外への冒険 その2
“クエスト・ギルドクエスト発生場所につく際、『クエスト発生 ○○』と表示されます”
そう表示しながらクエスト発生の表示がされる。
“クエスト発生 誰かやつを倒してくれ…”
「ああ、この通達…。あ、あなた様が私のクエストを受けてくれた…!」
「はい。スズムラハイロです」
そういうと、彼はオイオイと泣き始めた。
「うう…うわあぁぁぁ…」
「お、落ち着いてください!」
「うう…ま、まずはこちらに。報酬の相談を…」
「いいですよ。それより、どこにその対象がいるんですか?」
「え…?」
彼は驚きながら、それでも心を跳ねさせるようにそう言った。
「そ、それはうれしいんですが…その、報酬とか…」
「いいですよ。半分趣味みたいなもんなんで」
そもそも、これだけボロボロになっている彼から金を巻き上げる気になれない。そう考えた俺は彼にそれだけ伝え詳細を聞いた。
「…場所は、西の森の奥にある洞窟の中です。姿も能力もムカデみたいで、毒をよく使ってます」
「なるほど…ありがとう。じゃあ、行ってくるよ」
「ま、待ってください!」
後ろを振り返り行こうとする俺に彼はそう呼び止めた。
「もし…もしも娘のものがあったら、持ち帰ってきてくれないか?」
「娘さんの?」
「なんでもいいんです…何か、何か持ってきてくれないでしょうか!?」
そう言って頭を地面につけようとしてきた。
咄嗟に体を持ち上げ
「い、いいですよ!そんなことしなくたって。娘さんの遺品ですね。絶対持って帰ります」
そんな約束を交わすと
“サブクエスト発生 娘の記憶”
と書かれたウィンドウが出てきた。
まあ、大方のあれは掴めたので説明は省こう。
「では、行ってきますね」
「はい。幻影の加護があらんことを」
そう言って彼は俺を送り出してくれた。太刀を片手に森の中を進んでいった。
「…中々、苦労する道のりだな」
背丈の長い草ばかりが生えており、その草を折りながら進んでいく。
しっかし、この服つえぇなぁ。さっきから草があからさまな毒を吐きまくってんのに1ダメージも受けてねぇもんな~。
そんなことを考えていると
カサカサカサカサカサカサ…
「うっわ…」
何とも気持ち悪い足音が後ろを横切った。
後ろを振り返るとカタカタと顎を鳴らしながらムカデが出てきた。
何メートルも、何十メートルもある、デカいムカデが。
「気持ち悪!!!」
「カタカタカタ!」
開戦の合図もなにもなしにまるで狩りのようにムカデが襲い掛かってきた。
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