第7話ベッド3
一瞬、ブワッと男が白煙に包まれと思えば、次の瞬間、犬になっていた。
理久が大好きな、クロに瓜二つの…
美しい黒の毛並みの…
そして、青い首輪は首にでなく、ブカブカの状況で前右足にあった。
「ク…ク…ク…ロ?」
間違い無かった。
途端に喜びの余り、理久の脳裏からさっき襲われかけた事が瞬時に吹っ飛んだ。
そしてバッと近寄り、その黒色の体に抱きついた。
「クロ…良かった…良かった、お前が無事で。本当に本当に心配したんだ」
思いっきり抱き締めてやる。
「くぅ~ん…くぅ~ん…くぅ~ん」
クロが、甘える時のとってもかわいい声を出した。
「クロ…」
理久の両目から懐かしさと嬉しさで、又涙が溢れてきた。
それを見たクロは、激しい勢いで理久に飛びかかる。
スポっと、あの首輪が、クロの足から抜けた。
理久は、ベッドに上向きに倒れ、クロが上におおいかぶさり頬を伝う涙をペロペロペロペロ舐め出してきたので笑った。
「クロ!くすぐったい!ダメだ、クロ!ああっ!ダメ!ダメ!そこはダメー!」
だが、ふと、なんだか変な声を出してしまったと理久は気付く。
すると、又、今度はクロが白煙に消えさっきの男になり、寝転ぶ理久の顔の両横に手を付き、上から見下ろしてきた。
「理久…理久…」
男のその声は、甘くて優しくて色気に満ちていた。
理久は、背中をブルリっと震わせて、男の深い青の瞳を見上げた。
そしてしばらく二人は、言葉無くただ見詰め合う。
「理久…」
その内男は又キスしようと、上から理久に迫ろうとした。
「待て!クロ!待て!」
理久は、又手のひらを男に向け又叫んだ
。
犬の習い性とは悲しいモノで、男は瞬時に固まって、それ以上何も出来ず…
巨体の獰猛そうな獣人の男は、又耳と尾をシュンとしなだれさせた。
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