鉄道の恐怖(ある女編)

もえ

第1話

朝、私はいつものように自宅を出る。


家族の朝食の準備と簡単な家事を済ませ、決まった時間にマンションのロビーを通過する。


早朝で、まだ辺りは暗闇に近い。

電車の出発時刻は、午前6時05分。


いつものように改札を抜け、駅のトイレの全身が映る鏡で、身だしなみをチェック。

その後、エレベーターでホームへ降り立つ。


私の乗る位置は大体決まっていて、大抵はホームの自動販売機がある位置に一番近い乗降口の、ひとつ右。


今日も、いつも通りの時刻に電車がホームに入ってくる。


早朝の電車でいつも乗客は少なめ

人が多いのが苦手な私には最適な車両。

私は毎日これに乗って、出社している。


颯爽と乗り込み、進行方向の2人席の窓側に座る。

今日も、6時05分、定時に出発。


いつものように、イヤフォンをスマートフォンに装着し、音楽を聴き始める。



…何駅か電車が通過して、ふと…気が付く。


   車両内にいるあの男…


     どこかで…


   見たことがあるような気がする…


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