私の妹は、私の婚約者を寝取るクソやろうだ 完全版、策士ノゾミの逆転劇:裏切りを超えて掴んだ愛

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第1話イライラからのザマァでスカッとする話よりの、こぼれ話、私の妹は、私の婚約者を寝取るクソやろうだ 完全版

私の名前はノゾミ 26歳・・・・・


「ノゾミさん、本当に悪いと思っているんだ・・・・どう言っても言い訳にしか

聞こえないと思うけどこれだけは信じて欲しい

ノゾミさんとの事はもちろん真面目に考えていたんだ、だけど・・・・

やっぱり、結婚て考えると一生添い遂げるんだと思うと・・

・・・ごめん、ノゾミさんじゃなく、彼女・・・カオリしか」


そう言って、私の元婚約者トシアキさんは、隣に座る女性の手を握る

その女性・・・・カオリは勝ち誇ったような表情をしながら口を開く


「そう言うことだから、お姉ちゃんトシアキさんの事は

諦めてよこっちはもう子供もできたんだから、空気読んでよね」


なんともう妊娠までか・・・・それで私と、別れてくれか

せめて避妊くらい、すれば良いのになんとも責任感のない人だ

心の中では、もう呆れるしかないが、さてどう答えたものか

私が、一瞬躊躇してると余計な横車が入ってくる


「ノゾミ、こうなったらしょうがないじゃない

あなた、お姉さんなんだしカオリちゃんに、譲ってあげなさいよ・・ねえ?」


お姉ちゃんだからか・・・・・子供の頃から聞かされ続けたフレーズだけど

改めて、大人になってから聞かされるとイラつきしか湧いてこないわね

母さんは・・・やっぱりおかしいな、姉の婚約者を寝取り妊娠

どう考えても不道徳な事だと、思うんだけど・・・まあ良いか今更だ

それに私の気持ちももう随分と前から

決まっている・・・私は軽くため息を吐き


「わかりました、トシアキさんとの婚約は解消しましょう・・・

ただしそちらの不貞行為による、一方的な破棄ですし

それなりの慰謝料の請求はしますよ?」


私の当たり前な、要求にカオリと母さんは嫌な顔を見せ


「ちょっと妹から、慰謝料って非常識なんじゃない?」


「そうよ、家族じゃないあなた何考えているのよ」


どちらが非常識なんだかこんなのが私の家族かと思うと

本当に悲しくなってくる

まあ、こんな反応をするだろうとは、予想済み

この二人にこのまま、ごねられて無駄に時間を使いたくは無い、なので


「請求するのはトシアキさんにです」私の言葉にトシアキさんは頷くと


「わかった、ノゾミさん慰謝料はお支払いするよ」


当のトシアキさんは諦めたように

微笑んでいるが、まだ二人は不満なのか私を睨んでいる


「ノゾミさんは弁護士だし、その辺は、しょうがないよね」


今更ながら、私の職業を思い出したのか?

このトシアキさんの一言で、ようやく、私の条件を飲む方が問題なく

終わることが理解できたのだろう、二人はおとなしくなる


「では、慰謝料の金額なんですけど・・・そうですね婚約破棄の

慰謝料もピンきりでだいたい50〜200てところなんで

100万でどうでしょうか?」


私とトシアキの婚約と言うか、付き合いは半年なんで

本当なら100万も取れないだろうけど、まあこれくらいならご愛嬌だ

弁護士の私が、提示した額なんでそんな物なんだろうとトシアキは頷き


「わかったよ、振り込む口座を指定してくれれば、すぐにお支払いするよ」


トシアキの返事に、私も頷き


「明日にでも、メールで送りますから、よろしくお願いします」


・・・・・さて、カオリにも一言、言うべきなのか?

いやどうでもいいか、あの勝ち誇ったドヤ顔はムカつくが

私は、それ以上は何も言わずに、実家を後にすることにした


・・・・・・・角を曲がり実家が見えなくなった時

私は我慢ができず・・・・・右手を天に突き上げると


「やった、全て私の思うがまま、まさに策士・・・孔明ね」


そう、全部が、私の計算どおり・・・・いやカオリが妊娠したのは

ちょっと予定外だけど・・・まあ、全然OKだ


なぜこんな事を?自分の婚約者をなぜ妹に?そう疑問を持つだろう

妹思いの私が、大学卒業後、家事手伝いという名のニートになり

遊びまわっているカオリに同情して、イケメンで一流企業勤め

しかも実家はそれなりの資産家っていうなかなかの物件を

あてがってあげた訳じゃ・・・・・・もちろん無い


さっきのやり取りで、薄々はわかったと思うが私は妹が嫌いだ

母親も、父親は・・・微妙

カオリは我が家のお姫様、私はそのお姫様に使える家臣

母親はそこまでは、思ってないかもしれないが

カオリの中ではそんなところだろう

カオリはとにかく、昔から私の物を欲しがった、おもちゃ、服、お菓子

そしてそんなカオリを、母親は止めもせずに、お決まりの


「お姉ちゃんなんだから我慢しなさい」


子供の頃から、そう言われ続けて、私も洗脳されたのか

それで問題なく暮らしていたんだけど、私が高校生の時に転機がきた


それは私が17カオリは15の春

なんとこの私に、生まれて初めての彼氏ができたのだ

もう嬉しくて有頂天その時の私には、周りが何も見えず、まさに我が世の春だった

思えば幸せな1ヶ月だった・・・・・・・そうたったの1ヶ月で

カオリに取られたのだ・・・・・・私は切れた、生まれて初めて切れた


カオリに飛びかかり、グーで殴りつけた、カオリも反撃してきてもう家の中で

大暴れに、もちろん母親や父親が黙って見ているわけもなく

すぐに引き離されたけど


だけど、カオリはともかく母親と父親の言うことに

私は本当にショックを受けたいや、絶望したと言ってもいいだろう


母親はいつものお姉ちゃんなんだからと平常運転だったけど

父親はカオリが悪いが、手を出したお前も悪い

喧嘩両成敗だ二人とも謝って仲直りしろと


今、大人になって振り返れば、父親の言い分も理解できる

だけどその時の私はまだ子供だった、この家には誰も私の味方がいない

カオリの事は大事にするのに、私のことは何も考えてくれない

勿論これは極論であり、そんなことは無かったのだろうが

当時の私はそう思い込んでしまった


そして、決意した自分一人の力で生きていかないといけない

家族は頼れないそれからの私は、ひたすら勉強した

元々成績は良かったが、さらに上を目指した

そのかいがあってか、大学も〇〇大法学部をストレートで合格

そして在学中に司法試験も合格し・・・卒業後は大手弁護士事務所勤務と

まあ勝ち組ってやつになれたのだから、ある意味感謝すべきなのかもしれない


まあ弊害として、いまだに男性と・・・そのキスもしたことがないんだけどね

勘違いしないで欲しい、私は決して勉強だけしかできない不細工じゃない

それどころか、私とカオリは子供の頃から

ご近所で評判の美人姉妹だったんだから


ただ、本当に勉強で時間が無かったし・・・・

カオリのせいで男性に不信感もあったし

そんな時間を過ごしていれば、その男性の方からも私を避けてくるようになり

・・・・・・・・そんなことはどうでもいいんだ


話がちょっとずれたが、そんな感じで疎遠にしていた訳だが

じゃあなぜ、そんな嫌っている妹に婚約者を紹介して

寝取らせるような真似をしたかだが


こちらの訳もちょっとだけ、込み入っているその訳を話すとともに

私と、トシアキさんとの関係と言うか、出会いのことから

そしてもう一人の人物の紹介をしないといけないだろう


私とトシアキさんが出会ったのは、やく1年前

私は友人のアヤカから頼まれた離婚の調停のため

そしてトシアキさんはその当事者というわけだ

トシアキさんは私より一つ年上の当時26歳、友人のアヤカは私と同い年

年も近いし、美男美女のお似合い夫婦だったらしい


ことの始まりは、アヤカからの突然のメールだった

正直に言おう、私には友人もあんまりいなかった・・・しょうがないんだ勉強で

忙しかったんだから、だから友人と言える存在はほとんど居なく

アヤカからのメールも、誰だっけこいつ?状態だった


アヤカの方も、私の事をそれほど覚えていた訳じゃないだろうが

弁護士になったことは知っていて、それで相談に乗って欲しいと

正直気が乗らなかったが、学生時代の知り合いが助けを求めているのを

簡単に無下にもできずとりあえず1回くらいは話を聞こうかと

そんな軽い気持ちだった


久しぶりに会ったアヤカ・・・ああ思い出した、ああ確かにいた・・いたけど

こいつ、こんなに痩せてたったけ?

学生時代のアヤカはどちらかといえばポッチャリした

可愛らしい小動物タイプのお嬢さんだったんだけど


「久しぶりねアヤカ、その随分痩せたのね、羨ましい」


ジャブがわりの軽い挨拶すると


「うわぁああああ」いきなりの号泣・・・・何なんか地雷踏んじゃった?


ファミレスだったんで周りの目が痛かったが、なんとかアヤカを宥め

事情を聞くことにする・・・・・・・なるほど


アヤカの話は、こう言ってはなんだがよくある話だ

特に私の職業柄本当によく聞く話

つまり、結婚したが夫が姑の言いなりのマザコンで、姑が趣味なのかと?

疑いたくなるような、嫁いびりをしてくる、そんな話だ


こんな話を聞かされた時の私の答えは、概ね決まっている


「それでどうしたいの?・・別れたいの?」


アヤカは私の質問に大きく頷くと


「うん、もう限界なの、1年も経ってないのに私15キロも痩せたんだよ

それに肌もボロボロだし、髪もパサパサ・・・もう限界なの」


なるほど、そこに痩せたね、羨ましいと言われれば・・・・泣きたくもなるか


「ねえアヤカ、それは友人として助言が欲しいのかな?

