HP1という縛りを設けられた俺、文字通りの「言論統制」で危なっかしく地位を取っていた。

時雨悟はち

チュートリアル

創造

「やあ少年。まずは、ここに来てくれたことに感謝しよう」

「かれこれ、100回目の召喚ですからね。節目の祝いぐらいは今日用意しましょうか」

「ま、そんなことはいいんだ。それよりも、まずはおめでとう。君が望む、らのべ?みたいな世界に連れて行ってやろう」


………。


「すぅー…えっ…と…質問いいです?」

「おう。なんだ?」


「…ここ、どこですか?」



おかしい。

昨日かいつか。俺は確かに見慣れた家で寝ていた。

夜遅くまでソシャゲの周回をしながらゆっくりと去年流行ったアニメを見ていつの間にか寝ていたんだ。

今日は、というか起きてからはご飯を適宜食べ、ゆっくりアニメを消化するはずだったんだ。



それなのに…それなのに…



「ああ。自己紹介かい?いいよ。僕は始祖『ルシファー』。それでこっちが」

「始祖『ラファエル』です」


いかにも、異世界の化け物級のモンスターみたいな神のような貫録をした二人に見下ろされながら椅子に括り付けられてるではありませんか。

「えっと…僕はいったい、これからどうなってしまうんでしょうか…」


恐る恐る逸話やラノベでしか聞いたことのない二人に質問をする。


「えっとなあ。まずは、どこから話せばいいのか…」

「私たちは、あなたたちが『異世界転生』を文化と定めた日からここで異世界を創造してはあなたたちの世界から一人連れ出して、何か強い能力を渡し、こうして『異世界転生』をさせてるんですよ」


説明を聞いて、俺はわからないことが痛いほどわかった。

とりあえず、最近のラノベや異世界転生ものみたいになるんだと思い、聞いてみることにした。


「えっと…とりあえず、僕はこれから何か強い能力をもらって快適に暮らせるようになるんですよね?」

「ん~それがねぇ。最近だと“ハンデ”を与えた作品が多いのにそこら辺をなぜ考慮しないんだ、みたいな通達が来ちゃってなぁ…」

「つまり、あなたにはなにかしらの“ハンデ”を背負ってもらわないといけないんですよ」

「は、ハンデ…ですか…?」


いや確かに最近はそう言うの多いけど!ちがうじゃん!

やっぱ自分の立場ならもっとこう…無双して「俺つえー」状態になるのが異世界転生じゃん!


「んで、俺らで話し合った結果…」


ゴクリッ…と喉を鳴らす。




「ごめん!HP1で頑張って!」

「安心してください。ちゃんと強いスキルは付けます。では」

「えちょ!」


「待てー!」と叫ぶ声が亜空間のような次元の狭間に響いたかと思えば、いつの間にか見知らぬ森に出ていた。

待て待て待て!HP1とか言ってた?てか言ってたよな!?言ってた!

そ、そんな…どんなに強いスキルがあったって…




「HP1でどうすりゃいいんだよ!!!!!」

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