初恋

連喜

第1話 初恋

 みなさん、初恋はいつだったか覚えているだろうか。

 俺はもう50になってしまったから、残念ながら、いつだったか覚えていない。

 こんな人は滅多にいないかもしれないし、後から思い返して懐かしがれるような時期がないのは、不幸な人生かも知れない。


 人によっては過去を振り返って、その時出会った人や抱いた感情に、特別な意味を見出している人もいる。初恋にずっとしがみつく人もいる・・・今日はそんなお話。


 Aちゃんという女の子がいた。両親が共働きで0歳から保育園に預けられていた。0歳から2歳は小規模な託児所のようなところに通い、3歳から小学校に上がるまでは、幼稚園兼保育園のようなところに通っていた。そこでは、英語や運動、勉強など色々なカリキュラムがあって、親が忙しくて見てやれないことを、保育士の人や習い事の先生たちがやってくれたんだ。


 Aちゃんには、すごく仲のいい男の子がいた。いつも一緒に遊んで、お昼寝は隣同士。一緒にトイレに入ったりもした。名前はB君。彼は両親が弁護士というエリート一家の息子だった。AちゃんもBちゃんも一人っ子。2人は3年間を親友として濃密に過ごした。卒園の時は、Aちゃんの方から、一緒に撮った写真とカードを手渡した。親同士はちょっと挨拶したことくらいしかない。

 だから、それっきりになってしまった。


 その後、B君は公立小学校に、Aちゃんは私立の小学校に進学した。家が近所だったから、Aちゃんが公立に行っていたら同じ学校だったのだけど、別の学校に行ったからその後は一切会わなかった。B君がその後、月謝の高い民間の学童にいるということだけは、人から聞いていたけど、本当にそれっきり。お互い児童公園なんかには行かないし、近所のスーパーで会ったこともなかった。


 


 


 


 

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