それとも弁護士として私に仕事の依頼がしたいの?」


私の質問に口籠ってるのを見て、すぐに理解する

あああんまり深く考えていないんだろうな


「あのねアヤカ、仕事として引き受けるとなると

それなりにお金がかかるわよ?」


「その、友達価格とかにならないの?」


「そうしてあげたいんだけど、私も雇われだからな

仕事としてなら、正規料金にするしか

ないわね・・・・申し訳ないんだけど」


「そうなんだ・・・・ごめんね、私全然お金がなくて、全部取り上げられて実家に逃げることもできないの」


「そうなの?・・・・確か実家って?」


聞いたことあったかな、思い出せない

私が思い出そうと、してるとアヤカの方から


「うん宮崎・・・飛行機か新幹線じゃないと」


なるほど遠い


「それなら、実家の人に迎えにきてもらったら?」


私の指摘にアヤカはいっそう暗くなり項垂れる・・・


「ダメだったの?」  


「うん・・・・トシアキも義母さんも外面はいいから

うちの両親もごまかされて

躾直してくれてるんだ、郷に入っては郷に従えって、そればっかりで

多分、実家まで逃げても追い返されるよ」


アヤカはそう考えているようだけど、今のアヤカを直接見たら、どうかな?

精神的にもちょっと不安定だし、尋常じゃない痩せかただ

さて、どうしたものかと考え込んでいると、アヤカが私の事を見つめている


「うん?・・・どうしたの?」


「ノゾミさんにお願いがあるの」


「お願い?」  


「うん、もうあの家に帰りたくない、ほんの少しでいいの

ノゾミさんの家に泊めて」


そうきたか・・・・これは困ったな

その手の支援をしてくれるNPOを紹介すべきか

それとも・・・・・う〜〜〜ん、私がどうするか悩んでいると


「ねえなんでもするから、食事でも洗濯でも、掃除でもなんでもするし」


「わかった、しばらくウチに来なさい」


告白しよう、私は家事が全然できない・・・・・だって勉強で・・・・

・・・・・・・・・食事は外食かコンビニ弁当、部屋は、その汚い・・・・

・・・でもアヤカだって困ってるし、人助けよ


その日の夜から、アヤカは着の身着のままででウチに住むことになった


「おぉぉ・・・・信じられない」


アヤカがウチに来てから3日


同じ部屋とは思えないほどキレイ

帰ってきたら暖かい食事が出てくるし

洗濯機に入れとけば、いつの間に洗濯されてるし

なんて快適なんだ・・・・・何年かぶりに人として暮らしてるような

気分になってきた


もう、このままアヤカにはここに住んでもらいたいな

そんな気分にもなってくる


「アヤカ・・・・これからの事なんだけど」


アヤカは怯えたような表情を浮かべるが、すぐに笑顔を浮かべ


「うん・・・・やっぱりいつまでも、いる訳にはいかないよね?」


「いや、その話じゃなくて・・・・いやその話も関係あるか

アヤカの離婚の話だよ・・・・前に言ったけど

弁護士とし雇うならお金がかかるって話ね」


「あ、うん、でもそんなお金ないよ」


「うん、わかってるよ、だからその弁護士費用は私が立て替えるから

その分うちの家事をやって頂戴、詳しくは知らないけど

家事代行の料金とか調べるから、かかった分の家事をしてくれればいいから」


「それでいいの?」


アヤカにとっても随分と都合の良い話だ、信じられないのか?

微妙な顔をしてるな、だけどこれはどちらかと言えば、私にとって都合がいい話


先人はこう言った、結婚したいなら、まず胃袋を掴め・・・・

含蓄のある言葉だ・・・・・掴まれてしまった・・・じゃあしょうがないよね?

私はアヤカに何度か頷き


「明日からにでも離婚のための協議に入る

旦那さんの連絡先教えて、その後は全部私に任せてくれればいい」


「ありがとうノゾミ・・・・本当にありがとう」



その後、アヤカからトシアキさんの連絡先と、さらに詳しい話

離婚の条件などヒヤリングしたのだが


「う〜〜〜ん、嫁いびりにしても、証言だけで

何も証拠がないのがちょっと痛いわね

負けるとは言わないけど・・・・これは長引くかな」


私が調停だけじゃなく、裁判も意識し始めた事を言い始めると

アヤカは少し狼狽したように


「ノゾミ・・・別に慰謝料とか欲しい訳じゃないから・・・・

・・・もう一刻も早くあの人達と縁を切りたいの、離婚できればそれでいい」


なるほど、アヤカの気持ちもわかる、疲れているんだろう・・・・怒りも感じないほどに

・・・・・仕事として引き受けた以上、アヤカの意思は私の弁護方針だ

とにかく離婚を急ぐ条件は何もなし、これで行くことにしよう



「こんにちは、突然の連絡で驚かれた事と思いますがアヤカさんは

ある場所で無事に暮らしてますから、そのことはご心配なく」


「ある場所ですか?」そう答えるトシアキさん・・・初めて見るが


なるほど、アヤカに聞いてたとおり、ちょっと線の細いイケメンさんだ

もう少し連絡が遅ければアヤカの失踪として警察に届ける寸前だったそうだ

そうなっていても構わないけど、モメる元は少ないに越したことはない

曖昧に私は笑うと


「はい、場所はお教えできませんけど、なんの問題もありせんので

ご安心ください」


「はあ」


そう歯切れ悪く、生返事を返してくるアヤカに未練でもあるのだろうか?


私の予感は残念なことに間違ってなく、トシアキさんは離婚をかなり渋った

姑の嫁いびりなどを指摘しても、こちらは予想どおり否定してきた


確かにイビリに見えるようなことも、あったかもしれないが

全てはアヤカの為に母親が泥をかぶってくれたんだと・・・・

弁護士として考えるならトシアキさんの言ってることも

理解できる、何せ客観的な証拠が何もないんだ

アヤカが嘘をついてる可能性だってある


だが私の弁護士としての勘は、こうも言っている

少なくともトシアキさんに関しては

アヤカの言ってることに嘘はなく

彼は大人になっても母親の支配から抜けれない男だと


それから何回の協議を重ねたろうか・・・

トシアキさんだけじゃなく母親まで出てきて

私の勘は確信にまでなったけど、話が進まない・・・・


「嫁いびりの話はともかくとして、依頼人の意思はとても硬く

離婚以外の選択はないと・・・そのこのままですと離婚調停・・・

それでも話がまとまらなければ、裁判・・・・そこまで行けば

流石に結婚生活の破綻と認められるはずです・・・

どうかその辺のこともご考慮ください」


本当にいい加減諦めろ、離婚はもう決定事項なんだよ

慰謝料も財産分与も無しって好条件なんだから、今すぐサインとハンコを押せよ

この無駄な時間に、私は内心イラつきながらも

いかにもトシアキさんにとってもその方がいいですよって、顔をしとく

だけど、今日もハンを推してくれなかった・・・・・


これはもしかして?・・・・それからも何回か協議を重ねるうちに

私はあることに気づいた・・・・最初は気のせいかもと思ったが

・・・・これは間違いないかも、トシアキさん・・・

・・・私に気がある?・・・・・こまったな


クールビューティーの私が依頼人の心を落とすのは、よくある事だが

・・・・・・・気のせいかもしれないけど・・・・

よくある事だが・・・・それにしても困った、モテる女は辛い

顔がニヤけてくるが、それは別問題だ・・・困った・・・


「Lightning」


突然立ち上がり意味わからない事を言い始めた私にアヤカは


「どうしたの?・・・・・ああ、充電したいのね、ライトニングケーブルね」


そう言うとすぐに私の手に、某リンゴ純正のケーブルを渡してくるが


「違う・・・・雷に打たれたような、名案が浮かんだのよ」


アヤカと暮らし初めて3ヶ月になると、お互い気心もしれ遠慮しなくなってきた

私は興奮して今浮かんだ名案をアヤカに話そうと思ったが

・・・・・いや、うまく行くかわからないし・・・これはアヤカが知らなくてもいい事だしな黙り込んだ私に、不安顔を向けてくると


「どうしたの、本当に?」


まずいな、どうやって誤魔化そうか・・・・

・・・そうだ、そろそろ今月分渡さないとな


私はすぐに財布を取り出すと、10万ほどを抜き出し

アヤカによく見えるようにヒラヒラとさせる


そんな、私の動きにアヤカの方も体を硬くする

私はアヤカの前に立つと、ニヤリと口元を歪め

手に持った10万でアヤカの頬をパシパシと


「この10万が欲しいか?・・・・欲しければ、跪いて懇願することだ」


「くっ・・・・・そんな汚い金で私の体を買えても

心までは買えないんだからね」


「hahahahaha、戯言をだがいいぞ、いずれはその心とやらも

買ってやる覚悟しておくといいHAHAHA haha」


大きく口を開け大爆笑している私を、アヤカが真顔で


「ねえノゾミなんで毎回、生活費を出すのにこんな小芝居入れるの?」


「楽しいから・・・・・・・さあ、続きよ、そこに座り込んでセクシーな感じで私をキッと擬音が付く感じで睨みながら・・・・そう・・そんな感じよ」


「まだ私に逆らう、余裕があるのか

だがいつまでその強がりが続くか楽しみだハハハハハハハ」


爆笑して満足した私は


「今月もお願いします」


腰を90度に曲げ、アヤカに10万を差し出すアヤカの方は呆れ気味に


「はあ・・・学生の頃は気づかなかったけど、ノゾミって変なやつだったのね」


うるさいない、社会人になってから、アニメにハマり始めたんだよ

今のも、ハマってるアニメの悪役の真似なんだけど

普段真面目にしてるから、一瞬だけど悪になりきり、大声で笑う

一回やると気持ちいいんだなこれが、まああんまりやりすぎると

アヤカも嫌がるだろうしほどほどにとは、思っているんだけど


「今のこの前一緒にみたアニメの悪役でしょう?」


「まあね・・・ちゃんと見てたんだ?」


意外だった付き合いで、見てるだけだと思ったけど


「うん、ちょっとはね・・・・でもノゾミあいつは、すごいドSよ

相手を精神的に追い詰めて、壊れていく様を笑いながら、観察してるような・・

・・・・まさかノゾミ?」


「いやいや、違うから・・・そこまで極めようと思ってないから

ちょっと普段の真面目な自分から解放されたかっただけだから」


アヤカの疑いの混じった目に、私は慌てて全力で否定する

やばい、楽しかったけど、この方法は来月からはやめよう

次はどう渡そうかな?・・・・・・普通にわたせって?


