Win-Win-Win
8ラウンド目、めくられたカードは猪市場。豚さん出ちゃったか―。羊さんもまた1匹になってるし、このラウンドは両方行かないとな。忙しい忙しい。となるとこのラウンドでやることは、初手で趣味の柵作りを出して、あとは豚さん羊さんて感じか。ハイドシュヌッケン飼いを出してる暇ないな。次のラウンドでもいいかなぁ。
「スタプレはまだ私かー。マナブーは装備品揃えだからわかるけど、みんなスタブモチベ低いねー。あ、そういえば猪出たから柵引けるんだったわ」
「織木さん栄養士使わないの?」
「あ、忘れてた。ごめん、使う使う」
石積君に言われて、思い出した。先のことを考えてたら忘れちゃうなー。羊さんと小麦と野菜を払って、2点5飯っと。
「んじゃ、私からだね。授業で1飯払って、『買い付け人』」
買い付け人はくびきさんが取ってたか。ということは羊さんでも豚さんでも取りに行けば、くびきさんから1飯もらえるんだ。これは地味に助かるかも。
「私も授業で! 2枚目の職業だから、1飯でOKですね。出すのは『家畜追い』!」
家畜追いは、家畜を累積スペースで取る度に1飯払えば、同じ種類の家畜をもう1匹もらえるカード。あちゃー、家畜の競合出てきちゃったか。甘菜ちゃん家族5人を養わないとならないし、家畜追いなら累積に1匹しかいなくても取りに来るかもしれないよね。ちょっと困ったな。
「俺は久々の個別指導! 小麦を取って、1飯払って『黄土の庭師』を出すよ。粘土抗行って1飯払えば野菜をゲット!」
「あ、抗夫とコンボですね」
「Exactly!」
「何カッコつけてんの」
この後、石積君は畑、岩の多い地形の効果で1石。
私は予定通り授業で、2飯払って趣味の柵作り。危ない危ない、授業埋まるかと思った。
くびきさんは葦石木、甘菜ちゃんは3木材。お、甘菜ちゃん木を取ったか。これで井戸レディだね。さすがにこれで石積君も井戸を取りに行くかな。
ほらっちさんは粘土抗で、早速抗夫と黄土の庭師のコンボを発動。2レンガ1木1葦、1飯払って1野菜。1アクションでこれは強い。しかも粘土抗なんて普通はレンガが溜まらないと誰も行かないから、自分の好きなタイミングで行けるのが良いよね。
次は石積君の番。
「2木1葦で。装備品揃えで『最終章』出します。改築柵、手元に置いときますね」
最終章は、自分だけいつでも最終ラウンドのアクションスペース農場の再開発、通称改築柵に入れる小進歩。まあそれはどうでもいいんだけど。石積君、井戸取らないんだ? 甘菜ちゃんに取られても知らないよ?
「私は羊さんで。ペットラバーで3飯と小麦もらいます」
「んじゃ織木ちゃんに1飯払って、私も羊もらうねー」
「ありがとうございますー、くびきさんのおかげで食べていけてます」
「礼には及ばないよ。またスタプレ取っちゃうし、ごめんねー。ワンモア魔女の踊り場」
「あ、全然大丈夫です」
実際私はさっきからずっと5番手なんだけど、そんなに不自由していない。ペットラバーが家畜1匹で発動する効果で競合がいなかったから、手番が遅くてもやりたいことが出来てたってのはあるかな。甘菜ちゃんが家畜追いを出してきたから、ここから先はちょっと厳しい展開になるかもしれないけど。
甘菜ちゃんは大きい進歩。あー、やっぱり井戸を取りに行くのかな。今のところワーカー5人の甘菜ちゃんが一番優勢に見えるから、井戸は渡したくなかったんだけどな。石積君がモタモタしてるからー。
「1木と1飯払って、『木製ホエイ桶』を出します」
「え、井戸じゃないんだ」
「んー、今じゃないんですよねー」
意外。ちなみに木製ホエイ桶は、羊さんを取ったら1木払えば、牛さんならタダで、厩を1つ建てられるという効果の小進歩。家畜を取って厩を建てて、早く繁殖態勢を作りたいということなのかな。確かにかまどダイレクトで食べてるだけじゃ飯基盤とは言えないし、5人家族を養うのは大変だよね。大進歩で出したのは、単にくびきさんがスタプレ取っちゃったからか。
ほらっちさんは改築。3レンガ1葦払って、レンガの家にして、2木払って出したカードは『車輪鋤』! そこにもあったか畑補助。効果は、1人目のワーカーで畑か畑種に行ったら、1度だけ畑を一気に3枚耕せるというもの。ほらっちさんはもう畑が2枚あるから、あと1回畑に行けば畑で4点取れる。しかも、しれっとレンガで4部屋目を建てられる資材を持ってるし。ここまで目立った動きはしてなかったけど、さすがほらっちさん、後半伸ばしてきそうだな。
石積君は3レンガ。何その地味な1手。
私は豚さん取って、くびきさんとさっきと同じやり取りをして終了。いやー、くびきさんには足を向けて寝られませんわ。
「そういえば甘菜ちゃん、家畜追いを出したのに羊さんも豚さんも取らなかったんだね」
「まだ取りませんよ。織木さんが2匹にしてくれるんだから、次のラウンドに取りに行った方がお得じゃないですか。2匹のときなら織木さんとも競合しないし」
「あ、そうか」
言われてみればそうだわ。私がアホでした。確かにそれなら甘菜ちゃんとWin-Winで、お互い良いこと尽くめだもんね。
「そして毎ラウンド家畜を取りに行ってくれるなら、私の買い付け人も忙しくなるってもんよ」
「そうだー! くびきさんから1飯もらえるんだった!」
「3人で幸せになれますね! Win-Win-Winですね!」
「なんか、女性陣楽しそうですね……」
「俺らは隅でひっそり頑張ろうか、石積君」
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