第88話「月月に」の歌・読み人知らず:中秋の名月か仲秋の名月か?

今年の十五夜(二〇二〇年現在)、旧暦の八月十五日は、十月一日だそうです。

秋のお月見にちなんで、「月月に」の歌を取り上げてみます。


作者は不明で、出典は『一挙博覧』という書物という説がありますが、はっきりとはわかっていないようです。


===================


月々に月見る月は多けれど月見る月はこの月の月


===================


訳:

※※※※※


満月の月は毎月見られるけれど、月を見るのはやはりこの月(旧暦八月)の月であるなあ

※※※※※


  この歌は、高校生の時、古典の先生が雑談として教えてくれた歌で、印象的だったので、今でも覚えていました。

お月見の季節になると、毎年思い出します。


「月」が八つ重ねられていて、言葉遊びのような、何かの呪文のような印象です。

monthの月とmoonの月が出てきます。


太陰暦は月の巡りを基準にしているので、同じ字と発音になったのかもしれません


 お月見の行事は、お団子をお供えしたり、水鏡に映した月を愛でたり、昔から色々な楽しみ方がありました。


 宮中や貴族の家に仕える女房たちの間では、お芋を箸に刺して穴を開け、その穴から十五夜の月を見ながら、この歌を唱えるという風習があったそうです。

呪文のような、という印象はあながち間違いでなかったかもしれません。


●中秋の名月と仲秋の名月●


 お月見は、 旧暦八月十五日に月を愛でる行事。平安時代頃に、中国から伝わってきました。


 旧暦の秋は、七月、八月、九月とされていて、真ん中の月、八月は「仲秋ちゅうしゅう」と呼ばれていました。


 対して、旧暦八月1十五日(秋の中日)の月は、当日限定の呼び方として「中秋ちゅうしゅうの月」と呼ばれました。


「仲秋」と「中秋」で、紛らわしいですが、十五夜の月は「仲秋の名月」ではなくて、「中秋の名月」が正しい使い方のようです。

(記:2020-09-24)

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る