まあ、とにかく本来の目的は達成できた・・・・うまくないが誤魔化せたぞ

とにかくだ、私は思いついた計画を進めることにした


私の気のせいじゃなくトシアキさんは、あっさりと釣れた

食事に誘えば、喜んでついてくる

もう、間違い無いだろう、まずは計画の第一段階だが

アヤカと円満離婚させるために、まずトシアキさんに再婚したいと思わせる


私に気があるのは都合がいい・・・・実は後で聞いた話なんだけど

私のことは母親に勧められたらしい、なんでも見た目も悪くないし

弁護士なんて社会的にも信用される職業についてるし、学歴も申し分ないと

それで私の学歴とか聞いてきたんだ・・・・母親に勧められたって

ちょっとだけショックを受けたけど、まあ私の計画には何の問題もないと

そのことは無視することにした


次の段階だが、結婚を前提に付き合うのは

構わないが本当に手を出されるのはマズイそこで


「恥ずかしい話なんですけど、この歳まで

男性とまともに付き合ったことがないんです

そう言ったことは、結婚するまで待ってくれませんか?」


これは本当の事をズバリと言った、別に守ってる訳じゃないんだけど

・・・・誰でもいいから奪いにこいよ・・・・いや

やさぐれてていても・・・・・次に行こう・・・


本当に結婚するきなんて、私にはサラサラ無いだがそれを私の方から

言い出すわけにはいかない・・・・そこでだ、Lightningケーブル

じゃないアヤカのせいで余計な刷り込みができた・・・・じゃなくて

まさに雷に打たれたように私は思いついた

実家に連れて行けば妹のカオリがとってくれない?


正直、どこまでうまくいくのか、疑問もあったカオリだっていい歳だ

常識もそれなりに身につけたかもしれない、姉の彼氏をとって

喜ぶような子供じゃなくなったかもしれない・・・・


よかった、あいつがバカのままでククク、カオリ頑張れよ

カオリの結婚祝いは・・・・・そうだなICレコーダでも送ってあげよう

きっと役に立つはずだ・・・・・・あとはそうだなトシアキさんからせしめた

慰謝料でアヤカと旅行にでも行こう、もう決めているんだけど

この前みた高級旅館に行ってみたかったんだ

一晩驚きの35万だが、泡銭だと思えば痛くない

アヤカに金の出所はハッキリとは言えないが

トシアキさんの金できっと癒される事だろう・・・・

ついでに私も癒される事にしよう



それから1年後、あんまり驚きのない連絡が母親からきた

カオリが胃潰瘍で緊急入院したと


「1年か・・・・なんだカオリのやつ、逆に姑のやつをいじめ返すくらいの

気概が欲しかったのに、所詮やつは内弁慶・・・・姉妹最弱だな」



呼ばれるままにカオリの入院先にきたのだが

どうもカオリの機嫌が悪い私がくるや、睨みつけてくる


「知ってたんでしょう?・・・・

私がひどい目に遭えばいいと思ってたんでしょう?」


当たり前だろう?、今更何を確認したいんだ?

そう言いたいところだが、そこは私も自重し笑顔を作ると


「何が?」


「とぼけないでよ、トシアキさんがマザコンの、どうしょうもない男で

その母親は嫁イビリが趣味のとんでもないクソババアだってことよ」


「ええ・・・そんな知らなかったカオリ大変だったのね、かわいそうに」


ダメだ、どうしても悲しい顔ができない

笑いそうになるからそれも我慢しないといけないから

完全に無表情になってしまうしセリフも棒読みだ・・・・

なんかサイコパスみたいだな


「とぼけないでよ、じゃあ何で結婚祝いにICレコーダなんて送ってくるのよ

普通そんなの送らないじゃない、知ってたんでしょう?」


私とカオリのやりとりを母親はハラハラしながら見てるが

事情がいまいち飲み込めないんだろう、黙っている


「カオリ、私の仕事知ってるよね?」


「はあ、弁護士でしょうそれがどうしたのよ?」


「カオリ・・・・結婚生活にICレコーダは必須なのよ弁護士業界ではね」


嘘ですそんな常識はありません

だが馬鹿なカオリは、動揺し始める


「え・・・・でも」


何か考えをまとめようとしてるみたいだが

そんなのに付き合ってはいられない


「役に立ったの?・・・証拠はちゃんと取れた?」


カオリはハッとし


「うん取れた・・・お姉ちゃん

この証拠でトシアキとあのクソババアから慰謝料をごっそりとってよ」


よしよし、うまく誘導できてるぞ


「いいけど弁護士費用は安くないよ、あんたそんな金あるの?」


ここで話を聞いてただけの母親も口出ししてくる


「ちょっとノゾミ、あなたお姉ちゃんでしょう

妹が困っているのよ助けてあげようと思わないの?」


「うん思わない、だって私、こいつのこと大嫌いだし」


そう言い切る私に、カオリと母親は唖然としてるが続けて私は


「逆に聞きたいんだけど・・・姉として私にこんな大事になこと任せられるの?

もしかしたら、あっさり向こうに白旗あげて

和解しちゃうかもとか思わないの?」


うん、私を姉として頼るつもりなら、あっさり和解するお金は一銭も取らない


「でもさ、私はこれでもプロのつもりなの

正規の依頼で正規の料金が払われるなら

感情は無視して仕事ができるくらいにはね・・・・・・

・・・・さあファイナルアンサーだ、頼るのは姉か

プロの弁護士か選択したまえ」


カオリは呆然としたままでフリーズしているが


「わかりました、費用は私が立て替えるからプロとしてお願い」


「お任せください」


私は依頼人を安心させる為に最高の笑顔を見せてあげることに


「でもさ母さん、いい加減カオリのことは、放っておきなよ・・・

カオリのためにもよくないよ」


これが最後の忠告、家族としての最後の母親も思うこともあるのだろうが

あとは親子三人・・・いやカオリの子供が増えて四人か

私の助けがあるとは、もう期待してないだろうから

いずれはカオリを働きに出すか、またどこからか男を探すかするだろう

どちらにしても、もう私には関係ないことだ


そんな私の中での、家族との別れを告げ

さて・・・・・次はトシアキさんだな


トシアキさんとトシアキ母は微妙な顔をしている

まあそうだろうね、2回も同じ弁護士と離婚協議するなんてそうないからね


だけど前回と違うのは今度は離婚すれば終わりじゃない

カオリに対する慰謝料と、カオリの子供タケシに対する養育費の問題もある

だが、今度はこちらにかなり優位だ、何せ証拠もあるし

子供は間違いなくトシアキさんの子供

慰謝料も養育費も、どんなにゴネようがチャラにはさせない


「そのノゾミさんこんなことになって、なんて言っていいのか」


「確かに、私も滅多にないことで、戸惑っていますよ」


「うん、ねえノゾミさんよければ今度、二人で話せないかな?

カオリのことも・・・・これからのことも」


・・・・・・・・え?・・すごい神経してるな

もしかして私とよりを戻したいの?

それとも母親にそう言われたのかな?・・・・

まあどちらでもいいか、私には全くその気がない

・・・・・だけど実の所私は

それほどトシアキさんのことが嫌いなわけじゃない

結婚相手として、男としてどうかは判断外だが

ふむ・・・・伝わるかどうかわからないけど

トシアキさんにも最後の忠告をしとくか


「トシアキさん、あなたは2回結婚しました、そして2回破局しています

あなたのやるべきことは、新しいパートナを探す前に

なぜ破局したのか、その原因が何あのかよく考えた方がいいと思いますよ」


私の心からに忠告に多少は心を、動かされたのか

トシアキ、トシアキ母は何か考えているようだ


考えが纏まったのか?トシアキさんが、口を開く


「わかったよ、じゃあその原因を何とかすれば

ノゾミさん的には問題ないってことだよね?」


いや、何でそうなるんだよ?・・・何にもわかってないなこいつ

どうしようかな・・・・・こいつらとは仕事以外じゃ付き合いたくない

うまく言いくるめないと・・・・・・そうだ


「トシアキさん、あれから1年も経ってるんですよ

あなたは結婚してこれから離婚するってのに

私は何も変わっていないと?」


意外だったのか、キョトンとした顔で私を見ると


「え・・いや、でもノゾミさん結婚前提じゃないと

男性と付き合えないって言ってたよね

結婚するの?・・・・いや指輪もしてないし・・・・」


トシアキさんも言ってて混乱してるのか、答えを出せないでいる

よし答え合わせだ、私はスマフォをだし、ある画像を見せる

ある女性とのツーショットだ

トシアキさんは食い入るように見ると、気づいたいのか


「アヤカ?・・・・何でアヤカとノゾミさんが?」


「はい、あなたの元妻のアヤカさんです、ちなみそこは私の自宅です

私たちはそこで同棲をしています」


「え?・・・どうせいって?・・・・どういう意味?」


そう言う意味しかねえよ、と言ってやりたいが


「トシアキさんとの離婚の時と私の婚約破棄の時、お互いを慰めあい

そんな関係になりました、今ではかけがいのないパートナです

・・・・・トシアキさんありがとうございます、あなたがいなければ

こんな素敵なパートナを得ることができませんでした

あなたもまだ若いんですから、頑張ってください」


まだ呆然としている、トシアキとトシアキ母と後に話を打ち切ると

私は早々と席をたった・・・・・・どうせ今回もゴネるだろうし

長い付き合いになるんだ、今日のところはもういいだろう


店を出たところで時計を確認してみればもう定時を回っている

よし今日は直帰しよう、暖かい食事とお風呂が待ってるぞ

・・・・・・・・・・さて、先ほどトシアキさんに話たことだが

トシアキさんをかわすための、出鱈目か、それとも・・・・・・・

それはご想像にお任せしよう。




私の妹は、私の婚約者に手を出してくるクソヤロウだ(アヤカサイド)



