第2話 私の性格
「あー、だる〜〜。どうして私が掃除当番でも何でもないのに何故?自分でしろっつーの!真面目だからってさ~~何なわけ?マジムカつく!!こんなの適当、適当。チャッチャッと済ませちゃえ!バレない、バレない」
「…おいつ!」
ビクッ
突然の声に驚く私。
「あっ…!」
そこには日賀の姿。
「ズルはねーだろ?ズルは」
「良いじゃん!だって自分の当番じゃん!それを何?真面目を良い事に人に押し付けるのってどうかと思うけど」
「…………………」
「だったら断われよ!」
「あー、断っても無駄、無駄!強制的でしょう?真面目ちゃんは真面目ちゃんらしく言うことを聞け!みたいな事ありじゃん…はあぁ〜…こんな学校生活になるなんて思っても見なかった〜〜ぁ!」
「……………」
「友達と離れてるなんて超淋しーーっ!今頃は、カラオケとかさゲーセンとかー、後、後、ファミ(ファミレス)とかファーストフード店で、ダベ(しゃっべったり)ったりしてーー、放課後を大いに楽しんでたのになぁ〜」
「……終わったか?」
「えっ?」
「…お前…喋りだしたら止まんねーのな?性格にギャップあり過ぎじゃねーか?」
「やだ、これ普通だし!まだまだ、私の性格、本性知るのは程遠いよねーー。あんた」
「テメーに言われたくねーよ!さーてと部活、部活。ちなみに、お前の本性、知ろうなんて更々ねーから!」
「あっそ!」
日賀は去って行く。
ある日の女子トイレでの事だった。
「あら?あなた美人ね」
女子生徒が声をかけてくる。
ギクッ
「部活は入ってる?」
「いいえ。部活なんて、そんな……第一、私、眼鏡で本当の自分隠しているんです。ほらー、この通り。と、言うわけで失礼します」
私は頭を下げ、去り始める。
グイッ
私の腕を掴み引き止める女子生徒。
「あ、あの…ごめんなさい。私、そっち系じゃないので…至ってノーマルです!」
「えっ?やだ、違うわよ!」
「えっ?」
「私も、そっち系じゃないってば」
「………………」
「ねえ、マネージャーしてみない?」
「えっ!?マ、マネージャー!?いやいや向いてませんので!ゴメンナサイ!!」
私は足早に去った。
「彼女、マネージャーにはもってこいの容姿なのに。探しちゃおーーっと♪」
そして、ある日の事だった。
「あっ!いた、いた」
「あっ…」
「あなたでしょう?あなた2年生だったのね」
「はい!2年生です…あっ!ヤバ…」
「ねえ、ねえ。マネージャーしない?人手不足で探してるの」
そこへ――――
「あれ?綺乃(あやの)さん」
「あら?慶亮君、同じクラスだったの?」
「えっ?誰とですか?」
「彼女よ」
「彼女って?」
「隣の子」
「コイツ?ただの真面目ちゃんの転入生ですよ」
「いやー、それがねー……」
「あーーっ!」と、私。
「何だよ!!いきなり大声出すなよ!」と、日賀。
「ねえ、慶亮君、彼女をマネージャーさせたいの」
「いやー、俺は先輩一人で十分っすよ!それに、他にもマネージャーは、いるじゃないですか?」
「そうなんだけど、案外人手不足なのよ。しかも彼女みたいな美人いないから、私が是非推薦したくて」
「…えっ…?…び、美人…?いや、いや、いや…綺乃さん、おかしいですって!綺乃さんみたいな美人、コイツに、そんな容姿あるわけないじゃないですか!?」
「それがねー…」
「駄目っ!!絶対に…駄目です…。真面目でいさせて下さい…」
「…残念…じゃあ、気が向いたら、慶亮君に言って。それじゃ」
「…いや…一生ないかと思います」
「今はね~。それじゃ」
彼女は去った。
私も教室に戻ろうとすると道を塞がれた。
「何?」
「お前…何か隠してる?」
「何が?」
「綺乃さんが、お前に拘る理由分かんねーんだけど」
「私にもさっぱり」
眼鏡に手を掛ける日賀。
「…辞めて!」
「…あー…なるほど…お前…眼鏡かけてる理由が何となく分かった気がする。サッカー部のマネージャー、美人か可愛い系しかいねーんだよなーー。つまり、お前は…どっちかってわけだ」
「知りません!」
「眼鏡外せ!眼鏡女!」
「誰が外すか!」
「お前の容姿、絶対暴いてやる!」
「絶っ対にさせない!」
「じゃあ、もし、バレた時は…俺の言う事を聞け!」
「やだ!何様のつもりなの!?絶対にバレさせないから!」
「俺だって負けねーからな!」
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