17歳

 1



「お兄ちゃんを……超えちゃったね」


 詩音はしみじみと言う。


 聞いた話では、四月の身体測定で詩音の身長は174センチに達したそうだ。


 まさか、妹に身長を超されてしまうとは、これは兄としてのプライドが……


 あわわわわ。


 小さい頃はカーテンに隠れられるほど小さかった詩音が、こんなに大きく成長するとは思ってもいなかった。


 部活も順調で、二年生にしてレギュラーの座を勝ち取ったという。


 これは世の男どもが放っておかないぞ。


「お兄ちゃん……」


 赤ん坊の頃の君を初めてこの手に抱いた時、僕はとても嬉しかった。初めてできた妹という存在。守るべき、小さな命。


 あのちっぽけな、一人では何もできなかった君が、こんなに立派に成長してくれた。


 ああ、誇らしいよ。詩音。


「お兄ちゃん」


 だから、


「……会いたいよ」


 そんなに泣かないでくれよ。


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