私の名前は アヤカ 26歳・・・まだ結婚一年目の新婚と言ってもいい主婦なんだけど・・・・・だけどもう限界かもしれない・・・


「そうなんだ・・・アヤカも大変だよね、うちも義母さんが厳しい人でさ」


愚痴をいつものように言い合っているのは

大学からの友人で同じく主婦のレイコ

レイコも今は妊娠中だし、近頃はあんまり会えないんだけど


「レイコ・・・・わたし、もう限界かも・・・どうしたらいいんだろう」


お互いの愚痴を言い合い、ストレスを発散させていたんだけど

わたしの方はもう、そんなものじゃ、耐えれそうにない

突然取り乱し、そんな事を言い出す私にレイコも動揺を隠せず


「その・・・そんなに大変なの?・・・ダメそうなの?」


「突然ごめんねレイコ・・・・でも、これ以上我慢するのは無理かも

私・・・壊れちゃうよ」


そう・・レイコや友達には、あんまり心配もかけたくないので

そんな深刻には話さなかったし、この一年で痩せた体も

ダイエットしてるって言ったんだけど

本当はそうじゃない、ストレスで食欲がなくなり

睡眠もちゃんと取れなくなってきた

そんな私の様子に気がついたのだろう、レイコは


「アヤカごめんねそんなに、悩んでるなんて、気づいてあげれなくて・・・・

・・・・でもそんなに酷いなら、別れた方がいいんじゃない

こう言っちゃなんだけど、アヤカはまだ妊娠もしてないし

今のうちじゃない?」


別れるか・・・・簡単に言ってくれる、そんなこと夫のトシアキも義母さんも

許してくれないだろう・・・・それに、うちの両親もだ


「別れたいんだけど、そんなに簡単にいかないの実家も味方になってくれないし

それにこのまま追い出されたら

私・・・・明日から暮らす家や食べる物にも困るくらいだし」


単なる愚痴を聞くつもりが、突然に重めの人生相談になったんだ

レイコもどう言っていいのか、言葉がなかなか見つからないようだが


「その、アヤカごめんね、こんな時何って言っていいか・・・・」


「ううん、こっちこそ・・・・そうだよね

突然こんなこと言われても困るだけだよね」


私もレイコも苦笑いを浮かべ、それからは気まずい時間が流れる


「・・・・・・そうだ弁護士とかに相談したらどうかな?・・・

何かいい方法を教えてくれるかも?」


「弁護士か?・・・・・でも弁護士ってお金かかるよね?」


「確かに・・・ごめんね、考えなしで・・・・・・

でも無料相談とかなんかで聞いたこと

あるし、調べてみれば・・・・・・・あ・・・そういえば」


レイコは何か思い出したのか、大きく頷くと


「そういえばさ あの人・・・・・ノゾミさんに相談してみるとかどう?」


「・・・・・ノゾミさん、あの完璧超人の?」


「そうそう、あの人、確かあの人弁護士になったんだよね?・・・

それなら昔のよしみで、相談くらいなら乗ってくれるんじゃないかな?」


せっかくのレイコの申し出だが、私はどうも気乗りがしない


「昔のよしみって・・・単に同じサークルにいただけじゃない

たぶん向こうは、私のこと覚えてもいないわよ」


レイコに言われるまで、頭から消えていたけど

彼女は、ある意味有名人だ、彼女とは同じテニスサークルに

所属していたんだけど

会話はほとんどなく・・・・いや彼女と挨拶以外で

まともに話した事がある人の方が珍しい

大学でテニスサークルなんて、ほとんどの人が遊びか、ナンパ目的なのに


化粧っ気は全くないが整った顔立ちに、170以上の長身

胸はそれほど大きくなく、スレンダでモデル体型って言ってもいいのか

その目立った容姿で、当初は男の人たちも

放っておかなかったんだけど、まったく彼女はまったく相手にせず



そんな彼女を見て、他の女子達は何の為にサークルにきているのか?

お高く止まって、いけすかない女だと、よく陰口を聞いたものだし私もあんまり

いい感情を彼女には抱いてなかった

ではそんな彼女は何しにサークルにきていたのか?

彼女は本気で運動をしにきていたのだ、それはもうかなり真面目にだ

そんなサークル内でも、浮いた存在だったんだけど


顔よしスタイルよし、運動ができその上、頭までいい・・・

すごいことに在学中に司法試験に受かる程の・・

もうここまでくると漫画の中の存在

私達とは別の世界に生きる人だと、私などは割り切れたんだけどね

私が彼女の事を、思い出しているとレイコは続けて


「ダメもとで連絡してみたら?

もしかしたら話くらいなら聞いてくれるかもよ?」


連絡してみろか・・・・・

確か一回だけサークルの連絡用にメルアドを交換した事あるけど

あれから随分時間だって経っているし、今も通じるかどうか?

あんまり乗り気じゃない、私にレイコもそれ以上は勧めては来ず

かといって、他に名案も浮かぶ訳でもなく、二人して暗くなってしまう


「その、力になれなくてゴメンね

まあ気が向いたらノゾミさんにも話聞いて貰えば?」


それで、今日はお開きになったのだけど・・・・

何一つ私の悩みは解決はしていない

・・・・・・はあ、このまま我慢するしかないのかな?

そのうち、慣れて、平気になるんだろうか?・・・・



「アヤカさん、随分と遅かったですね

こんな時間までどこで遊んでいたんですか?」


こんな時間って、まだ17時前、夕飯の準備はまだだけど

買い物は済ませてきたんだし

そうは思うけど、そんなこと義母さんに言えるはずもなく、頭を下げると


「すみません、久しぶりに友達と会えた物ですから、つい長話をしてしまい」


「そうなの?・・・・本当に友達でしょうね?」そう疑わしそうな目で


何なの本当に、私が不倫をしてるとでも?流石にムッときてしまい

ちょっとだけだが口調が荒くなる


「何なら連絡先教えますから、ご自分で確認なさったらどうですか?」


「あら、そんなのいくらでも、口裏合わせできるじゃない・・・何?

慌てちゃって図星でもつかれたの?」


「違います、私はそんなことしてませんから

信じてください・・・・あの夕飯の支度もありますし」


そう言ってこの場を逃げる事した・・・これ以上言ってもどうせ義母さんは

私の言う事は、全て否定するだけ・・・・そうだ

私の言うことに否定したいだけ話すだけ無駄だ・・・・


その日の夕飯は最低だった私の作った食事にケチをつけるのはいつもの事だけど

なんとトシアキさんに私が不倫してるかもしれないと

証拠もないのに言い始めたのだ


義母さんの言うことなら、なんでも言いなりのトシアキさんも

流石にこんな事は簡単には信じないようでその事にはホッとしたのだが


「だけど、母さんにそんな疑いを持たれるような

行動をとるアヤカにも問題あるよね母さんの言う事をちゃんと聞いて

そんな疑いが持たれないようにしなくちゃね」


トシアキさんの言葉に私は「はい、すみませんでした・・・」と返事をして頷くがどうすればよかったのか?・・・私が悪かったの?

もう色々な感情がごちゃ混ぜになり・・・・・最後は何も考えることができない


疲れ切り、眠りにつく前、ふと昼間レイコが言ったことを思い出してしまった

・・・・・・ダメもとでか・・・・・私はスマフォを取り出すと

ノゾミさんの連絡先に

相談に乗って欲しいことがあるので一度会って貰えないか?

そう短くメールしてみた・・・・・・・・メルアド変わってないんだな

ちゃんと送れたみたい・・・・・返事が来るかは別だろうけど

・・・・・・・どうせ、期待はできない、なんでこんなことしたんだろ?


・・・・・・・自分でもわからないけど、とにかく今日は、もう寝よう

寝坊したら、また義母さんに怒られる・・・


「う〜〜〜ん、もう6時か起きないと・・・・あ」


アラーム代わりにしているスマフォの画面をみれば、メールの着信があるまさか?


「ノゾミさん、私のこと覚えていてくれたんだ」


○○日の14時なら空いてるので、その日でよければ相談にのると

随分と簡潔で味気ない文面だったが、それもあの人らしい

○○日か・・・・まだ義母さんには嫌味を言われるだろうが


だけど、微かではあるけど、私の心に希望が・・・・・どうせありきたりな事しか

言ってくれないかもしれない・・・・いや、あの人は私や

私の周りの誰とも違ったもしかしたら・・・・不安と希望・・・

常にどちらにも揺れながら私はその日を待つ事になった


間違いがない、ノゾミさんだ、遠目にもすぐにわかった全然変わっていない

いや、昔よりカッコよくなっているかもしれない

クール系って言うのか、仕事のできる女に見える


ノゾミさんの方は私の事にまだ気づかないのか、かなり近くまで私が近づくき

ようやく私の事を認識してくれたみたいだ

軽く挨拶した後、とりあえず近くのファミレスに向かうことに



「久しぶりねアヤカ、その随分痩せたのね、羨ましい」・・・・・・・

なぜだかわからない?・・・・・けどどうしても涙を抑えることができない

何が悲しいのか?・・・・・それも考えることができない、ただ流れる涙を

どうしても抑える事ができない・・・・


ノゾミさんも慌てたように、私の背中をさすってくる

ほんの5分程度だったろうけど、なんとか落ち着きを取り戻すと

途端に恥ずかしくなる・・・こんな人前で、ノゾミさんだって迷惑だろうに

・・・・・・私、こんなに脆くなってるんだ?・・・


ようやく話せるようになったのを見て、ノゾミさんが話を促してくる

私は、ポツリポツリと事情を話し始めるが、その話を聞いている

ノゾミさんの態度は、私の期待とは違く冷たいように見える


やはり、私のことなんて面倒くさいだけで気にもしてくれないのか?

言ってくることや、聞いてくることもまるで感情が入ってるようには

思えず、なんとか話を聞いてもらおうと焦る私は

突然とんでもないことを口走ってしまった


「うん、もうあの家に帰りたくない、ほんの少しでいいの

ノゾミさんの家に泊めて」


こんなこと頼めるほど親しくしてはいなかったし、流石に迷惑すぎるだろう

だけど、ノゾミさんの同情が引きたくて

ここまで追い込まれてるんだと

アピールしたかったのか?・・・・それは、私にも微妙にわからないけど

たぶんそうなんだろう・・・案の定ノゾミさんは困ったような顔になり


そんな顔を見せられれば、これ以上何言っても無駄なのだろう

彼女は助けてはくれないのだ・・・私の中では、もうほぼ諦めている

・・・・だけど、それでもまだ未練があるのだろう、心とは別に


「ねえなんでもするから、食事でも洗濯でも、掃除でもなんでもするし」


私の口からは、こんな言葉が溢れてしまう


「わかった、しばらくウチに来なさい」


・・・・・え?・・・いきなりの心変わりに、ついていけず

呆然としてしまうが、そんな私に構わずノゾミさんは立ち上がると


「じゃあ、ついてきなさい」


・・・・え、どうしよう?・・・あんなこと口走ってしまったけど

今すぐにって訳じゃなかったし、どうせダメだと思ってたから

そんな戸惑っている私に、構わずノゾミさんはもう会計をしている


・・・・・そうね・・・あの家から逃げたいと思っていたのは本心

逃げれないかもと、諦めていたけど、ノゾミさんが手を差し伸べてくれるなら

・・・・掴んでもいいのかもしれない


うわ〜〜〜〜〜〜〜なぜノゾミさんが、あんなに直ぐに気が変わったのか

その謎はノゾミさんの部屋を見て理解できた・・・・・

・・・・汚い・・・・なんだこの部屋は、ゴミは散らかってる

服も置きっぱなし・・・最悪なのがトイレだ、もう黄ばんでいるし変な匂いで充満してるし


マンションの外観を見た時は、やっぱりこんな凄い所に住んでるんだなと感心したのに

・・・・・・要は、私に家政婦をしてもらいたいんだな・・・

まあ、泊めてもらって、あんまり文句は言えないが

・・・・でも、完璧超人だと思っていた、ノゾミさんにも

こんな一面があったのね、意外ではあったけど、なんか安心もした


「ねえ、しばらく一緒に住むんだし、私の事はノゾミでいいわよ」


ノゾミさん、いいえノゾミは話してみると、意外と気さくだった

というか、随分とイメージと違うところがあってそれには驚かされた

その一つにアニメが大好きで、なんでも社会人になってから

見始めたらハマってしまったらしい

なるほど、真面目で禁欲な学生生活の反動なのかもしれない?


「美味い」ノゾミは本当に私の作った物を、美味しそうに食べてくれる

その言葉には、凝った賛辞やお洒落な言い回しなど一つもなかったが

毎回の嫌味か無言に比べれば・・・・・たったそれだけの事なのに

久しぶりに私は、誰かのために料理することの喜びを噛み締めていた


ノゾミの家に来てから3日、毎日頑張って掃除したかいがあって

だいぶ綺麗になってきて、ノゾミもビックリしている


「アヤカ・・・・これからの事なんだけど」


ノゾミが真剣な顔をして、私を見ている

・・・・・あ・・もしかして頑張りすぎたのか、もう部屋も綺麗になったから

出て行って欲しい?・・・・いやノゾミはそこまで冷たい女じゃ?

そんな私の心配をよそにノゾミは、話を続けてくる


驚いたことに、私の離婚に力を貸してくれるその上かかる費用は全部

ノゾミがもち、代わりに家事をしてくれればいいと・・・

本当にそんな都合のいい話が?

家事なんて、この家に置いてもらっているのだから、当たり前だし

私が不安そうな顔をしてるからなのか続けてノゾミがこんな事を言い始めた


「明日からにでも離婚のための協議に入る

旦那さんの連絡先教えて、その後は全部私に任せてくれればいい」


・・・・・・・・ぐ・・・・・・・・まずい何そのキメ顔

・・・・・ヤバイ・・・・顔が熱くなってくるのがわかる

落ち着け、落ち着かないと・・・内心の動揺をなんとか隠し私は


「ありがとうノゾミ・・・・本当にありがとう」そんなありきたりの言葉しか

出すことしかできなかった



それからのノゾミとの生活は何も問題がなく・・・・

それどころか本当に快適だった

まあ、少し・・・・本当にちょっとした気の迷いがあったけど

それも・・・やっぱり気の迷いなんで問題なく・・・

ノゾミの話だとトシアキさんはどうも、私との離婚は嫌だとゴネているらしく

暫くはかかるかもしれないけど、離婚は決定事項なんで何も心配はいらないと

言ってくれているノゾミが引き受けてくれた以上

そのことには心配はしていなかったが

その事以外で、ちょっとした問題が・・・暇なのだ


・・・・・こんな時に何言ってると思われるかもしれないが

やる事がない何せ家出した次の日には携帯を解約して

家族だけじゃなく、友人とも一切の連絡をたった

これはノゾミの助言で、とにかく事が終わるまで一切の連絡をしない方が

いいと言われたので、その通りにしたのだが

そのせいで友達と遊びに行くこともできないし

当たり前でけど、この近所に知り合いもいない


「はあ・・・・贅沢な悩みよね、でも家の掃除、洗濯、買い物だけで

ノゾミ以外の誰とも喋らずに、一日が終わる・・・・はあ

毎日こんな感じじゃね」


私の贅沢な悩みに、ノゾミは夕飯を食べながら苦笑すると


「確かに篭りきりじゃ、ストレスも溜まるだろうし、そんなに暇なら

パートでも探してみたら?」


「パートね・・・・」う〜〜ん確かにパートとかは

これからの生活の為にも……

いつまでもノゾミの世話になっている訳にもいかないだろうし


「わかった、ちょっと考えてみるから」


私の表情が、ちょっと曇りがちになる


「ああ、別にいつまでも、いたいだけ、いてくれて良いんだからね

アヤカに居てもらって、私は大助かり毎日美味しいご飯は食べれるしね」


そう言ってもらうのは、嬉しいけど

それでもいつまでもって訳にはいかないだろう

・・・・・・ノゾミの所に永久就職できるなら話は別なんだけど

・・・・・・・・・・・いや、ないない


自分のバカな考えを消すように、私は軽く頭を振る

そんな私を、ノゾミは、微笑みながら見ててくれる


「ああ、ノゾミ、先にお風呂どうぞ、もう沸いているはずだから」


「うん、じゃあお先にいただくわね」


ノゾミがお風呂場に消えていくのを、何気なく見送り

さて、夕飯の後片付けでもとキッチンに向かおうとした時


「ノゾミのスマホ・・・・そういえば」なぜかノゾミのスマホが目に入り

ある事を思い出してしまう・・・


そういえばこの頃、よくスマホをいじってるな・・・・・

ノゾミと暮らし始めて、3ヶ月くらいになると

ノゾミの事もよくわかるようになってくる

ノゾミは今時の人には珍しくSNSの類を全くしない人間だ

前になんでしないのかと、聞いたこともあるんだけど


宗教上の理由と言う、本気とはとても思えない返事でごまかされてしまう

・・・たぶんだけど、ノゾミはその手の事に興味がないんだろう

メールも、そのほとんが仕事のようだし・・・・


そんなノゾミが・・・・ゲームでもしているのか?

それともアニメ動画でも?

・・・・・・・いけない事だけど

つい気になりノゾミのスマホを手に取ってしまう


さらにいけない事なんだけど、ロック解除のパスをなんとなくだが

知っていたりもする

・・・・その、ノゾミがいじってるのを、なんとなくだが見ていて、覚えていたり

いや別に、そんな気は全然無く・・・全て偶然・・・・偶然なんだから


見るなら、ノゾミがお風呂から上がってくる前に、済まさないと

・・・・・・だめよ、そんなこと、お世話になってるノゾミを裏切るようなこと

バレたら、怒られるじゃない・・・・


「何これ・・・・・なんでトシアキさんと・・・・どういうこと?」


もう罪悪感なんて、とっくに吹っ飛んだ・・・・・本当にどういうこと?

・・・え・・結婚を前提にお付き合い?・・・・まさか?

ありえない・・・なんで?

だって、ノゾミはトシアキさんの事を知ってるはず

まさか、私の言うことを信じてないの?・・・確かに

トシアキさんの見た目はイケメン・・・

収入はたぶんノゾミの方があるだろうけど

それでも実家はそこそこの資産家・・・・もしかしてそれが狙い?

私なんかじゃ、義母さんには太刀打ちできなかったけど

ノゾミなら?・・・・・・でもそうなったら、私はどうなるの?

・・・・・・・いやいや・・・ありえないよ・・・


「あ・・・やば」ノゾミがお風呂から戻ってくる

私は慌ててメール画面を消すと

何事もなかったように元の場所にスマホを戻す


「ふう・・・・気持ちよかった、アヤカも次どうぞ」


「うん・・・・片付けが終わったら、私もいただくことにするから」


もう心臓がバクバク言っているけど、表面上はなんとか誤魔化せたはず?

