第十幕 52 『魔の歌姫』
ラミアクイーンとの戦いが始まり、先ずは一通りの攻防を終えてお互いに有効打なし。
その中でも敵の能力はいくつか明らかにした。
厄介なのは毒霧だ。
ただ、タメが必要みたいなので、兆候を見逃さなければ回避は難しくは無さそうだ。
超音波のような衝撃波は、威力は低いものの発動が早く全周囲に放てるのが強みか。
取り囲んで一斉攻撃しても防御として使用されると切り崩すのが難しいかもしれない。
「今度は私が初手を撃つよ!行けっ[雷蛇]!!」
回避、防御が難しいという判断で、雷撃の魔法を放つ!!
魔法により生み出された雷の蛇が、絡み合いながら的に向かっていく。
既に味方は着弾のタイミングに合わせて行動を開始している。
刹那の間に到達する雷撃。
しかしラミアクイーンは手にした剣の一本で絡め取るようにしながら地面に突き刺して無効化してしまった!
ちっ!!
やはり知力も相当なものだ!
そのまま味方の連携攻撃は続行。
しかし、初回の攻防の焼き直しのように全ての攻撃は防がれる。
六本の剣による鉄壁の防御、長大な蛇尾と衝撃波によるカウンターだ。
「ちぃっ!!攻撃力はそれほど脅威は無ぇが、防御が巧いな」
「全く…あまり時間がかけられないって時に、厄介なタイプだね」
「カティア、時間を稼ぐから、大きな魔法を頼む!!」
「分かった!!」
蛇っぽいから冷気系で……
…?
ふと、違和感を覚える。
何だ…?
これは……歌?
高く澄んだ美しい声がゆったりとしたメロディを奏でているのが聴こえてきた…
すると、何だか思考に靄がかかり始め、急激に眠気が襲ってくる……
周りを見ると、皆の動きが緩慢になっているのが確認できた。
…
……
……!
マズいっ!!
私はハッとなって無理矢理に頭を覚醒させると、対抗するように歌い始める!
眠気を吹き飛ばすような、活力あふれるアップテンポな曲だ。
[絶唱]の効果が発動し、覚醒の魔力が歌声に乗って響き渡る!!
「!何だ!?戦闘中に寝てしまいそうになったぞ!?」
「アイツの歌だよ!私の[絶唱]と同じようなことが出来るみたい!」
「マジかよ…」
本当に攻撃のバリエーションが豊富だよ。
っと!?
また何か歌ってる!
今度は何っ!?
…
……
……?
何も起きない?
どういうことか……と、周りを見る。
すると、何やら皆が身悶えしている?
何をされてるんだ?
私自身には異常は感じられない。
何が起きているのか把握できなければ対処のしようがない…!
「カティアちゃん!あんたは大丈夫かい!?」
「え?あ、お義母さまも?」
どうやら私とお義母さまには効いてない様子。
一体何なんだ?
おそらくは精神攻撃の類っぽいが…
「ちっ!取り敢えず考えるのはあとだね!身動きできないところを狙ってるよ!!」
お義母さまが警告する通り、ヤツは何らかの状態異常攻撃を行ったあと、行動不能になったところを直接攻撃しようとしている。
「させるかっ!!」
「やらせない!!」
テオを狙って振るわれた六本の剣による斬撃を、私とお義母さまが分担してさばき切る!!
キィンッ!!
キキィンッ!!
「う…カティア……」
「大丈夫!?テオっ!!」
「まったく情けない!!しっかりしなっ!!」
苦しげにうめき声を上げるだけで、私達が声をかけても反応がない。
「カティア……ああ…お前がそんな大胆だったとは……」
ふぁっ!?
にゃに!!??
はっ!?
わ、分かった!!
「お義母さま!!魅了です!!」
えっちぃ夢でも見せられてるんだ!!
「!だから男だけなのか!!」
「どうしよう、魅了を打ち消すにはどうすれば…」
ラミアクイーンの攻撃から皆を護りながら、どうすべきか咄嗟に判断することができない。
「私に任せなさい!!……このボンクラどもぉっっ!!!!目ぇ覚ましなぁっっ!!」
そう言って、お義母さまは大きく息を吸い込んで大声で一喝する!!
闘気……というか怒気が衝撃波となって周囲に伝播する!!
「うおっ!?」
「な、何事っ!?」
「どわぁっ!?」
どうやら一斉に皆目覚めたようだ。
流石はお義母さま!!
頼りになるね!
しかし、このラミアクイーン…
毒に睡眠、魅了と搦手の攻撃が厄介すぎる。
何とか状況を打開したいところだが…
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます