書きたかった2-5

「さて、単刀直入に言います。貴方にはここの門番をしてもらいたいです」


「……わたしなんかに務まる自信がありません」


 私はお金を稼ぐために色々なバイトをしてきたけど、特にスポーツや格闘技を習っていたわけでもなく、そこらへんの一般男性にだって負けるだろう。


「いえ、多分貴女なら問題なくこなせると思いますよ。


 まず、これまで働いてきた経験によるものか生まれ持ったものなのかはわかりませんが、貴女の姿勢は完璧です。メラレウカやわたくしから見ても、です。」


「姿勢が良いのはよく言われますので、自負しています」


「それは良いことです!……取り乱してしまいすみません。


 えっと……そうそう、門番の仕事は椅子があるとは言え、基本的に立ってもらうことが多いのです。


 なので、姿勢もよく、長時間立つことに慣れていて!可愛い貴女なら!出来ると思い!スカウトしたのです!」


「か、可愛い……」


 面と向かって褒めてくれたのは山茶花さざんかぐらいだったので、照れすぎて汗が止まりませんでした。


(メ、メラレウカ!私なんか変なこと言いました!?)


(い、いえ……多分褒められ慣れてないのかと)


「す、すすすすみません、心配をおかけして……」


「くっ……可愛い!」


「〜〜っ!?」


 恥ずかしさと嬉しさで高熱が出てしまい、結果的に私は倒れました。





「……あ、起きましたね。大丈夫ですか?」


「ここは……ハッ!」


 メラレウカさんの膝から頭を離し、飛び起きる。


「め、迷惑かけてすみません……」


「迷惑なんかじゃありませんよ。だって貴女は今日からここの家族ですから」


「……へ?」


 え?まだ私ここで働くって……。


 そう思っていると、一枚の紙を見せてきた。


「……な、なんで契約書に私がサインしているですか!?」


「先程倒れる寸前に書いてもらいました。安心してください、住み込みでお風呂も広いですし、給料も良いですし、可愛いお嬢様も見れますし」


「最後のは置いといて、私門番なんて……」


「サバットやCQC、その他格闘技などはこちらでなんとかして身に付けさせれます。もちろん、無料で」


「なんか怪しい通販みたいっ!?」


 私は一呼吸置いて……


「……サインしてしまったのでここで働きます。不束者ですが、よろしくおねがいします」


「よろしくね、椿さん」





「っていう感じです」


「待て、半ばむりやりだろこれ」


  ジト目でローズを見ると、視線をそらしてダラダラと汗を流しながら……


「わー私そんなこと覚えてませんでした〜。全く、昔の私はおてんぱですね〜!」


「「……」」


 この後めちゃくちゃ謝ってた。


 ちなみに、椿に聞いたところここに来たのは正解……いや、大正解だったと言っていた。


「ま、門番の二人もハッピーエンドで良かったな」


――――――――――――――――――――――

次回へ続く

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