・・・・・うん大丈夫、ノゾミは気づいていない


それにしても、本当にどう言うこと?・・・意味がわからない?

どうしよう・・・・もしノゾミがトシアキさんと結婚なんてことになったら

私はどうなるの?・・・・・もしかして自分がトシアキさんと結婚したいから

私と、別れさせたいの?・・・・いや何混乱してるのよ

順番が逆じゃない、まず私が離婚したいって話をノゾミに話してから

あの二人は出会ったはず・・・・そうよね・・・そのはず


ダメだ混乱している、まともに考えられない、まずは落ち着かないと

・・・・・・「イダー」動揺している私は、お皿を足の上に落としてしまった

救いなのは足の甲に直撃したおかげで、お皿が割れなかっんだけど

おかげで、すごい痛い


「ちょっと、大丈夫なの?・・・見せてごらんなさい」


ノゾミが慌てて私の元にきてくれるが


「大丈夫よ、私の足の上に落ちたから、お皿も割れてないし」


私の言葉にノゾミは呆れたような表情になると


「いや、お皿なんかどうでも良いから、ほら足は大丈夫なの見せなさいって」


そう言うと強引に私の事を抱き上げる


「キャー・・・ちょっと危ないから」


「アヤカが暴れなきゃ、危なくないから」


いや・・・・そっちの危ないじゃなくて、私の心臓の方よ

いきなりお姫様抱っことか・・・・・・殺す気なの?


それにしてもノゾミは相変わらず力強いわね

今でもこのマンションの地下にある

住人専用24時間ジムに週に3回は通ってるいるだけのことはある

150ちょっとしかない小柄な私の体重なんか、まるで無い物のように

軽々とソファまで運ぶと優しくおろしてくれ、そのまま足首を握り始める


「うわーなんか同じ人間の物とは、思えないわよね・・・・ほら見てよ」


そう言ってノゾミは自分の足を私に見せてくる・・・・・


「カッコイイ」あ・・つい口からポロッと


「カッコイイ?・・・・・そうかな?・・・しかし細くて小さいな

ほんと可愛らしいよね、やっぱり男の人は

アヤカみたいな小さい子の方が好きなんだろうな?」


私の足首をなんか、いじりながらしみじみと、そんな事を言ってるけど

・・・・いや私の足の心配してたんじゃないの?

私がジト目で見てると


「あははは・・・・確かに大丈夫そうね・・・・よしたまには

私がお皿を洗うから、アヤカはお風呂に入ってきちゃいなよ」


「そんな、いいよ家事は私の役目なんだから」


「イイから、イイから、たまにはね」


そう強引に話を進め、勝手に台所に入ってしまう

慌てて私は追いかけるが、ノゾミが言い始めたら私が止められる訳がない


「うわー何これ滅茶苦茶冷たいんだけど」


「もう、そんなの冬なんだから、当たり前でしょう・・・

もうイイから私がやるからノゾミは休んでて」


「いや、アヤカ・・・私が言いたいのは

なんでお湯で洗っていないのって事なんだけど?」


「え・・・・・・・だって、そんなの勿体ないじゃない、地球の環境にも悪いし

エコよエコ・・・・・・・あ」


そうだ・・・・今のは


「義母さんにそう、言われていた?」そう言うとノゾミはすぐにも

私の手を掴みマジマジと見てくる、ハッとして手を引こうとすぐが

やっぱり全然力が違いびくともしない


「ごめんねアヤカ、気づかなかったよ、こんなに荒れていたんだね・・・

地球の環境は大事だけど、アヤカの手の方が大事だよ」そう微笑むと

また私を担ぎ上げる、そしてそのままお風呂場に


「今日は私がやるから、早くお風呂に入りなさい・・・・

それとも服を脱がせてもらいたい?」


そう冗談まじりに言ってくる、私は苦笑を浮かべると軽く首を横に振った



ゆっくりと湯船に浸かりながら、落ち着いて考えてみることにする

それにしても、思い起こしてみれば私は随分と義母さんに洗脳されていたんだな

洗い物にしてもそうだけど・・・お風呂だってそうだ

お風呂も勿体ないエコだって言われて、15分しか使うことを許されなかった


「はあ・・・あの家を出て3ヶ月なのに・・・」


お風呂が長いくらいで、ノゾミが文句言うはずがないのに

今日まで15分以内に出ていた・・・・



あれから一週間近く経つけど、全く答えが出せない

ノゾミの為にも・・・・

いや私の為にもノゾミにはトシアキさんと結婚なんかして欲しくない

なんとかノゾミを説得したいけど、まず話のとっかかりが

どうしていいかわからない


まさかノゾミのスマホを覗き見してますって、言うわけにはいかないし

そんなこと言ったらノゾミに怒られるだろうし、嫌われてしまう


う〜〜〜んどうすれば・・・・横を見ればノゾミがビールを片手に

アニメを見ている


ノゾミのアニメの視聴の仕方は、ちょっと変わっている毎週

毎週見るんじゃなく終わったアニメシリーズをビール片手に一気に見る

それがノゾミの贅沢な週末の過ごし方みたい


ノゾミの稼ぎから考えると、随分とささやかなようにも思えるが

本人が満足しているんだし、口出しする気はない

そんなノゾミを見ていたんだけど


「Lightning」突然ノゾミがそう口走ると立ち上がった


なんだろう、なんか興奮しているみたいだけど?


「どうしたの?・・・・・ああ、充電したいのね、ライトニングケーブルね」


よくわからないけど

たぶんそうだろうとライトニングケーブルをすぐに持ってくる

・・・・・けど、違うのか、何か考え込み始めてしまった

本当にどうしたんだろう?、私がそんな目で見てると


ノゾミは不敵に笑顔を浮かべるとお財布から

お札を抜き出し私によく見えるように

ヒラヒラと振り始める・・・・・・またか・・また今月もあれをやるのか


正直うんざりしてたが、なんかノゾミが楽しそうにしてるし

月に一度の事と思えば、我慢できないこともないけど

・・・・・・ちょっと恥ずかしいのよね


ノゾミが先月と同じように、まずお札で私の頬をピシピシと叩き

ノリノリで口上を、私は先月教えられたセリフを返すと

ノゾミは本当に楽しそうに大爆笑している

・・・・・・楽しそうだな・・・・ダメだこのノリについていけない

つい醒めてしまうが、そんな私の事なぞ構わずにノゾミは

また余計な注文をつけてくる、そのセクシーな感じでしゃがみ込み

キッと擬音がつく感じで睨めってのは?・・・・


まあひとしきり笑ったあと満足したのか、私に10万円を差し出してくる

それにしても二人暮らしの食費で10万円って・・・

勿論生活する上での、細々とした雑貨は色々あるけど、それでも10万はいらない

余った分は、お小遣いにしても良いって言ってはもらってるけど


これも、正直なところを言えば悪すぎてとても懐に入れる気には・・

まあ、ちょっとは使わせてもらっているんだけど・・・・

そんな訳で、私とノゾミのご飯はすごい豪勢だ

毎食、贅沢な材料に高価な調理器具も揃えノゾミが喜んで食べてくれるから

私の料理の腕もどんどん上達してきている、自分でもそれが実感できるほどだ

・・・・・なんか話が逸れたけど・・・

そうだいつまでこの寸劇をしないといけないのか?

ノゾミが楽しそうにしてるから、多少なら付き合っても良いんだけど


でも・・・どんどんエスカレートするのは勘弁してもらいたい

ここは、軽く釘を刺しとく意味でも、ちょっと言っておかないと

・・・でも、直球では言えないし・・・そうねノゾミが

なりきってる悪役の事をディスってみるか


「うん、ちょっとはね・・・・でもノゾミあいつは、すごいドSよ

相手を精神的に追い詰めて、壊れていく様を笑いながら観察してるような・・

・・・・まさかノゾミ?」


そう疑わしそうな目線を向ければ、ノゾミは慌てたように言い訳を始める

楽しんでるだけだし、ちょっと悪かったけど・・・

まあこれくらいなら良いわよね?


あれ・・・・・・・・・何話していたんだっけ?


そんな話をしてから2〜3日後の事、突然ノゾミが


「トシアキさんが離婚届けにサインしたこれで離婚成立よおめでとうアヤカ」


「え・・・・本当に?」いきなりのことで本当に驚いた


ゴネているって聞いてから、続報があんまりなかったし

ノゾミに任せた以上、あんまり聞くのも悪い気がして聞かなかったんだけど


「本当よ、これでアヤカは自由よ、法律上でもね

もうどこでも好きなように好きなところで生きられるわよ」


・・・・・好きなところで?・・・・・・


「でもトシアキさんは、私と別れたがっていなかったんでしょう?

