第24話 妖怪・舌ねじ込み
ゴクン、と俺は唾を飲んだ。
時間は停止している。
お目当ての最強様は無防備に自分の席に座っている。
完全にペロンチョできます。アタイ、ペロンチョするんだから。
俺は3年の教室に入り、絶世の美女である最強様に向かって行く。体の奥底から興奮が溢れ出してギンギンでございまーす。俺の下半身にはビール瓶が具現化されている。
まだ最強様との距離があるにも関わらず、俺は舌を出した。
彼女の体を舐める前から、酸素を舐めるように舌をぺろぺろと動かす。ペロペロお化けである。
ペロペロお化けが最強様に辿り着く。
スラッとした体。少し鋭い瞳。そして俺のことをキモデブと罵った唇。
俺のことを罵っていたくせに、時間を止められてペロンチョされるなんて、可哀想に。
絶対に俺にペロンチョされるのイヤなタイプだよね? そうだよね? 妖怪のせいだよね? そうだよね? 空中でペロペロしていた舌を最強様の唇に近づけていく。
めっちゃ唇を舐めてやろう。
「キモデブって言った相手に舐めらるってどういう気持ちだい?」
そう尋ねても、時間停止世界で彼女は答えない。
レロレロ、俺は舐める。舐めちゃうぞ。
舌をねじ込む。
俺は妖怪ペロペロから妖怪舌ねじ込みに進化した。
妖怪舌ねじ込みは、美人の口内に舌をねじ込むという習性があるのである。
口の中には歯がある。そして舌がある。妖怪舌ねじ込みは舌先で、美女の口内を確認する。
そしてオイドンは、……ごめん一人称をオイドンにしてみました。オイドンは耳の穴という小さな穴に舌をねじ込んでみる。
美味しいでごわす、美味しいでごわす。
手が空いてるので、スカートの中に手を入れた。
これ以上は過激な性表現になりますので、あまり描写できませぬ。比喩表現を交えて描写させていただきます。ご了承いただきたい。スカートの中にある布をオイドンは触る。この布がいいのだ。オイドンは布には目が無いのだ。布には窪みがある。なんの窪みかしら? そのくぼみを押してみる。
裏地を確かめるために布の裏側に手を入れる。
布の裏側には苔みたいな物が生えている。
オイドンは苔を触ってみる。苔に窪みがあった。
その窪みに指を入れる。湿っていないせいで指が窪みの中に入らない。
この窪みの奥を確認したいのだ。
仕方なく、布から指を取り出したオイドンは、自分の指を舐めた。窪みに指を入れるために潤滑剤が必要なのだ。
そして妖怪舌ねじ込みであるオイドンは、また彼女の口に舌をねじ込み、スカートの中に手を入れようとした。
その時……。
突き飛ばされた。
何が起きているかわからなかった。
突き飛ばしたのは最強様だった。
彼女の手がドスコイと俺を押したのだ。
えっ? なんで? 俺はポケットの入れていたストップウォッチを見た。
まだ時間が3分26秒も残っている。
周りを見ると女の子達は止まっていた。
動いているのは最強様だけだった。
「気持ち悪い」
と彼女は言って、腕で口を拭った。
☆
私は地獄に落とされた。正直に言うと私が女の子にエッチなことをしたいという思いもあって、時間停止という変な企画を考えたのだ。
災いは自分に降りかかって来たのだ。
時間を止められ、キモデブが教室の中に入って来た。
私は動けない。動いてはいけない。これは私が企画したイベントなのである。ココで動くということは、なぜこんなことをしているのか? ということを男性に全て打ち明けないといけなくなる。そしたら男性はストレスを感じながら性行為をすることになってしまう。すると今まで解凍した男性のようにストレスで死んでしまうかもしれないのだ。
恐怖で血の気が引いた。
男性が一直線で私のところにやって来た。
なぜか舌を出し入れしながらやって来ているのだ。
気持ち悪くて吐きそうだった。
私のところに来るな、私のところに来るな、と頭の中で何度も唱えた。だけど彼は私の目の前にやって来たのだ。
そしてキモデブモンスターは私の唇を舐め始めた。
「キモデブって言った相手に舐めらるってどういう気持ちだい?」
と男性が尋ねた。
こいつマジでキモいな。
嗚咽を制御するので精一杯だった。
それなのに口の中に男性は舌をねじ込んで来たのだ。
泣きそうである。
こんな醜い生物に私は口内を舐められているのだ。
そして男性は私の耳の穴に舌をねじ込んで来た。
敏感なところを舐められて寒気がした。
時間が過ぎるのが長く感じられた。
そしてキモデブは私のスカートの中に手を入れて来たのだ。私の大切なところを触って来る。キモい死ね、と思う。でも彼がいなければ日本は滅びるのだ。我慢するしかない。
彼はスカートの中から手を取り出して、自分の指を舐めた。
そして私のスカートに濡れた指を入れて来た。
やめろ、と心の中で叫んだ。
その時には自然と手が出ていた。
男性は倒れて、私を見ていた。
「気持ち悪い」と私は言って腕で口を拭った。
キモデブが時間が停止しているかどうか確認するためにストップウォッチをポケットから取り出した。
「もうこのイベントはお終いや」と私は呟いた。
「どういうこと?」
と彼は首を傾げた。
「みんな、もう動いてええで」
と私がパンと手を叩くと、停止していた女の子達が動き出した。
「しゃーないな」
と私は呟いて、頭をかいた。
今の彼が置かれている状況。そして現在の日本がどういった状況なのか私は彼に伝えないといけないのだろう。
これを伝えてしまったら彼はどういう反応を示すだろうか?
初めは喜ぶだろう。だけど種馬になり続けるのだ。そしてストレスを溜めて、今までの解凍した男性のようになるかもしれない。
そうならないように私達は学園でサポートしていこう。
種馬だと気付いた種馬が檻の中で死なないように……。
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