僕が小学3年生の時、親が離婚した。

 父は単身赴任で滅多に家に顔を出すことがなかった。久々に帰ってきても、横柄な態度で怒鳴り、ずっとだらだらしている様子だったことを覚えている。そんな父のことを母は嫌い、僕に愚痴をこぼしてきていた。なんで結婚したんだろうとか、付き合ってる時から暴力的だったとか。母が苦しんでいるそんな様子を見るのが辛く、早く離婚すればいいのにと思っていた。

 友人の家から帰宅をした時、兄が父に蹴られている様子がドア越しから見えた。僕はこの時のこと、今でもフラッシュバックしてしまう。そこからひどく父を憎むようになった。スポーツ神経抜群で、頭も良く学校でも成績が上位の自慢の兄だ。僕はそんな父のことを無視するようになった。

 そして、父は家に帰らなくなった。離婚してからも、父はなぜ僕たちをつくったのだろうかと考えた。自分の半分があの父からできている事に吐き気がする。無責任に僕を産まないで欲しかった。大人にも責任のない奴がいるということを、この時に初めて実感したのだと思う。

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