もしもだけど・・・・大丈夫なのかな?・・・なんかお昼のワイドショーとかで

見たんだけど、別れた旦那がストーカ化してとか?」


私がそう心配そうに言うと、ノゾミは私を安心させるように微笑み


「その心配ならいらないわよ、トシアキさんは近いうちに再婚するだろうから」


「え・・・もう?・・・・再婚ってもしかしてノゾミと?」


しまった聞くにしてもストレートに聞きすぎだ慌てすぎよ

だが、そんな私の質問にも気分を害することなくノゾミは答えてくれる


「まさか、あんなマザコン男と結婚する訳ないじゃない・・・あははは」


・・・どう言うことなんだろう?全然わからない

私の頭の中にはもう?????しか浮かんでこない

そんな私の様子を気にしてか、ノゾミは続けて


「アヤカはもう気にしないでも、良いのよ全て上手く行ってるからそう全てよ」


なんかわからないけど、ノゾミがあと後も問題が出ないように

考えてくれていたのはわかる

・・・・・う〜〜〜〜ん、それが知りたいのよ

私が思いっきり不満ですって顔をしてるのに

ノゾミもすぐに気ずく私の機嫌を取りたいのか


「ごめんね守秘義務ってのがあるから詳しくは話せないのよ

機嫌なおして・・・そうだ、たぶんだけどこの仕事の臨時ボーナスが入る

予定だからどこか旅行でも行こうよ」


旅行・・・・・確かに閉じこもりきりで

旅行にでも行きたいと思ってはいたけど

そんな見えすいた誤魔化しで・・・・


「私ね、あそこに行ってみたいのよ、あのさこの前TVで見た高級旅館覚えている

一晩泊まるだけで35万も取られるすごいところ」


「うん、一緒に見てたやつよね・・・どんな人が泊まるんだろうって言ってた

・・・まさかそこに行くの?」


ノゾミは嬉しそうに頷くと


「そうそこ、いやーーー、こんな贅沢一度はしてみたいくない

泡銭みたいなもだしパーと使っちゃおうよ」


いやノゾミの稼いだ、お金なんだし泡銭じゃないじゃない

流石に悪くて、素直に頷けないでいると


「まあ、まだ確実じゃないし、でも考えといてよ多分上手く行くから

そうなったら私も自分へのご褒美が欲しいしさモチベーションも上がってくるし

ねえ・・・全てが上手く行き、ボーナスが出たら一緒に旅行に行こう?」


異様にテンションの高いノゾミに、なんか押し切られ頷いてしまったが

でも・・・ノゾミと旅行か、どこに行くにしてもそれは楽しそうだ

そして、本当に全てが上手く行ったのだろう、ノゾミは上機嫌で

私に話しかけてきた


「アヤカ、全部終わったから・・・いや、もう一仕事あるだろうけど

それは別問題かな?・・・まあいいやアヤカ3ヶ月前に言ったとおり

臨時に特別収入が入ったからパーと使っちゃいましょう

断らないでよね?・・・・もし断ったら。ひどい目に遭わせちゃうぞ」


「もう・・・はいはい、ノゾミ様の言うことならなんでも聞きますよ」


私もふざけて、ノゾミに付き合うが、旅行は確かに楽しみにしてたから

嬉しいのだが・・・が


「100万入ったんで旅行に40万ほど後は何に使おうか?・・・

アヤカの好きな物でいいよ?・・・何か欲しい物はないの?」


う〜〜〜〜ん困ったわね、60万も何に使えって言うのか

何せ私は家事をしてるとはいえ、働かないで、ノゾミから

お小遣いまでもらってる身分だ、考え込んでいると


「ああ、そうだ全部終わったし、

アヤカも家族や友人とか連絡を取ってもらっても

もう大丈夫だと思うよ」


ああ・・・そうか考えないでもなかったけど・・・そう言えばこの半年

私はノゾミ以外の人間とまともに喋ってもいない

・・・・実はやばくないか?、居心地がいいので気にはなっていても

まあ、いいかって感じでいたんだけど、流石にノゾミに依存しすぎなんじゃ?

・・・・・・まあいいか、今はまず旅行を楽しまないと

これも恩返しだ、ノゾミにも楽しんでもらわないとね




「へえノゾミさんって、そんなところがあるんだ」


今日は久しぶりにあったレイコとランチを一緒にしている

他の友達や家族ともまだ連絡は取っていないが

レイコくらいには連絡しとくかと


レイコは私がノゾミと暮らしているのが本当に意外そうで

ノゾミの事を聞きたがっていた


「へえ、そうなんだ・・・でも本当いがいノゾミさんがそこまで

面倒見がいいとは思わなかった、もっと冷たい人かと思ってたから」


確かに昔の私もそう思っていた、私が頷くと


「それしても、羨ましい生活よね、ノゾミさんに養ってもらってるんでしょう

その上、小うるさい姑や旦那もいない・・・ああ本当羨ましい」


「まあそう言えなくもないけど、その分ノゾミがしない家事を分担してる訳だし」


私が遠慮気味に、そう答えれば


「家事してる?・・・いやそれくらい普通でしょう?・・・その上

この前はすごい旅館に連れてってもらったんでしょう・・・うわ

本当に羨ましい、変わって欲しいんだけど」


「確かにすごい旅館だったけど・・・・そんなに羨ましい連呼しないでよ」


「しょうがないじゃない、本当に羨ましいんだから」


「ははは」ジト目で私をみてくるレイコにもう苦笑しかできないんだけど


レイコもそんな私をみて、二人で少し笑いあっていたんだけど


「う〜〜ん、でもさアヤカこれからどうするつもりなの?

まさか一生ノゾミさんのところに、いるつもりじゃないよね?」


真剣な顔に戻るとレイコは、私が考えたくなくて、先延ばしにしていたことを

ズバリと聞いてくる・・・・いやレイコがこんな事を言ってくれる人だからこそ

私はレイコに連絡を取ったのかもしれない・・・・


そうだいい加減、私も真剣に考えないといけないんだ


「そうね、ノゾミは、もう立て替えた分のお金は十分だから

いつでも出ていってもらって大丈夫だし家事をしてくれるならこのまま居てくれても構わないって言ってはくれているんだけど」


「う〜〜〜ん、ノゾミさんって冷たい人じゃないのは、わかったんだけど

逆にアヤカのこと甘やかしすぎよね」


「ちょっと、甘やかしすぎってなによ、私とノゾミの関係は

ギブアンドテイクよまあ・・・少しはもらいすぎかもしれないけど」


「どこが少しなのよ・・・・60万で何買ったんだっけ?」


「ぐ・・・・それは」


「ほら、何買ったのよ?いってみなさいよ」


追求を緩めようとしないレイコに、観念して


「ドラム式洗濯機とお掃除ロボットと全自動食器洗浄機とスマホを買いました」


「うわ〜〜主婦憧れのアイテムを全部かよ・・・で?・・・

どこが甘やかされていないの?」


「それは・・・・・でも、私が買ったけど

基本的にはノゾミのものだしノゾミの生活に役立つ物だし」


「ふ〜〜〜ん、ノゾミさんアヤカが出ていくことになったら

その家電は置いてけって言ってるの?」


「それは、その・・・・持って行っていいって言ってるけどさ」


「ほらノゾミさんのものじゃ無いじゃない?」


「もういいから・・・・わかったわよ、私はノゾミに甘やかされています

これでいいんでしょう?」


「そうそうそれでいいのよ・・・・で、話は戻るけどどうするつもりなの?」


「それは、私も考えているわよ・・・・お金がある程度貯まったら

出て行こうかなとか」


「へえ、あんた働いてたの?・・・そんな話出てなかったけど?」


「・・・・・・・ノゾミからお小遣いをもらってる」


「・・・・・・・・・・・・・・・」レイコの視線が痛い

その軽蔑の眼差しをやめて


レイコは大きく溜息をつくと


「はーーーーもうあんた、ノゾミさんの嫁になちゃいないよ一生養ってもらえ」


「ちょっと、そんな吐き捨てるように言わないでよ」


「もう馬鹿馬鹿しくて、まともに聞いてられないわよ・・・

まあそんな天国みたいな場所にいたら

アヤカみたいにダメ人間になるのもわかるけどさ」


「ダメ人間?・・・私は家事をしてノゾミにお返ししてるから

毎日綺麗に掃除してるし洗濯もしてるし、ちゃんと栄養も考えて

美味しい料理も作ってるし・・ダメ人間じゃないから」


「かもしれないけど、でもさノゾミさんはアヤカの旦那さんじゃないんだよ

まあ今時分、色々な生活スタイルがあるけど、でもやっぱり基本は

女は男と夫婦になって、子供を産んで幸せになるものじゃない?」


「また随分と古い事言い始めたね」


「確かに古いけど・・・古い考えが全て間違ってる訳じゃないでしょう?」


レイコの言いたいことはわかる、私が黙り込むと


「もしかして・・・ノゾミさんってそっち系の人だったの?

それなら、男を近づけなかったのも納得なんだけど・・・・でも

女も近づけなかったよね?」


いきなり、突拍子も無いことを言い始めたレイコに溜息をつくと


「そんな訳ないでしょう、ノゾミは私の知る限りノーマルよ」


「やっぱりそうよね・・・・でもアヤカこのままノゾミさんのところに

いたいなら、もう口説いちゃえば?」


「はいはい、考えておくわ」


「あはははは」私の返しにレイコも軽く笑ってくれると


「まあ、アヤカも考えているようだし、これ以上は私も言わないけど

・・・・・・最後に一つ・・・ノゾミさんは女よそれはどうにもならない事実なんだからね」


うるさいわね・・・・・そんなことわかっているわよ

クソ・・・なんだかんだ言って、やっぱり私のことを1番理解してるな

痛いところを突いてくる・・・・・そうだノゾミは男じゃない


その事を私はハッキリと言って欲しかったのかもしれない

ノゾミは魅力てきな人だ、長身でカッコよく

頼りになり、私を余裕で養っていけるくらいの甲斐性もある


・・・・ただ女なんだ・・・・


レイコとあったその日から私はノゾミの元から

離れないといけないと真剣に考えるようになった


そうよね・・・まずは仕事よね・・・・それか婚活でもして

再婚か・・・・どうしようかな?


「よし、まずは一汗かいて、それから考えよう」


すごい後ろ向きな答えだけどね・・・・・私がジムに通うになったのは

ノゾミの影響・・・ノゾミはこう言ってた、健康な体作りは自分に自信をつける

健康な体はポジティブな思考を作りやすくなるし

適度な運動が健康に役立つのはもちろんだけど

何より運動を続けてるということが

自信につながる、運動は絶対にしたほうがいいと

何度も進められ、渋々だがノゾミに付き合わされることになったんだけど


確かにノゾミに付き合い始めてから、思考が前向きになった気がするし

自信もついてきたような気がする・・・・・するだけかもしれないけど?


