが早まり、その可愛らしい舌が穢れに近付く。


「ま…ッッ…何を"ッ////」


「僕だって、もう子どもじゃないですッ…♡///」


ぢゅぷッ♡♡♡♡


小さな口を使って必死に咥え込み、舌を動かすアミリイ。


「ぐッッッぉ"ッ…♡////」


ぬるるるッ♡♡♡ぐぷっ♡♡ずぷぷッ♡♡♡


「ん"ッ♡♡ふ、ぅ"……ッ♡♡♡///」


「フッ…♡くッ…♡♡♡///」


何たることか。あれだけ私が欲望を抑えつけ護ってきたアミリイの純潔が崩れ落ちていく。


「ッッッ…アミリイ、ダメだ。君がそんなことをしては…////」


「…………どうして……?あんなに、僕のこと、愛してくれてたじゃないですか……ッ」


そう言ってアミリイは徐にあるものを見せてきた。


「は……ッ何故、それを……。」


それは私のだった。

中身は…。


「これ……僕の羽根ですよね…中々治らなかった、傷口の……。しかも、幾つも。」


息を飲んだ。何故。厳重にしまい込んでおいたはずだ。


「それにこの睡眠薬…随分使われてて、最後、しいさあぺんとさんに使ったから、もう無くなっちゃいました…晩御飯を食べてすぐ眠くなっていたのはこのせいですよね……。」


全身から妙な汗が吹き出る。


「全部……全部分かってました……。僕に幻覚を見せて、5日を1日に見せかけたり…、僕の故郷が夢だなんて言って、あの岩を無かったことにしたり、……全部。」


―――終わった。完全に幻滅されただろう。

それで、彼は、この天使アミリイは私をどうするつもりなのか。

天使を騙した愚かな者には天罰が下るのだろう。

しかし、彼に殺されるのなら、それも悪くは……


「それでも」


彼は、言いながら自分のに私のものをあてがった。


「それでも、……僕は、良かったんです…

しいさあぺんとさんに、愛してもらえるならッ…♡一緒に、居られるなら……ッッ♡♡♡♡////

幸せだったんです……ッッッ♡♡♡♡♡////」


ぬぷッッ♡♡♡ぐぷぷッ……ぢゅぷんッッ♡♡♡♡


「お"ッ……♡♡♡♡♡////」


全身に血が駆け巡る。

死ぬほど興奮するとは、このことだろう。

接合部が焼けるように熱く、背筋に電流が走り、心臓は破裂しそうだ。


「ア"ッ、ミリイッ♡♡♡////ッッッぐ、♡♡♡解しても、ないだろうッ♡♡♡////抜けッ……♡♡♡♡////」


ぐちゅっ♡♡ぢゅぷッ♡♡♡


「ハァッ♡♡♡ぁ"ッ♡♡♡んん"ッ♡♡♡フッ……♡♡しいさ、ぺんとさんがッ♡♡♡起きる前に、寝顔を見ながら、自分で解しましたあ"ッ♡♡♡♡////」


「ッッッ―――/////♡♡♡♡」


何て顔で、何てことを言っているんだ。

ゾクゾクと興奮の波に飲み込まれる。


「あ"ッッッ♡♡♡大きくなったあ"ッ♡♡♡///ねッ…♡♡♡し、さ、ぺんとさん"ッ♡♡♡僕も、こういうこと、出来るんですよ"ッ…ぉ"ッ♡♡♡///だからッッ♡♡♡僕だけ見てッッッ♡♡♡他の人のとこ行かないで下さッあ"ッ♡♡♡♡////」


ぐちゅんッ♡♡♡


気が付けば、私の腰はアミリイの中を劈くように突き上げていた。その刺激にアミリイは仰け反り、痙攣する。


「フーッッ♡♡////何を言っているのか、分からないが、ッ♡♡♡♡ハァッ♡♡私は、君に心を囚われたあの日からッ♡♡♡///君のことしか見えていなぃ"ッ♡♡♡////」


「や"ッ♡♡♡ぁ"う"ッ♡♡♡♡////激し、ッ♡♡♡ひっくッ…だって、ぐすッ……////しいさあ、ぺんとさんの"ッ服からッ////女の人の香水の匂いがッ////」


「はッ…………まさか、そんなことで……?」


私は固まった。

アミリイはボロボロと大粒の涙を流しながら続ける。


「そんなこと、じゃないですッ////僕には、しいさあぺんとさんだけなのにッ♡♡♡////貴方が全てなのにッッッ♡♡♡♡////しいさあぺんとさんは僕だけじゃ無いんですかあ"ッ////ひっく、ぐずっ////」


ガキィィィィッ


「へッ……」


私は手枷を引きちぎり、アミリイの両腕を抑えた。

同時に腰を激しく打ちつける。


ぐちゅんッッッッ♡♡♡♡


「あ"ッッッッ♡♡♡♡/////」


「その香りはおそらくッ、ジョゼリアという会議で席が隣というだけの女の物だッッ///特になんの関係も持っていないッ///そんな事なんぞで、ッ……////くっ…♡私がッッッ♡♡♡♡どれだけ君の純潔を護ろうと努力したか分かるかッッッ♡♡♡♡////無防備に寝る君を穢さまいと、何度歯を食いしばったこと、か…ッ♡♡♡///フーッ♡♡♡」


「ぁ"ッあ"ッッん"♡♡♡♡は、ぁ"あ"ーッ♡♡♡♡」


非力な彼を押さえ込み、上から覆い被さるように組み敷く。蕩けそうな顔を見て、更に奥を深く抉ってしまう。彼の腰はその度にびくびくと跳ね、中は離さまいと吸い付いてきた。


「ハァッッ♡♡♡ッッッ♡♡♡♡///」


大きな快感の波が下腹部から込み上げてきたその時、アミリイの唇が私の唇に重ねられる。

舌先から奥へと舌をなぞられ、互いに絡め合う。舌全体が性感帯になったように疼き、互いの舌が蠢く度、その快感に脳が痺れる。


「ん"ッッッ♡♡♡フッ♡♡♡////んん"う"〜ッ♡♡♡////」


下腹部からも、舌からも同時に快感が押し寄せ、もう思考も回らない。

天使を穢すなど。

穢すなど……ッ♡♡♡♡♡


「あ"ッ……み、りぃ"ッ♡♡♡♡////好きだッッ♡♡中にッ♡♡♡出すぞッ♡♡♡♡////イ"くッ♡♡♡ィ"ッッッぐ…ッ♡♡♡♡////」


ずぷんッッッッ♡♡♡♡♡ぐぷっ♡♡♡ビュルルルルッ♡♡♡


「ぉ"ッッ♡♡♡ぁ"ッ♡♡♡♡////しいさ、ぺんとさッ♡♡♡好きッ♡♡しゅきぃ"ッ♡♡は、ああ"ぁッッッ♡♡♡イクぅ"ッッ♡♡い"ッッッくぅぅッ♡♡♡♡ん"あ"ぁぁ"ッ♡♡♡♡////」


熱と快感で溶けそうになる。

互いに敏感になった部分を擦り合わせながら余韻に溺れた。

どちらの唾液ともつかない糸をひきつつ口を離すと、唇を震わせながらアミリイが呟く。


「しいさあぺんとさんにッ…♡♡穢されちゃいました…ッ…♡♡♡だから、せ、責任、取ってくださいね…♡♡♡♡////」


「―――ッッッく、この"ッ…♡♡♡//////」


どうやら私は、とんでもない天使に心を囚われてしまったらしい。

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狂依存 王水 @pinnsetto87653

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