心肺

泣くな泣くなと背をさすり、震える肩を見つめた経験がないのだ。誰の背骨も知らないまま、私は私の肋骨を撫でていた。ここに肺があり、心臓があり、動いている。臓物が機能している。血が、通っている。誰を励まさなくてもいい、誰も泣かなければ、悲しみを掬い取り去れたならば、古傷をも許す。花が咲いたような可憐な笑顔のままでいい。

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