その日を摘め
御伽アトリ
その日を摘め
登場人物
少女 屋敷の主人 17歳くらい
青年 少女1の屋敷で働いていた孤児 数ヶ月でやめた
場所 大きなお屋敷と広い庭
いくつかの倉庫が不規則に建てられている
庭の隅で青年が大きな穴を掘っていて、中は快適な生活空間ができてい
る。
開演
少女、登場
水の入ったペットボトルを片手にふらふらと歩いて掘られている穴に向
かう
向かった先で青年が穴を掘っている
青年、少女1に気付きながらも隠れることなく穴を掘り続ける
少女、青年1の姿をしゃがんで眺める。
こちらに気づかないか足元を揺らしたりして様子を窺う
青年 少女1と目が合う。
沈黙しての後何事もなかったかのように穴を掘り進める
屋敷の外から慌ただしい足音と大勢の人の声が聞こえてくる
少女、音の方へ意識をそらす
青年、黙々と掘りすすめる。
少女、ペットボトルの水を少量、青年の頭にかける。
青年、不機嫌そうに少女を見上げる。
少女 ねえ、ここ私の私有地なんだけど
青年 無視して穴を掘り進める。
少女 ねえ、聞こえないの?
青年 沈黙
少女 水を飲み、不貞腐れた顔を浮かべる。
少女 ねえこんなところで何してるの?もうみんないなくなったけど
沈黙
窓が割れる音
少女 あ、まただ。もう何も残ってないのに。水もこれでラスト。あ、飲む?それともまたかける?
青年、少女を無視する
何かに気づいたのか掘っていたシャベルを下ろして、耳をたてる。
遠くから飛行機の音が聞こえてくる。
混乱する人々の声
少女 あ、もう来たんだー。思っていたより早いね
青年、視線で少女に降りてくるように訴える
少女、黙って頷き、穴の中に飛び降りる
青年、耳栓とヘルメットを少女に手渡す
少女、無言で頷き、耳栓とヘルメットを装着して部屋の奥へと行く
青年、鉄板で穴を塞ぎ、密室になる
遠くから飛行機の音が聞こえ、遅れて爆発音も混じり始める
重く衝撃の轟音は少しずつ近づいてくる
青年、神妙な顔で呼吸を整えている。怪訝そうな顔で少女1に目をやる
少女、何一つ表情が動かないままベッドに座って爆音が収まるのを待っている
その日を摘め 御伽アトリ @Atoriotogi
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