007 え〜っと。町づくり開始です?

 僕がお風呂の右の方に入りたいって、入り方はどうするのって聞いているところ。僕が作ったのに入っちゃダメって、おかしいって。きっと入口のあの呪文みたいな絵がいけないから解呪の方法を聞いているところ。何かあっても入れない時が無いように2つにしたんだから。

 意を決したような顔でおじさんが言う。鉄に焼き入れしてるときの顔、かっこいいの。


「お前は男なんだよ」

 ??何のことっ「うん、そう」かっこいい顔ですっごい当たり前のこと言う。

 頭をかきながら「あのな。男と女は同じ風呂に入んないんだよ。ちっさいのは違うけどな」だって。

「第一、師匠は誰よりも年食ってるし。ナリは小っちゃい子供で女にしか見えないし服ヒラヒラしてるし、でもなんか男だってすぐ分かるんだよな。片っぽは女風呂なんで、入れさせなかったって訳だ。

 屋敷で風呂入れなかったって言ってたろ。あそこ女しかいねえしな。無視していてもそれだけはダメってことだろ。俺たちが教えようにも街中に風呂なんて無いしなあってことだ」


 言い切ったって良い顔してる。ぺちぺちと拍手してるのもいる。親指立ててるのとか。

「が・がが〜ん!」

 衝撃の事実だよっ。本では、みんないっしょだったんだけどなあ。参考にした、あの建物の事が書いてあった本。ここは違うのかあ。がっくり。

 お風呂に関してだけ、いじわるされてたってことじゃないのかあ。湯を沸かすのって、すごくまき使うしってことは、考えない人達のはず。都合の良いときだけ、見える仕様か。僕なら付けないなそんな設定。ぼよぼよでかっこ悪い。いや、お腹からなんか飛び出す? いやいや。・・でもでも、あれぇ。


 おじさんは街中に無いって言ってるけど、あの建物は一緒に入る建物だって話してるのを聞いたの。で、この国でも大丈夫って思っていたんだから僕がおかしいって言われるのは変じゃ無い?

「よその女の人とお風呂入ってるでしょっ」って、指を広げて指してみた。おじさんたち。すぐ、さっと横向いて知らんぷりしてるけど、おばさんとお姉さんたちに白い目で見られているよ。何で。


 ちょっと間・・・

「いじわるじゃ無いのは分かった」

 元気よく言って、何でお姉さん達にまれてるのか分かんないけど、おじさん達を助けてみた。

「新たに来る人とか子供とかで間違えるかもしれないから、

 呪文じゃ無く色や絵で分かるようにしておこうね」

 初めての人とか、慌ててる人とか間違っちゃう。


「そうね、分からない。アレ何」とか「字だろ。俺、よその国の字は読めないけど」とか聞こえる。ぼくは出入り制限の結界だと思ったよ。あの国の禁書庫にもあった錠(かぎ)みたいなやつ。

 ・・・後でだけど、字だったって。おじさん達が大好きなお風呂のある家の真似まねって聞いた。書いたの、引っ張られてたお兄さん。


「ここはね。仮のお家。みんなの家を作るから相談してね。

 お城はダメ。お城はあるから住みたい人はそこ。」

 ここで言わなきゃって「お城の馬さんのお世話どうするの。来るときはみんなでやってたよね」これからは誰がって聞く。すると、あ〜とか、う〜とか。


「あの国は馬がごっそり居なくなっても気にしない、たぶん。

 動きにくくなったのは都合がいい。

 それは良いんだけど。何にもしない馬さんのお世話はちょっと無理かなと思う。

 これからやることいっぱい、あるの。


 なので、お買い物。必要なものある、すぐに。それを買う。

 近くの町に行く人、1団。

 増やしたいものや珍しいものを買う。ちょっと遠くに行く人、3団?

