第17話 次はお尻

 我々、田中太一の両手隊は隊長の命令を受けてナミ様の服の下に潜ったのです。

 どうも右手人差し指の兵隊です。

 ナミ様の胸までやって来ました。

 そこにあったのは難攻不落の要塞だったのです。

「隊長。やっぱりちゃんとしたブラジャーでした」

「いや、諦めるのはまだ早い」

 と右手親指の隊長が言いました。

「フックのブラを外そう」

 ココに来ても隊長が諦めていなかったことに、我々一般兵は驚きました。

「隊長、貴方って人は」と私は呟きました。

 この隊長に付いて来てよかった。私はそう思ったのです。

 そして我々、両手隊はブラジャーのフックがあるとされる背中に向かったのです。

 でもそこにはフックがありませんでした。

「クソ」と左手小指が呟きました。「このブラは前フックタイプじゃねぇーか」

「前フックタイプ?」と私は尋ねました。

「あぁ、そうだよ。ブラジャーは背中にフックがあるタイプと、前にフックがあるタイプがあるんだ」

「そんな……もう我々に残された時間はない」

 私は隊長を見ました。

「……総員、撤収」

 隊長は呟いたのです。

 そして私達は泣く泣く撤収しました。

 ナミ様の生乳を我々は触ることができませんでした。


 

 生乳を触ることができずに俺の両手隊がナミの服の下から帰還した。

 泣いた、全米が泣いた。

 ストップウォッチの表示が0になる。


『終わりました』

 終わりを告げる音は変な甲高い音ではなく、silly的な声だった。


 時間が動きだす。

 また膝の上で2人が言い争いを始めた。


 これで俺の時間停止は終わり。

 そう思っていた。

 だけどストップウッォッチの表示は、また5分に戻っていた。

 まだ使えるの? ヤッホー。


 授業が始まる。

 ネコタソとナミが俺の膝に座って勉強をしていた。小さな机で俺の膝に乗っての勉強は、さぞはかどっている様子だった。

 彼女達の髪の毛からいい匂いがした。溜まりまへんわ。膝小僧達も喜んでいる。


 俺は彼女達に隠れて説明書を読んだ。

 ふむふむ。

 猿でもわかる内容だった。

 5分しか時間を止める事はできない。表示が0になれば時間が動き出す。それはさっき時間を止めたので実証済みである。

 使用回数は5回まで。

 ストップオッッチの画面の右上に4という文字が小さく書かれている。

 たぶん、これは残り回数を示しているんだろう。


 5分という短い時間しか時間を止めることができない。

 これはまず頭でシュミレーションしておく必要がある。

 ブラジャーのせいで胸は時間がかかった。それに時間が動き出す前に元に戻さなくちゃいけないのだ。

 短時間で何ができるのか?

 俺には女性の部位の中で、もっとも好きな部位がある。

 お尻である。

 お尻こそが世界一。

 お尻こそがエロい。

 なぜお尻なのか?

 それはマショマロのように柔らかい2つの脂肪。実はこれはおっぱいと同じなのである。お尻こそが本当は異性を惹きつける部位である。

 人間は進化して立つようになり、目線がお尻ではなく、上半身に行くようになってしまった。

 だからお尻の代替品として進化したのがおっぱいと言われている。

 諸説あり。

 

 性的に美しいのはお尻だった。

 ふんわりしたやわらかい2つの脂肪。そのフォルムは見事である。しかもお尻の中心には毒があるのだ。美味しいものこそ毒がある。エロの全てが揃っているのだ。


 5分間、お尻を堪能するために俺は考えた。

 まずは座っている状態で時間を止めてはダメである。座っていたらパンツを脱がせるのも難易度が上がってしまう。

 立った状態で時間をストップさせる必要があった。


 誰のお尻をターゲットにするのか?

 まずは目の前の2人である。

 回数は残り4回しかない。

 1回分のストップで見事なまでにお尻を堪能してみせる。


 残り3回は、あの人に使うつもりだった。俺のことをキモデブと言った最強様。

 醜いと思っている人間が時間停止の世界でめちゃくちゃにされたら、さぞショックを受けるだろう。ブヒヒヒヒ。←俺はエムだと思っていたけどエスの要素も含まれているのかもしれない。


 授業が終わる。

「2人とも立って」

 と俺は言った。

「ごめん。しんどかったぁ?」

 とネコタソが尋ねる。

「しんどくはないんだけど」と俺は言う。

 しんどい、と言ってしまったら膝に座って勉強をしてくれなくなるかもしれないと思ったのだ。

「トイレに行きたいんだ」と俺は言った。

「そっか」とネコタソが言う。

「わかったわよ」とナミが言う。


 そして2人が立ち上がった。

 俺はストップウォッチを押した。

 よし5分間、お尻を堪能するぞ。

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