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そしてまるでそういう打ち合わせだったかのように、他の部隊長たちも一心のことを見る。
画面ごしとはいえ、鬼頭に負けず劣らず厳つい大人たちに見られたことで、さすがの一心もその身を固くしていた。
一体この面談とやらでどんなことを言われるのかと、正直あまり居心地よくはいられない心理状態だ。
それもそのはず、そもそも一心は、対魔組織ディヴィジョンズの敵である
利用されていたとはいえ、もみじの妹であるゆきがそうだったように、彼のことをよく思わない人間がいてもおかしくない。
静まり返った雰囲気の中、鬼頭がモニターに映っている部隊長たちに声をかける。
「こいつが今度からうちに配属される
鬼頭が一心について説明を始めると、部隊長らは、それぞれ手元にあった携帯情報端末を操作した。
おそらく鬼頭が送った資料に目を通しているのだろう。
そんな彼らの姿を見て、もみじは今さらかと言いたそうに顔を歪めていた。
「実戦経験こそ浅いが、うちのチームメンバーと上手くやれているのもあって連係なども問題ない。まだもみじのような特殊能力は使えないようだが――」
《ちょっといいか、鬼頭》
鬼頭の説明を遮り、先ほど話し出した白人の部隊長が口を開いた。
なんだと訊ねた鬼頭に、彼は威圧的に言う。
《説明よりも大事なことだ。もし、もしだぞ。そこにいる少年、楠木一心が我々を裏切った場合はどうする? 何か対処は考えているのか?》
もみじが歪めていた顔をさらにしかめ、鬼頭を見た。
彼女はやはり訊かれたかと思いながら、上官の言葉を待つ。
だが鬼頭が何か言う前に、一心がモニターの前に立った。
「俺は裏切りませんよ。チームのみんなのことが好きだし。あ、でもゆきのことはちょっと苦手かな。嫌いってほどじゃないけど」
《楠木一心……。私は鬼頭に訊いているんだが》
「えッ? でも裏切りませんって俺。だからその対処ってヤツもいらないと思うんだけどなぁ」
何故理解してくれないんだと、一心は小首を傾げていた。
白人の部隊長と一心のやり取りを見て、他の部隊長からは笑い声が漏れ始めている。
「責任は俺が取る。何かあれば軍律による裁き受けよう」
「ちょっと待ってくれよ鬼頭さん!? なんだあんたがそんなことしなきゃなんねぇんだ!?」
一心は納得がいかなかった。
話を聞いた途端に怒鳴り始め、先ほどまで笑っていた部隊長たちの空気も変わっていく。
そして、白人の部隊長が鬼頭に向かって口を開く。
《もちろんお前には責任を取ってもらうが、それでは対処にならないだろう。
「だから俺は裏切らねぇって言ってんだろ!?」
一心が再び声を荒げると、もみじは彼の前へと出てきた。
それから強引に彼を下がらせ、部隊長たちに声をかける。
「もし楠木一心が裏切った場合は、私がその場で殺します。怪しい素振りを見せた瞬間に、問答無用で始末するのでご安心を」
「おいもみじ! だから俺は裏切らねぇって言って――」
「あんたは黙ってなさい!」
もみじのあまりの迫力に一心は怯んだが、それでも彼は黙らない。
「いいから聞けって! こいつらが俺を信用できないなら、俺の身体に爆弾でも毒薬なんでもいいからつけりゃいいだろ!」
「あんたって奴は……。なんで話をややこしくするんだよ!? せっかく話がまとまりそうだったのに!」
一心が自分が裏切ったときの対処を提案すると、もみじは声を張り上げ返した。
そこから二人のまるで子供の喧嘩のような言い合いが始まり、場が一気にしらけていく。
それを見かねた鬼頭は二人を引き離すと、部隊長たちに声を訊ねる。
「今二人が言った対処法でいこうと思うが、それで納得できるか?」
《ああ、少なくとも私は彼が気に入ったよ。命をかけて証明するっていうとこがね》
白人の部隊長がそう言うと、他の部隊長たちもコクッと頷いた。
鬼頭は苦い顔をしていたが、どうやら一心を対魔組織ディヴィジョンズに入れる話は、これで解決しそうだ。
《それでは日本国内にいる
「すでに逃げた敵の潜伏場所は把握してある。安心してくれ」
《心配などしていない。では、これにて面談は終了する。その前に楠木一心》
「へッ?」
《最後に何か言いたいこと、訊きたいことはあるか》
「ああ〜......別にないかなぁ。俺が知りたいことをあんたらは知らなそうだし」
一心がそう答えると、部隊長たちから失笑が漏れた。
そして、彼らはモニター画面から消える。
「面談っていうか、なんか品定めって感じだったな」
「ちょっとあんたわかってんの!? これであんたの身体に爆弾か毒薬を埋め込むことになったんだよ!?」
「騒ぐようなことじゃないだろ? 動きづらくなるようなもんじゃ困るけど、そこは最新技術でさ。知らんけど」
「あんたねッ! そんな簡単に自分の命を!」
面談が終わり、もみじが一心に喰ってかかると、彼はあっけらかんとした態度で返事をした。
再び不毛な言い争いが始まるかと思われたが、鬼頭の発した一言で二人は黙る。
「これから沖縄に飛ぶぞ。そこに魔導具を持ち出した
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