海底

適度な温度の湯船に一人。耳鳴りの音を聞いている。高い音が私を連れ出そうとする。海がいい、寒くて誰も寄り付かない寂しい埋め立て地から眺めたいのだ。冷えて指先の感覚がなくなるくらい、ずっと遠いどこかの街。私のことを知らない街。海月が周りを行き交って、海の底をひたすら歩く。そんな夢をこの夜見る。夢の中で君の声を聞く。

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