第3話 花の街②



ウチの飼い犬の名前は『ヨロ』だ。




よろよろ歩く様子から母が名付けた。元捨て犬だが、母親がとても気に入っており、溺愛されている。


それにしても・・・急に見知った物が出てきて現実に引き戻される。




(やっぱり、夢を見てるだけの気がしてきた・・・)



夢というものは、寝ている間に脳の記憶の整理の為に起こるらしいから、飼い犬が出てくるのもおかしくない、この異様な風景も・・・忘れているだけで、何処かで見た事があるんだろうか?



ヨロは、舌を出しながら自分を見ている。いつも通り、喉のあたりを撫でると気持ち良さそうな顔になる。


それにしても、この夢ホント現実感あるなぁ・・・



ヨロは、山の斜面を下り、街の方へよろよろ歩き出す。案内してくれるのだろうか?


ヨロは現実では『散歩嫌い』で、路面の石とか踏んで痛がる軟弱犬なのに・・・



と思った矢先・・・



4、5歩歩いて、その場にへたり込む。




「・・・」




(やっぱ、現実感あるなぁ・・・)


いつも通り、ヨロを小脇に抱えて、とりあえず山の斜面を下ってみることにした。



  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る