 子馬と大人馬10頭残して、残り全部分けて連れていって、

 要るものを買うお金に足すの。馬の方が良いって時もあるからね。

 最初はね。二人とかで行って相場を知ってからね。


 遠くに行って買って欲しいのがあるの、いっぱい。

 僕の欲しいもの。この町のためにも。

 そしてね。連れてきて欲しいの、空気になってる人たち。

 あとね。食べ物買わないと無くなる。畑はこれから。

 布とか原料とか、足りない何か。

 みんなで相談して、いっぱい買う。

 牛と羊、あと豚と鶏も忘れないでね」


 お城さびしくなるなあって思ったけど、またすぐにいっぱいになるよね。


「仕事はね。

 山?丘?を掘る仕事。まずは、どんなのが出るか確認かな。

 露天掘りで危なくないけど気を付けて。

 畑や果実くだものを作る。いっぱい! ご飯のもと。とっても大事。

 狩りの仕事。お肉食べたい。薬草とか果物見つけたら根ごと。

 畑で殖やせると良いなって思ってるの。

 商売の仕事。お買い物と仲間捜し。


 でね、商売をしたい。

 モノが足りなくなると僕達がいないことに早く気がつくかもしれない。

 危なくないものを中心に。商売しながら仲間みつけてほしいの。

 お金ができたら奴隷全部買う。病気でもケガあっても良い。

 あっ犯罪奴隷は要らないよ」


 みんな分かっているね。わざわざ言うのは大事な事。もう割り振り考えてくれてる顔の人もいる。


「あとね。精霊種とも仲良くしたいっ! 僕がほとんど精霊種に近いせいもあるから」

 たぶん、ちょっと小さいヒゲのおじさんドワーフだよね、精霊寄りの。すっごいニコニコしてるし。

「でねでね。鬼種もっ。悪い奴らだから襲って奪えって聖国では言われるけど、

 本当は良い人たちで交流すれば仲良くなれるの知ってるよね」


 鬼種って聞いて嫌な顔だったけど、国からの話と会ったって人の話はだいぶ違う。会ったって人をみんな知ってるしね。襲われたら戦うよ。見つけたら全滅させるとか、どっちがって〜。怖いよっ。

「色んな種族と仲良くしたいんだ!」


 あれ、なんか不満そうな人がいる。

「獣人はどうするんだっ!って、なんかお怒り?

 何言ってんのって「もう家族。ケモミミ研究したけど、精霊種っぽいと耳や尻尾生えないの」「可愛いの付けてて、うらやましい」ずるいっていった。

 あっしまった・・・余計なこと言っちゃった。


「なし無し!! 聞かなかったことにしてっ!!」

「何やってんだよ。バカじゃねえ」

 また、呆れられた。名誉挽回せねば。


「研究して精霊種が入ってなければ人にケモミミ生えさせるのできるんだから!

 人と大して変わらないから、もったいないけどケモミミ取るのもできる」

 両手を挙げてば〜んと言い返してみる。


「ニ、ニンゲンを獣人にするとかすげえけど、やっぱバカだ!」

 くそ〜! またバカにしたなあ・・・ぷんぷん!! バカバカ言いながら、何かうれしそうで、周りもなんか微笑ましい感じで、怒ったの忘れちゃったよ。


「海に進出したら、水棲種すいせいしゅとかもっ!」

 ハテナって顔してる。


「すいせいしゅってなんだ」

 あれっ知らない?


「人魚! ほか知らないけど」

「に・人魚って、物語じゃないのか? 実在なのか!」

 あれっ意外と知られてないのか・・・

 

「いるよ〜人魚! 本にあったもの。仲良くなったら、

 川伝いに来てくれると良いなって、思ってる」

 おお〜って、雰囲気になった。良いよね、人魚。みんなすっごいキレイだっていうし。見たって人達みんな言ってた、きっとそう。


「ふ・ふ〜ん。人魚さんの足ひれを人間の足にするのもね。

 たぶんできる。時間制限付くと思う。 

 会って試してみればね。自分で変えるとかにできるはず。

 悲しい人魚の女の子の話あった。楽しく暮らしましたにしたいなって思ったの」

 足ひれ付けてみる、試させてってお願いした。


「す・すごいバカがいる!」

 が〜ん・・・また言われたよ。実験大事なんだよ。人体実験(いけにえ)は必要!


「ちっくしょ〜! も〜いい、次いくよぉ、次!」

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