それで今は暇な昼間に週に1回は通うようにしてるんだけど


「はあーーーノゾミがいないと、何していいかわからないのよね」


ノゾミが付いていてくれると、次は何しろって言ってくれるから

そのとおりにしていたんだけど、一人だと何をどれくらいしていいのか?

そんな感じで、ルームランナーで少し走って終わりにしちゃうんだけど

まあ、こんな物でもしないよりはマシだし

前よりは絶対に健康になってるし、体力もついてきている

決して無駄じゃないだろう


そんな感じでいつものように適当に走っていた時のことだった


「あの、いつもお一人ですね?ご主人は付き合ってくれないんですか?」


そう話しかけてきた人をマジマジとみてしまった・・・・

・・・・・身長はノゾミより少し高いくらいでスタイルもいいわね

年は・・・30はいってないかな?

返事をする前にこんなに見るなんて、随分と失礼なことしてるが

しょうがないだろう、何せこんなナンパみたいなこと言われるのは

随分と久しぶり、それこそ学生の時以来なんだから


「あ・・・すいません・・・・主人とはつい最近離婚したばかりで」


「すみません、不躾なことを聞きました・・・

そのよければお名前を教えてもらってもいいですか

私の名前はシンヤって言います」


走りながら話すのはちょっとキツくなってきたので

ここでルームランナーを降り改めてシンヤと名乗ったこの男性に向き合う


「はい、アヤカって言います、このマンションには友達が部屋を借りてるんで

そこに居候させてもらっています」


「ああ、なるほどルームシェアってやつですね」


一銭も出していないのに、ルームシェアになるのかは知らないけど

そこは曖昧に微笑んでおこう


これが私とシンヤさんの出会いであった、その晩

私はこのことをノゾミに話してみることにした


「へえ、そんな人がいたんだ・・・まあご近所付き合いなんてほとんどないし

顔は見たことあるけど、ほとんどの人は知らないしな」


「うん、シンヤさんの方もノゾミや私のことは知らなかったみたいよ」


「ふ〜〜ん、でそんなイケメンに声をかけられたって自慢を私にしたいの?」


「違うわよ・・・・少し相談に乗って欲しくて」


私がそう言うと、ノゾミは微妙な顔になると


「相談って・・・前にもちょっと言ったけど、私の恋愛経験は

ほぼゼロなんだからアドバイスなんてできないわよ」


「いや、一般的なことしか聞かないし・・・

少しくらい私の話聞いてくれてもいいじゃない」


冷たい返事に、つい拗ねたような事を口走ってしまった

まずいとも思ったけど、取り消す気はなかった


「はいはい、ちゃんと聞いてますよ・・・そのシンヤさん?はどんな人なの?」


興味はないんだろうけど、拗ねた私に会話を合わせてくれているのか

シンヤさんの事を聞いてくる


「まだそこまで詳しくはわからないんだけど、年は29歳で

仕事は在宅でなんかしてるって言ってたんだけど、そこまで突っ込んで聞いてない

あと向こうもバツイチで去年離婚してるんだって」


「へえ・・・・ちなみに離婚原因は?」


「それも聞けてない」


「そう、アヤカもいい年した大人なんだし

私がどうこう言うこともないでしょうけど

とりあえずは離婚原因くらいは確認しといたほうがいいんじゃない?」


そう言うと、もう興味がないとでも言いたげに、夕飯に集中し始めた

何よ・・・もうちょっと気にしてくれてもいいのに


「うん、今日も美味いね・・・・」いつものノゾミの言葉にも素直に頷けず


「そう、ありがと」ついそっけなく答えてしまった


ノゾミに話したことで、シンヤさんに対する私の対応は大体固まった

まだどうするかは、決められないが、前向きに考えてもいいだろう



私とシンヤさんはお互いにバツイチ、歳も近く

そして、無駄にできるような時間があまりなく

まずは結婚も視野に入れた付き合いをすることになった


その事をノゾミに言えば


「そうなんだ・・・ちゃんと離婚原因は聞いたの?・・

まあ、そんなに心配する事じゃないかもしれないけどシンヤさんに何か問題が

あっての離婚かもしれないしね?」


「シンヤさんがマザコンで意地悪な姑がいるかもしれないって?」


ノゾミは苦笑すると


「まあ、稀にそんなことも、あるかもしれないしね」


「そうなったらまたノゾミに助けてもらうから・・・その時はお願いね」


ノゾミは呆れたように


「あのね・・・・・・・・わかったから

いくらでも助けるけどその前にちゃんと確認しときなさいね」


「はいはい」私のいい加減な返事に、ノゾミは何か言いかけたが

結局何も言わなかった


シンヤさんとの交際は順調で、何度かご飯を作りに行ったりして

このままゴールインでいいんじゃないかと、私の気落ちも傾き


そして、ついに待っていた言葉をシンヤさんの口から聞けた

付き合いを始めて半年・・・・・随分と早いが

・・・・・・お互い焦っているのかな?


ただ問題があった、シンヤさんと再婚するならノゾミのところから出るのは

当たり前なんだけど、ノゾミはどうもシンヤさんと結婚しても

このマンションからはでずシンヤさんの部屋で暮らすようになるんだから

お金を払うから自分の面倒も見にきてくれと


実は私もそのつもりだった、シンヤさんとの結婚に前向きになれた大きな理由に

シンヤさんがノゾミと同じマンションに住んでいたのもある


シンヤさんと結婚してもノゾミの食事とかは作りにこようと思っていたのだ

感情を無視して考えてみても・・・ノゾミには

生半可なことじゃ返せない恩ができた

それを返すためにも、そうした方がいいだろうと思っていたのだ


だけど、シンヤさんはもう少ししたら、台湾に拠点を移すので

私にも付いてきて欲しいと・・・


これには本当に迷った・・・・ノゾミに相談してみると


「そうなんだ・・・・・まあ、シンヤさんにも事情があるしね

しょうがないんじゃない?」


「ノゾミ、私が台湾に行ってもいいの?・・・

ノゾミ一人で暮らしていけるの?」


「それはその・・・・まあアヤカが来るまで一人で暮らしていたし

それに、家事代行とか頼もうかなとも考えていたしね」


ノゾミの返事に、ムッときた私はつい喧嘩口調になり


「何?・・・結婚が決まってもないのに、私を追い出すきだったの?」


「いや、追い出すつもりは・・・・ただ、そう言うことになったら

しょうがないかなと?」


「もういい、台湾に行くから」そう言い残すとノゾミを残し自分の部屋に


・・・・・・なんで追ってこないのよ・・・・本当に台湾に行っちゃうからね



次の日の朝食はとてもじゃないけど、作る気になれず部屋に篭っていたが

ノゾミも私を呼びにこないので・・・・

私は冷静になり自分の考えをまとめることにした



「あの・・・・今日も美味しそうね・・・」


夕飯の支度ができてるテーブルを見てノゾミは少し驚いているようだ

多分まだ私が不貞腐れているとか思っていたんだろう


「あのねノゾミ・・・シンヤさんの事決めたの」


そう言い始めた、私の顔を見ると、ノゾミのハシが止まる


「そうなんだ、台湾に行くんでしょう?・・・おめでとう

次こそ幸せになってね」


「ううん、シンヤさんには断るから台湾には行かない」


私がアッサリ答えると、ノゾミの方が慌てふためき


「え?なんで?・・・・どうして?」


「うん、やっぱり日本を離れたくないし、もしシンヤさんに問題があっても

台湾じゃノゾミも助けにこれないでしょう?」


これも大きな理由だが、やっぱりノゾミから受けた恩は感情抜きにしても

返さないといけないものだ・・・・


「そんなこと?・・・・いやメールくれれば台湾くらいなら助けに行くって」


ぐ・・・・・・なんで、そんなに無自覚に、私を落とそうとするのかな

そうだ・・・・昨日から考えていたことを実行することにしよう

ノゾミにも変わってもらわないと、いつまでもこのままじゃいられない


「ねえ、ノゾミ、この頃さ例の小芝居はやらないの?

なんか普通にお金を渡してくるけど」


突然話が変わりノゾミも困惑を隠せないが、私がこれ以上この話題を

したくないんだと、思ってるのだろう素直に乗ってくれる


「ああ、いつまでも子供みたいだしアヤカにも悪いしね」


「あら、たまになら私の方はいいのよ?・・・・・そうだ

ちょっとやってみましょうよ・・・ついてきて」


そう言うと返事も待たずに、ノゾミの手をとり自分の部屋に引っ張っていく

ノゾミはいつにない、私の強引さに、あっけに取られているみたいで

抵抗もしないでついてきてくれる


ノゾミを部屋に入れ鍵を閉める

「なんでカギ閉めるの?」


「雰囲気作りよ・・・・」


まだ呆気に取られているノゾミの事には構わず

私はきているものを全部脱ぎ全裸に・・・・・うわ恥ずかしい

・・・・・でもそんな態度は全く出さないように演技を続ける


前にノゾミから指定されたセクシーにしゃがみこむポーズになり

そしてこれまたノゾミの指定通りに睨むような表情を作り

ノゾミを軽く睨む・・・・これちょっと難しいんだよね

何しろ、注文がまだプライドは残ってるけど

諦めかけていて・・・・それでも最後の意地でなんとか自分を保とうとしている

女騎士みたいにって・・・・そんなのわからないよ

・・・・なのでそこは勘弁してもらって


「さあ、心まで汚してごらんなさい・・・・・

体はあなたの物になっても心は・・・・」


本当なら心はあなたの物にはならないだが・・・ここはアドリブで本心を入れておくべきだろう


「心も・・・・・あなたの物よ」


ノゾミはまだ呆然としているが、何が起きているのか当然理解しているだろう

ゴクリとノゾミが唾を飲むのがわかる・・・・ノゾミがゆっくりと近づいてくる


・・・・・・・・・・さてこの後どうなったかだけど

それはご想像にお任せしよう。

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