第7話 傷 心
「あ〜〜〜、久しぶりにカラオケ行っちゃったよ〜〜。声ヤバイ…」
久しぶりに同級生に再会。
話をしカラオケで盛り上がる私達がいた。
気付いたら辺りは真っ暗
何度、親から連絡があったことか――――
友達は迎えに来てもらい、私は一人暗い夜道を帰る。
「帰ったら…般若顔の母親がいるんだろうなーー…ははは…」
苦笑する私。
その途中―――
グイッと私の肩を掴み、鼻と口を押さえた。
「騒ぐな!」
ビクッ
「黙って言う事を聞け!」
私は頷く。
そのまま人気のない路地裏に連れて行かれ、私を押さえ付けると、荒々しく制服を引き裂く。
「や、辞め…!」
バシッと頰を打たれた。
「…っ…」
「ガタガタ言ってんじゃねえっ!」
ビクッ
「騒ぐなって言ったろ?高校生なら彼氏くらいいるんだろうし、やる事やってんだろ?」
「ち、違っ!私は…!」
バシッと再び頰を打たれた。
口に布キレを入れられ、一気に私の身体に痛みが広がる
「…………」
恐怖と痛みに私はどうする事も出来ず何も出来ない悔しさに女に生まれた事に後悔した瞬間だった。
気付いた時は、既に相手の姿はなく、私は一人、暗闇に残され恐怖に震えていた。
誰も気付いてくれない。
私はどうすれば良い?
私は震える手で携帯を探る。
その時だ。
「あのー、すみません」
ビクッ
誰かが来たようだ。
《誰?どうしよう…?》
「誰かいますか?あの…もしいるなら返事して貰えませんか?こっちに怪しい人物が人を連れて行くの見掛けたんですけど……」
《やだ…怖い…》
私は身を隠すように場所を移動する。
「…音がする…やっぱ…誰かいるな…」
近付く足音。
私はビクビクしていた。
「…制服…?…学生…手帳…」
携帯の明かりで目を通す人影。
「……えっ…!?…う…そ…だろ…?……愛霞?おいっ!谷神愛霞っ!いるんだろっ!?」
「……………」
「ここにずっといても、どうにもなんねーだろ?愛霞っ!」
「………………」
「頼むから出て来いよ!」
「………………」
「そっちから来ねーなら、こっちから行くぞ!」
「い、いやっ!!こ、来ないで下さいっ!!」
「…愛霞…」
「…帰って…!……帰って…下さい……お願い……します……」
「…んな事、出来るわけねーだろ!?クラスメイトだぞ!!」
ドクン…
クラスメイトと聞き、更に、色々な事が過る。
「…クラス…メイト…?」
「いっつも憎まれ口、言い合ってっけど…こんな時に放っておけるわけねーだろ?」
「…憎まれ…口…?」
私は頭が真っ白で頭が働かない。
「…だ…れ…?」
「…日賀…慶亮…。俺の事、忘れたか?そんなに満足出来る程のHだったのか?」
「…何…言って…」
「………………」
「出て…来れそうか?」
「…身体が…言うこと…効かない……」
「…そっか…」
「………………」
すぐ傍にいるのに
行けないもどかしさ
お互いの今の距離みたいに
縮まらない
「帰ろうぜ。愛霞…」
「…無理…だよ…制服ボロボロだから…」
フワリと背後から抱きしめられた。
ビクッ
驚くと同時に身体がガタガタ震え、瞳を閉じる。
「何もしねーよ」
私を振り向かせると、自分の制服を羽織らせると私の両頬に触れる。
「俺がいるから…」
涙がこぼれ落ちる。
《…日賀…》
「俺が…お前の傍にいるから…」
そう言うと抱きしめる。
ビクッ
「大丈夫…ゆっくりで良い…落ち着いたら一緒に帰ろう…愛霞…」
私は震える手で日賀を抱きしめる。
「………………」
「…大変な目に遭ったな…」
いつも言い合っている私達
でも―――
一人の男として
私は
一人の女として
私を
一人の人間として
しっかり
抱きしめてくれる彼がいた
お互い抱きしめ合う中
彼の優しさに甘え
初めて大泣きした
瞬間だった………
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