第十二幕 10 『武術対抗戦〜初戦』
武術対抗戦の初戦、ルシェーラ対ドロテア先輩の戦いが始まる。
武舞台の上に立つ二人は既に準備万端の様子。
二人の気合が高まっていくのが観客席(立ち見だが)にいてもヒシヒシと伝わってくるようだ。
『さあっ!!いよいよ始まります本年度の学園クラス対抗戦!!その初戦を飾るのはやはりこの競技!!対抗戦の長い歴史の中で常に花形競技として君臨し続けました武術対抗戦です!!』
おお……中々本格的なアナウンスが入るね。
放送部のアナウンサーの煽り文句に会場のボルテージは益々高まっていく。
そして、審判を務めるスレイン先生が武舞台に登場すると、その熱気は最高潮となった。
「これより、武術対抗戦第1回戦第1試合、1年1組ルシェーラ=ブレーゼン対3年3組ドロテア=ウィンパーの試合を行う!!」
ワァーーーーッッ!!
先生の宣言に大歓声が上がった!
「二人とも、準備は良いか?」
「大丈夫ですわ」
「問題ないです」
「よし。では、正々堂々、悔いのないように!!……始めっ!!」
そして、ついに戦いの火蓋が切られた!!
『さあ!戦いの火蓋が切られましたが……先ずはお互い様子見のようです!』
司会の人の言う通り……戦闘開始直後、先ずはお互いに相手の出方を伺うような静かな立ち上がりだ。
「最近のルシェーラは立ち上がりが静かよね……」
「そうだね。戦闘スタイルが変わった……と言う程では無いけど、色々と意識してるんだろうね」
敵をよく見て自分の持ち味をどう活かそうかと考えながら戦うようになったのでは、と思う。
そして彼女の持ち味といえば、猛烈な突進から繰り出される、全てを飲み込む怒涛の如き攻撃だろう。
一見して大味なのだが……その実、一気呵成に責め立てられると反撃する隙を見出すのも難しかったりする。
まさに攻撃こそ最大の防御と言ったところだろう。
一方のドロテア先輩も、先ずは様子見のようだが……
彼女の武器からすれば、ルシェーラと同じような戦闘スタイルなのかもしれない。
間合いは同じくらいで距離が噛み合うだろうし、パワー重視なところも。
試合開始後、暫くはお互いに牽制しながら間合いを測っていたようだが……
「……!先輩の方が動くみたい」
ぶわっ!と、一気に闘気が高まるのを感じる!
そして、まだ距離があるにも関わらず大剣を大きく大上段に振りかぶって……
一気に振り下ろす!!
これはっ……!!
剣術スキル『剛断』かっ!
衝撃波が武舞台を削りながら、ルシェーラに襲いかかる!!
「せやぁーーーーーっっ!!!」
パァンッッッ!!!
直撃する寸前、ルシェーラは裂帛の気合とともに
うわ〜……避けるとかじゃなくて力技って……
っと、防がれるのを予測していたらしいドロテア先輩は、衝撃波を追いかけるようにして間合いを詰めていた!
『剛断』を迎撃した体勢で隙ができたルシェーラを狙って大剣を横薙ぎに振るう!!
ガキィンッッ!!
即座に反応したルシェーラは地面に叩きつけていたハルバードを振り上げて大剣を上方に弾きながら、自身はそれを潜るように身を屈めて回避した。
そしてそのまま身体が泳いだドロテア先輩に突進して体当たりをぶちかます!!
ドンッッ!!
「っ!!」
流石にこれは回避できない先輩は後方に吹き飛ばされるが、何とか体勢を立て直して再び大剣を構え直す。
ルシェーラも深追いはせず、そこで一旦仕切り直しとなった。
『おおっと!!一瞬のうちに激しい攻防が繰り広げられました!!ドロテア選手が仕掛けましたが、ルシェーラ選手は見事に防ぎきり反撃が決まったようです!!』
わぁーーっっ!!
二人ともすげぇぞっっ!!
ドロテアせんぱ〜いっ!!がんばって〜っ!!
ルシェーラちゃん!負けるな!!
息をもつかせぬ一瞬で繰り広げられた一連の攻防に、
昨年以前も活躍したであろうドロテア先輩の人気はかなりのものだが、ルシェーラも負けてないね。
声援は五分五分といったところだろうか。
そして、戦いの方も……最後はルシェーラが一撃を見舞ったが、実力はほぼ拮抗しているように見えた。
やはり学園の3年生……それも昨年の準優勝者ともなれば、ルシェーラと言えども油断できる相手ではないね。
そして、戦いはこれからが本番だろう。
再び二人は対峙し、さらに激しく激突する……!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます