ケース2 泉谷張の報告書

■被疑者の男性に聴取を行なった際の記録

 

「不特定多数の女性に対して盗撮行為を行なったことに関して弁明はありますか?」

 

「・・・」

 

 被疑者無言

 

「答えないということは認めるんですね?」

 

「・・・」

 

 被疑者無言

 

「中絶を強要し、従わなければ盗撮映像をばらまくと脅迫したことは事実ですか?」

 

「あ、あ、赤ん坊がくるぅぅうぁあぁぁあ!!!!」

 

 被疑者錯乱により聴取は中断。日を改めて聴取を再開するも「妊娠」「中絶」「性交」「赤ん坊」など特定の言葉(あるいはそれらを連想させる言葉)に反応し、度々錯乱状態をきたすため、聴取を断念。

 

 

■勾留期間の様子

 

「助けて!! 今すぐ出して!!」

 

「静かにしなさい。ここから出ることはできません」

 

「馬鹿野郎がぁああ!? 赤ん坊を出せ!!」

 

「赤ん坊などどこにもいません」

 

 被疑者はここで衣服をぬぎ上半身を露出する。

 

「いるんだよおぉおおお!! 俺の腹の中にいるぅう!!」

 

「??」

 

「こいつを摘出してくれぇ……今すぐ手術しないと……」

 

 被疑者は下腹部を掻き毟り始める。出血が認められたため、止む無く拘束衣を着せ拘束することにする。

 

 その後も一晩中激しく錯乱状態が継続した。精神鑑定の実施を要する。

 

■精神科医による精神鑑定の様子

 

「幻覚や幻聴がありますか?」

 

「そんなもんねぇ!! お前じゃ話にならねぇ!! 叔父さんを連れてこい!! すぐに帝王切開しないと間に合わなくなる!!」

 

「何が間に合わなくなるのですか?」

 

「馬鹿かテメエは!? この腹を見ろ!?」

 

 被疑者は腹部を露出し指差す。

 

「ストレスでガスが溜まり膨張していますね」

 

「はぁあぁあ!? 赤ん坊に決まってるだろ!? ガスがたまってこんなに膨らむワケねぇだろ!? カスが!!」

 

 

「レントゲンにもエコーにも何も映っていません」

 

 

「早く手術してくれよぉ……お願いします……お願いします……」

 

 

 被疑者はこの後泣き喚いて錯乱状態に陥る。

 

 

 医師の診断により被疑者の精神に著しい異常が認められたため、裁判は不起訴となり精神病院への入院が決定する。

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