第十四幕 42 『一丸』


 ステラの攻撃が占星術師に通じるかも知れない。


 それが判明してからの私達のフォーメーションは、ステラを中心としたものとなる。

 後衛である彼女を、残りの全員が護りながら弓の射線を確保する。



 先程、占星術師が行使した魔法により生み出された六体の龍が、一斉にステラに襲いかかろうとするが……!!



「させるかっ!!」


「させませんわ!!」


 テオとルシェーラが力を合わせて地龍を叩き割る!!



「[水塊]!!」


 メリエルちゃんの水魔法が雷龍を受け止め……!!



「風には風![霞風]!!」


 シフィルの風魔法が風龍を吹き散らす!!



「[絶凍気流]!!」


 そして、私の冷気魔法が炎龍を……



「[[滅天火]]っ!!」


 ミーティアとシェラさんの火炎系神代魔法が、水龍と氷龍を纏めて蒸発せた!!



 幸いにも……占星術師の異能は、自身に対する攻撃にのみ効果を表すようだ。

 私達への攻撃が必中になる、とかじゃなくて良かったよ。




「『星天弓』!!」


 六体の龍が消滅すると、ステラが攻撃に出る!


 同時に幾つもの矢を天に向かって放ち……それらが無数の流星となって敵に降り注いだ!!


 広範囲を覆い尽くす攻撃……回避は困難だと思うが、どうだ!?



「……面倒な。[大聖封神]」



 あれは……以前、ミーティアが黄金竜ミロンのブレス攻撃を防いだときの結界魔法か!!


 占星術師が展開した光のドーム状の結界に無数の流星の矢が当たると、結界に波紋を残してピタリと止まってしまう。


 だが……



 ピシッ!!



 結界に罅が入る!!

 そして……!



 パリィンッ!!



 破裂音とともに占星術師の結界が破られた!!



 しかし、流星の矢もその衝撃で弾かれてしまい、敵にダメージを与えることは叶わなかった。




「やっぱり、一筋縄ではいかないようね」


 攻撃を防がれたステラが悔しさを滲ませる。



 異能を抜きにしても強敵には違いないということだ。

 どうにか意表を突ければ……と思うのだが、占星術師としてはステラの攻撃だけに注意すれば良いのだから、中々難しいものがある。


 せめて、もう一人攻撃を当てられる人がいれば……


 そう、私が思った時。




「……プラタ。お願い。私達に力を貸して!!」


 すると、ステラの願いに応えるように、彼女傍らに眩い光が輝き……

 それが収まった時、白銀に輝く美しい毛並みの巨狼が現れた。


 この前、ウィラー大森林で出会ったルナ・ウルフと同じ姿。


 プラタとステラは言ったけど……私には分かった。



 あれは!

 私のベストモフモフパートナー!

 ポチだ!!


 ついに成獣の姿で喚び出せるようになったんだね!!



「ポチっ!!大きくなったね!!」


「ウォウッ!!」


「あ、あら?喚び出す時に名前を呼んだはずなんだけど……ま、まあいいわ。プラタ!連携して占星術師を倒すわよ!!前衛をお願い!!」


「ウォンッ!!」



 ステラの指示を受けたポチは短く一声吠えると、ステラの銀矢と変わらぬほどのスピードで、占星術師に肉薄する!


 それを援護するようにステラも矢を連射!!



「……ち」



 流石の占星術師もこれまでほどの余裕は無い様子で、舌打ちしながら回避行動を取る。






 そして、更なる激しい攻防が繰り広げられる。



 前衛攻撃要員にポチが加わったことで、ステラの攻撃は苛烈さを増す一方で、占星術師の反撃もより一層手数と威力が増す。


 攻撃を当てることができない私達は、ステラを全力で護ることに全神経を集中させる。










 そんな膠着状態が長らく続いたあと。


 占星術師は……



「こうなっては埒があきませんね。攻撃にリソースを割くことにしましょう」


 そう言って、上空に舞い上がった!!


 何をするつもりだ……?




「このままでも殲滅できると思ってましたが……些かあなた達を侮っていたようです。……どうやら勘違いしているようですが、私の異能は防御特化と言うわけではありません。纏めて葬って差し上げます!!」



 まさか……あの『運命を操る』異能は、攻撃にも使える!?


 マズい!!



 必中の神代魔法とかシャレにならないよ!!




 焦る私達を尻目に、占星術師から膨大な魔力が放たれ……





 そして……



 私は衝撃の瞬間を目の当たりにした!!

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