4歳
1
3歳の終わり頃、とある事故に巻き込まれ、詩音は大きな怪我を負ってしまった。幸い命に別状はなかったものの、大きな傷が左手に残り、事故当時の記憶も少し混濁してしまったという。
「にぃ……に?」
不思議そうに見上げる詩音の目はしかし、いつもの純真で愛らしい光を帯びている。父と母が辛そうにしているけれど、詩音は元気そうで安心した。
2
「にぃに、聞いて」
詩音は幼稚園に通い始めた。
園服に身を包み、頭には黄色い帽子をかぶる。いつも幼稚園から帰ってくると、どんな遊びをしたか、誰と仲良くなったか、など、幼稚園生活を楽しそうに語ってくれる。
「今日はねー、みーちゃんとあっちゃんとね、お城を作ったんだぁ」
左手の傷のことでいじめられたりはしていなさそうで安心した。
「にぃに、大好き」
僕も好きだよ、詩音。
愛してる。
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