前日

 最終面接に向けて、初めてひとりで新幹線に乗りホテルに泊まった。なぜか新幹線で涙が止まらなかった。自分の情けなさが嫌になり、死にたくなりながら窓の外の夕日を眺めていた。

 到着してからは、部活動の先輩が近くで働いているということで一緒に晩御飯を食べることになっていた。僕はパスタを食べながら、ただただ先輩の話をボーっと聞いていた。

 その時、明日の面接を受ける会社の人事から電話がかかってきた。1時間早く来て欲しいと言われ、すぐに明るい声で

「わかりました!」

 と答えた。早く寝なければならなくなったし、早起きして準備するのが心の中では嫌だった。そんなふうに思ったにも関わらず、早く帰ってシャワーを浴びて、面接の練習がしたいという気持ちが先行する。わざわざ仕事終わりに会ってもらっているのに、こんな気持ちになるなんて最低である。

 先輩に事情を話し、早めに帰宅した。すぐにシャワーに入り、顔のパックまでした。あんなに思っていた面接の練習をする気が起こらない。もう23時だったので、寝ることにした。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る