会話



斎場へむかう車で泣くポーズを練る俺がバックミラーにうつる





信号が赤だけどいいさ 行っちゃえよ 青っていうけど緑色だし





「こいつのぶんまでがんばんなきゃ」なんていう言葉をのぞき窓に探して





相当に薔薇そうびのいろはあざやかにそう、そうそうそう、これは葬送





手向けられた花にふれたる老人の手に花の影、花に手の影





晒し首の紫陽花が傘に撥ねられて雨滴を喪服にばらまいており





残照に染まれる夏の霊園の(memento mori)墓石の苔





むらさきに芥子けし咲きみだれたる墓地にねむれるひとのくちのむらさき





〈引〉とある扉を力いっぱいに押してやったぜ友の逝く夜

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