第3話七夕のころ・金子みすゞ:言葉の重なりが優しい
童謡詩人、金子みすゞの「七夕の頃」を読みました。
『金子みすゞ童話全集』収録の一篇です。
金子みすゞと言えば、東北の大震災後、テレビCMが自粛されていた時期、ACのCMで盛んに流れて注目されましたね。
私もあの時、改めて詩集を読み直して癒やされたひとりです。
===================
七夕のころ
金子みすゞ
風が吹き吹き笹藪の
笹のささやきききました。
伸びても伸びてもまだ遠い、
夜の星ぞら、天の川、
いつになつたら、届かうか。
風がふきふき大海の
波のなげきをききました。
もう七夕もすんだのか、
お空の川もうすれるか。
さつき通つた旅びとは、
五色のきれいな短冊の
さめてさみしい、笹の枝
===================
この詩は音読して味わいたい詩です。音の重なりが心地よく響きます。
「笹のささやき」「なげきをききました」「さめてさびしい笹」
日本語って美しいな、優しいなと実感します。
三節に分かれている詩は、最初に手が届きそうも無い遠い空を詠み、次に、大海原、最後に旅人を歌っています。
つまり、天(夜空)と海(大海)と地(旅人)と、この地球にあるものすべてに目を注いでいるように感じます。
そして、どの節にも風が吹いて、空と海と地上を繋いでいるのです。風はもしかしたら「空気」かなと想像しました。
(記:2016-07-07)
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます