1歳
1
「マンマ」
詩音は一言二言だけだが、意味のある言葉を話せるようになった。
とてとて、と部屋の中を歩き回ったり両親や僕の後ろをついて回る姿も愛らしい。
「パッパ」
一年前は布団の中で眠っているか、泣くかしかできなかった詩音なのに、もうこんなに大きくなってしまった。子供の成長というのは早いものである。
「おんま」
詩音は僕の肩を揺さぶりながら言う。
「おんま」
どうやらお馬さんごっこがしたいらしい。
愛する妹の要望にお応えして、僕は床に膝をつき、馬の体勢になった。
「おんま、おんま」
詩音はきゃっきゃと笑いながら僕の背に乗る。
それにしても『マンマ』や『パッパ』が言えるようになったのに、僕のことは全くだ。詩音が僕の名前を呼んでくれるのはいつになることやら。
「おんまおんまー!」
ま、焦ることはない。
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