種族の鑑

コンサリモン

第1話 完結 種族

近所の親同士が集まり、楽しくバーベキューをしている。

「あいつら、楽しく遊んでいるな」

俺の友達の奥さんにこう言った。

「そうですね」

陽気な子供達が集まって遊んでいる様子は愛おしい。

「スコップで地面を掘って遊んでいるが、そのまま池でも作ってくれるとうれしいのだがな、その池に金魚や植物で彩ってやれば貧しい庭が潤う。」


この庭は家を建てる時に妻が何の目的もなしに取り敢えず「庭はつけるわよね?」と家に庭があるのは常識だよ?みたいな言い方だったため、庭付きの家を買ったけど、やっぱし使わない。


「うちの夫に頼めばやってもられるんじゃない?」

「そういえば、あいつの職業は庭師だったな。

昔、自分の先祖の種族が植物を育てたり、池を造ったりと何世代にも渡り継がれてきた職業らしいな」


「あなた、それ本気で信じているの?」


「え?」


「私の友達に歴史の研究者がいるの。その種族について調べてもらったところ、もう何世紀も前に絶滅しているわ」


「それはあいつに言わない方がいい。ひどく怒るだろうからな」


「あたしも怒らせたくないからまだ言ってないのよ。『最後の種族』とか誇っていたから」



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