第2話 動き出す状況
BA452便がS空港に着陸したときには、選出された碑守の隊員はすでに配置についていた。狙撃要員2名、突入要員4名、人数は少ないが代わりに精鋭をそろえている。本来は数で圧倒するのが定石なのだが、彼らは違う。少数精鋭でもって、限られた空間を縦横無尽に駆け巡り、相手を圧倒する。それが、彼らのやり方だ。まず狙撃要員が屋上の配置につき、状況を確認したところで突撃要員が侵入を開始する。狙撃班のリーダーの雑賀 要はスナイパーライフルを収めたケースを背負い屋上に出る。狙撃ポイントに近づくと背を低くし、テロリストに気づかれないようにライフルを組み立て始める。太陽は幸い背にしている。映画のようにスコープに太陽が反射してばれる恐れもない。もう1人の狙撃要員も持ち場についた。要は慎重にスコープを覗き込み中の様子を探り始めた。
ダイスロール2D6 2+3=5 失敗
スコープ越しに操縦室を覗き込むと、テロリストらしき迷彩服の男が機長と思われる男に銃を突き付けていた。そして、おもむろにこちらを振り返って、
「局長、操縦室に恐らく鷹の獣人の男を確認。機長と思われている人物に銃を突き付けています。それと、感づかれました。視線が合いました」
『了解した。狙撃班はその場で待機。いずれ来るチャンスに備えろ。突撃班、報告の通りこちらの動きは察知された。今はまだ動くときじゃない。待機を継続』
影虎は要の報告に予想していたかのように応答する。いや、実際に視力に特化した種別の獣人がいれば見抜かれる可能性を挙げながら、作戦を進めてるのだ。
(こちらから動くことが出来ないなら、向こうが動いてくれればいい。人質交渉と金の受け渡しの瞬間がねらい目だ。今はまだ動くな)
影虎はスマホを取り出すとある場所に電話を掛けた。
「動きが察知されました。こちらから先制をとるのは危険と判断します。向こうの要求と人質交渉に動いてください」
『身代金の要求に応じないための君たちだと私は判断していたのだがね?』
「我々の動く瞬間は金の受け渡しの瞬間にあります。人質が無事かつ身代金も戻るよう動きますので、ご安心ください」
『そうであることを望むよ』
そう言われて通話が切れた。最終的に人質も身代金も戻ってくればクライアントは構わない、その言質を取った。唯一のチャンスを最大限に活かすため、影虎は静かに策を練っていく。失敗は許されない。ピリピリした緊張感が場に満ち始めた。
Halfs異伝 碑守奇譚 @Talkstand_bungeibu
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