第19話こがねひぐるまの歌・与謝野晶子:輝く太陽の花を髪に挿す

与謝野晶子の「こがねひぐるまの歌」を読みました。

和歌ですので 「こがねひぐるまの歌」というタイトルがついているわけではないのですが、わかりやすくするために勝手に私がつけました。


山川登美子、増田雅子、与謝野晶子、3人の共同歌集『恋衣』に掲載されている一首です。

著作権が消滅した作品を収録したウェブ図書館「青空文庫」で読むことができます。

https://www.aozora.gr.jp/cards/000318/card2086.html


和歌については学校の教科書に載っていた作品くらいしか知識がないのですが、女性が積極的に物が言えない時代に、毅然と顔を上げて女性の美しさ、誇らしさを歌い上げた与謝野晶子の歌に心引かれます。


===================


髪に挿せばかくやくと射る夏の日や王者の花のこがねひぐるま


===================


「こがねひぐるま」は晶子の造語らしいのですが、夏の日に燦燦さんさんと輝く向日葵ひまわりのことです。


 黄金色に燃えながら回転する火車とは、なんと与謝野晶子の情熱的な歌にふさわしい表現でしょうか。


 当時の若い女性の髪は長かったでしょうから、豊かな黒髪に挿した花の王者は光り輝き、美しさを更に際立たせたでしょう。


  それにしても、近年のように品種改良した、小振りな向日葵があったのかどうか、当時あった向日葵は大きかったのではないかと、無粋な想像をしてしまいました。


もしも実際に髪に挿したとすれば、見た目はかなり奇異な姿だったのではないかと思います。


それでも、若くてはつらつとした女性のたわむれは、誰にも止められません。


 見る人は誰でも、向日葵のような輝かしい生命力に打たれ、目が離せなくなるはず。

何をやっているんだかと呆れる反面、微笑ましく思うのではないかと想像するのです。

(記:2016-08-01)

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る