追行
雄蛾灯
第1話
まわりを見まわすと、真っ暗だった。
今日は今度やる学校のおまつりの準備でいつもより遅くなってしまった。残っている事はまだやっている人にまかせて、わたしは家に帰ろうとしていた。
わたしはいつも、家から十五分くらいで学校につく。クラスメイトは八分ぐらいで着くらしいので、他のみんなとくらべるとおそい。また、他のクラスメイトとは家が方向がちがう。
わたしはいつも一人。そう思いながらかさをつかんだ。朝ふっていた雨は、もうやんでいた。かいだんをかけおりていった。それから、暗いげた箱にうわばきをしまい、最近ママが買ってくれたピンクのくつをはき、学校を出た。
◇◇◇
学校を出ると、少女はすぐに右へ曲がり歩道を歩いていた。同じタイミングで帰る生徒たちは皆、少女とは反対方向から帰っている。
右の道を行った後は、左に曲がり約五分程度の道なりをとぼとぼ歩く、少女の歩く後ろ姿はどこか哀愁を漂わせていた。
長い道のりを終えると、途中で二十段程度の石の下り階段が少女を止めた。昼の小雨の影響で足場は滑りやすくなっていて、自分の靴では今にも転げ落ちそうだった。
少女はだるまさんが転んだのように、一段、二段、三段と下っていきゆっくり足を進め、階段を降りた。
少女はホッと息をつき、帰路の道を進めようとした……。
◇◇◇
ガタッ
近くで何かの物音がした。心ぞうが止まるかと思った。
もういやだ、早く帰ろう……。私は持っていたかさの真ん中をつかみ、後ろも見ずにはや足で歩いた。
そうして、まっすぐ道をすすみ、左の角を曲ると、わたしはいつもは軽く見るけい示板にも、目もくれず、そのままつき進んだ。
けい示板があるってことは、もう近い。あとはこのまま進めば家につく。わたしはあんしんのため息をはいた。
あかりが見えた。ようやく帰れる……。はやくママのおいしいごはんがたべたい。はやくあたたかいお風呂に入りたい。はやくフカフカのベッドで寝たい。はやく家族に会いた、
誰かにぶつかった
突然、少女の目の前に男が現れた。男は三十代前半ぐらいでTシャツと半ズボンと軽装だった。
「ひなたじゃないか! こんな時間までなにしてたんだ」
「ご、ごめんなさい。今日は学校のおまつりの準備をしてて……」
「そうか、ならいいんだ。まぁ、とりあえず家に入ろう。今日はカレーだぞ」
「う、うん。ありがとう」
少女は父親と思わしき男と、近くの家に入っていった。しかし、少女はどこかオドオドしていた。まるで怯えているように……。
もう十時を過ぎていた。辺りも真っ暗闇に包まれていて、今夜はいつもと違ってすこし霧がかっていて、見にくい感じだ。
「ひなたねぇ……」
俺はそう呟くと来た道を戻った。
追行 雄蛾灯 @yomogi_monster
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