第7話ダークホース現る

現職の町長が逮捕される、前代未聞の事件に姶良あいら町役場の信頼は大きく落ち込んだ。

さて、山根町長逮捕を受け新たなリーダーを選ぶべく町長選挙の公示が始まった。

立候補したのは、元姶良町副町長の杉浦浩太郎氏(63)と、神田直樹弁護士(34)の2人だけ。

町役場の連中は杉浦氏の圧勝と信じていたが、町民は既に失墜した町役場に新しい風を取り込もうと、神田氏の人気がうなぎ登り。

「前園課長、神田氏が当選したらどうなります?」

と、堀係長が尋ねる。

「ハーッ、恐らくかなりの深さのメスが入るだろうな。相手が悪い。元副町長が現役の弁護士との舌戦に勝てるはずがない。また、イケメンだしな」

「子供が、5人いるそうです」

「現役のパパさん町長として、演説してるからな~」

「言っちゃ悪いですが、杉浦副町長に勝って欲しいです」

前園は、静かにウンウンと頷いた。


投票日。

夜八時で投票は終わり、十時には勝敗が決した。

神田直樹新町長の誕生である。

実はこの新町長は喰わせモノで、役場の連中はもちろんの事、町民にも迷惑なヤツだった。

だが、一方では鋭い嗅覚で役場の不祥事を内々に処理していくのだ。

やがて、神田町長は姶良町のスターリンと呼ばれる事になるのだ。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る