第二話 冒険者ギルド受付
道の両側に綺麗に建ち並ぶ建物から、白い湯気が上がっているのが見える。まだ昼だというのに湯気が出るのは、そこが宿屋だからだろう。
城門から冒険者ギルドまでの間は基本的に、宿屋か冒険者が経営する屋台で埋め尽くされている。もしも城門を超えて魔獣が侵入しても、冒険者がすぐに対処出来るように配置されているのだ。今まで一度も侵入されたことは無いらしいが、もしもの時の為にと考えられていて静かに頷いた。
屋台を後にしたアルシオンさんは、ゆっくりと僕の歩幅に合わせて進んで行く。
前から大きなカゴに食料を詰めたおばさんが歩いて来る。同じようにカゴを持った人々が進行方向の先へと行く。一人、また一人と宿に戻る人などがちらほらと。
おばさん達とすれ違うように、男女四人組が通り過ぎて行った。各々が剣や杖を持っていることから、冒険者だと判断した。その判断は正しかったようで城下町の屋台や民家とは違い、縦にも横にも大きい建物へと入っていった。
「彼らが入った建物こそ、冒険者ギルドだよ」
冒険者ギルドも他の建物も木造だったが、しっかりと作られていた。全ての建物が二重窓で、防犯性・防音性に優れていることがわかる。アルシオンさん
そんなことを考えながらアルシオンさんと共に冒険者ギルドの戸を開けた。
冒険者ギルド内はガヤガヤと騒がしく……なんてことはなく、昼頃だからか人が少なかった。
「昼だからね、多くの冒険者は依頼を受けてる頃だよ」
「依頼は朝に受けるんですか?」
「そうだね。朝早くに張り出されて夕方には報告に来る」
冒険者ギルドの中央奥に受付があり、右側に依頼掲示板、左側に机やイスや厨房があることから軽食の為のスペースだと判断した。
キョロキョロと辺りを見回しながら歩いて受付へ行くと、受付の女性が笑顔でアルシオンさんに話しかけた。
「こんにちは。アルシオン様どうされましたか?」
「やぁ、トリスさん。依頼の報告とアース君の案内だよ」
受付の女性がこちらに顔を向けて挨拶をする。
「初めまして、冒険者ギルド本部受付のトリスです」
「アースです。冒険者ギルドに登録に来ました」
「かしこまりました、少しお待ち下さい」
そう言って受付の女性ことトリスさんは、アルシオンさんと話を始めた。アルシオンさんは、後ろの腰に付けたポーチから草の束を取り出し受付の台へと置いた。トリスさんは、その草の束を左側にある銀色のトレーへ置く……とパネルが出現した!
「わっ!」
「見るのは初めてかい?」
コクコクと頷く。
「あれは、
トリスさんは小さい銀色のトレーに報酬金を置いたが、アルシオンさんは受け取らず代わりにカードを置いた。トリスさんは、なにやら手元の道具を操作しカードを入れた。
「今は何をやってるんですか?」
「俺が渡したのは冒険者ギルドのカードなんだけど、このカードは本人の証明だけでなくお金を保存する役割もあるんだ。今はその手続きをしてるとこさ」
すごい!これなら盗難にあっても安心だよ!
僕がキラキラと目を輝かせ興奮していたのが微笑ましかったのか、アルシオンさんはニコニコしていた。
カードを内側のポケットに収納したアルシオンさんは、僕の為に場所を開けて「さぁ登録しよう」と促してくれた。
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