第44話明日・新美南吉:子どもたちへの希望と期待を込めた詩

 新美南吉の「明日」を読みました。

初出は雑誌「赤い鳥」(一九三二年)。

青空文庫で読みました。

https://www.aozora.gr.jp/cards/000121/card45095.html

底本は『日本児童文学大系第二十八巻』(一九七八年ぽるぶ出版)


新美南吉(一九一三年~一九四三年)は、 児童文学作家。北原白秋の童謡雑誌「チチノキ」参加、その後、鈴木三重吉主宰の雑誌「赤い鳥」に作品を発表しました。

良く知られている童話「ごんぎつね」の作者です。結核のため二九歳で早世しています。

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明日

          新美南吉


花園みたいにまつてゐる。

祭りみたいにまつてゐ る。

明日がみんなをまつてゐる。


草の芽

あめ牛、てんと虫

明日はみんなをまつてゐる。


明日はさなぎが蝶になる。

明日はつぼみが花になる。

明日は卵がひなになる。


明日はみんなをまつてゐる。

泉のやうにわいている。

らんぷのようにともつてる。


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  子どものための詩ですけれど、大人が読んでもワクワクします。


「明日が、みんなを待っている」ので、明日という未来が、子供たちをまっているんだよ、というメッセージなのだろうと思いました。

お外の草の芽やあめ牛やてんとう虫だって、明日も遊ぼうと待っているようです。


 誰かに待たれている、期待されていることは嬉しいことで、頑張ろうという気になります。子どもはそれに気づかないかもしれませんが、見守られている、愛情を注がれているということは感じているはず。


 そしてみんな少しずつ成長して、明日には、さなぎが蝶になり、つぼみは花に、卵はひなに、みんな成長して行くのです。子供たちも楽しく過ごしているうちいつのまにか大人に。


 現在の大人は、明日の子供の姿でもあります。明日は、いつか大人になる子供たちの成長を見守り、期待をしているのでしょう。

(記:2016-09-19)

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