第十二幕 50 『続・集結する力』
[絶唱]の共鳴。
それは学園での出会いがもたらした奇跡だったのかも知れない。
アリシアさんの[絶唱]の歌声が導くままに、内なる衝動の赴くままに発動したリル姉さんの
そして、それは調律師から放たれる黒い波動を徐々に押し返す。
「む……これは滅魔の光?不味いですね……。黒魔巨兵よ!他の有象無象は無視してカティア姫を狙いなさい!!あなたたちでは長くは耐えられませんよ!!」
『『『ガァーーーッッ!!!』』』
調律師の指示に従い、巨人たちが私に狙いを定めて襲いかかってくる!!
「させるかっ!!!」
テオが私の前に立ち塞がって防戦の構えを取るが……!
「ちっ!!総員カティアを護れっ!!今の我らなら止められるはずだっ!!!」
父様が指示を出すが、巨人が猛烈な勢いでこちらにやって来る!
私は歌いながらもリヴェラを腕輪から薙刀形態に変化させ、迎撃体勢を取る。
凌げるか……?!
だが、もうすぐそこまで巨人が迫った時……!!
「お母さんは私が護る!!くらえ!!
ドゴォーーーンッッ!!!
突然上空から声が聞こえたと思ったら、少女モードのミーティアが先頭を走っていた巨人の頭部に凄まじい勢いで飛び蹴りを決めた!!
巨人はたまらずに後方へ倒れそうになるが、何とか踏み留まったようだ。
ミーティアまで来たのか……でも助かったよ!!
「ミーティア!!他のヤツにも気をつけろ!!」
見事な飛び蹴りを決めて着地したミーティアにテオが注意を促すが……
「大丈夫!!おじちゃん!!ミーちゃん!!
ミーティアはテオに答えてから天を仰いで言った。
そこには赤と金の巨大なドラゴンが……!
『おじちゃんじゃねぇと言ってるだろが……しかし最近出番が多いから、まだそんなに力は溜まってねぇんだがな……』
『ふははは!!この王都内であればダンジョンパワァが届く!!我は無敵ィィ!!』
あ……またミロンが暴走してる……
私達を巻き込まないでよ!?
2体の竜の
そして……!!
『グオーーーーッッ!!!!』
ゼアルさんの細い光線のように絞り込まれた炎のブレスが巨人の一体を頭上から貫く!!
『くらいなさい!!メ○ド○オン!!!』
こちらも一点に集中した光のブレスが別の巨人を貫いた!!
て言うか、リュートはどれだけ仕込んでるんだ……
ブレス攻撃を終えたゼアルさんは、その場からすーっと消え去り、ミロンも見る見る縮んで元の妖精の姿へ戻った。
ミーティア達の急襲で3体の巨人は私の目前で動きを止めたが、未だ健在だ。
滅魔の光に曝されて全身に纏っていた瘴気は散らされ、少しずつその身体も蝕んでるようだ。
あともうひと押し……!!
ブレス攻撃で大ダメージを負った2体に止めを刺すべく騎士たちが殺到しようとする。
だが、それよりも前に……
「我らも加勢します!![符術・式紙嵐斬刃]!!!」
凛とした女性の声が響くと共に、無数の紙吹雪のようなものが巨人達に纏わりついて、それら一つ一つが鋭い刃のように全身を斬り刻んでいく!!
声がした方に視線を向けると、そこには護衛に囲まれた黒髪黒目の女性……エフィメラさん!?
あ、ガエル君もいる!
紙吹雪は巨人に纏わり付きながら全身をズタズタにしたあと、集まって巨大な二振りの刀のようになり……止めとばかりに袈裟がけに振り下ろされた!!
『『グガァーーーーーッッッ!!?』』
ズズンッ……!
肩口から斜めに斬り裂かれた2体の巨人はついに地に沈む。
傷口からボロボロと崩れ、黒い灰が光の中に溶けるように消えていく。
巨体だから消滅までは時間がかかりそうだが、こうなればもう復活は無いだろう。
これで残るは巨人一体と調律師のみ!!
勢いに乗った私達は、このまま最後の巨人も打倒せんと集中砲火を行おうとする。
だが……!
「……まさかここまでやるとは。ですが、まだ終わりではありません!!」
滅魔の光で押し返していた黒い波動が、調律師の方に収束して行く。
より濃度を増したそれは、彼女の身体を覆って……3対6枚の漆黒の翼を形作る!!
キィィーーーーン………
あの甲高い音が耳障りなほど強く鳴り響く。
そして闇を凝縮したような3条の漆黒の光線が、調律師がかざした掌より放たれて、一直線に……既に倒れてボロボロに崩れかけた2体の巨人にも、未だ健在な巨人にも吸い込まれる。
「最後の力を見せなさい!!『黒魔合身』!!」
すると、黒い波動に包まれた巨人たちは……その巨体をドロドロに溶かして一つに融合していく!!
「キッショ!!?」
「グロテスクですわ!」
「ちっ!まだ何かあるってのか!!いい加減しつけぇっ!!」
溶けて混ざりあい、黒い巨大なスライムのように……いや、グネグネと蠢きながら何らかの形になっていく!!
『キシャーーーーッッッ!!!』
現れたのは更なる異形。
12本の脚と6つの目を持った…体長は20メートルを優に超えそうな蜘蛛のような魔獣。
そのプレッシャーは桁違いだ。
だけど……それは悪手だよ?
私には、アレを倒すための筋道がはっきりと見えていた。
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