第49話:木工製品




 雑貨屋の在庫がヤバイらしい。


 庭でシロとラッキーと獣人の子供達と熊家族と遊んでいたら、獣人の中でも管理職の人が報告に来た。

「特に白い木工食器が人気だそうです」

 あぁ、うん。

 普通なら無い色だもんね。


 でも、まさかそんなに売れると思って無いから、まだ取引先というか仕入先?を探していない。

 店内いっぱいの在庫が、オープンして1週間でそんな事になるとは……。

 いや、そもそもが乱雑に置かれてたから、いっぱいって認識が間違ってたのか?


「えぇと、とりあえずアザトースに相談してみるわ」

 管理職の彼を待たせていても解決しないので、報告だけを受けて解決策は先送りにした。

 作ろうと思えば森の木で俺も作れるだろうけどねぇ。

 根本的な解決にならないからねぇ。




「それこそ、獣人で木工細工とか作れる者は居ないのか?」

 仕事から帰って来たアザトースに相談したら、そんな答えが返ってきた。

 確かに!!

 森の整備隊に配分されている人達は、「木に関係する仕事をしていた人」という大雑把な括りだったはずだ。

 何人かいるかもしれないな!


 ……って、ゴメンね。

 女の子なのに、整備隊に配属されている子が何人か居た。

 どう考えても力仕事じゃない「木に関係する仕事」をしていたよな。

 俺の指示が簡単過ぎて、おかしな仕事の割り振りに!!


「え?ワタシ、元々木の剪定せんていしてました」

 細いし力が無さそうなので整備隊に向かないのかと思いきや、木登りが得意で身軽な猿の獣人でした。

 奥が深いな、獣人。



 さて。

 結果的に何人か木工職人がいました。

 なんと整備隊配属の女の子は、全員が元々森の管理をしていました。

 思い込みっていうか、先入観?差別?してたみたいです。はい。

 無意識なので性質たちが悪いです。

 すみませんでした。はい。


 それで、丸太を軽々抱えそうなオッサンが木工職人の中にいて、それはそれでビックリ。

 細かい飾り彫りが得意だそうだ。

 神経質そうなオッサンは、家具職人だとか。

 若者二人が、待望の木工食器の職人だ。


 まずは皆の作品を見せてもらう事にした。

 何でも良いから得意なものを作ってもらって、出来上がったら俺に見せもらう事にした。

 余りにも超大作を作られても困るので、期限は1週間。

 目一杯1週間使っても良いし、途中で持って来ても良い事にした。


 木工食器の二人は、1週間の間に色々作って、1個出来上がる度に持って来ていた。

 クオリティは高いので、表面にニス的な何かを塗って、俺が浄化と言う名の漂白をしたら、そのまま商品になりそうだな。


 ゴツいオッサンは、様々な大きさの女神像や日本で言う欄間に飾りそうな透かし彫りを持って来た。

 確かに細かくて、凄い技術だな。

 これは注文商品にした方が良いかも。

 客第1号は俺で、シロとラッキーの置物を頼むつもりだ。


 そしてもう一人、神経質そうなオッサン。

 アンティークショップで見るような、むしろオークションで見るような、アールヌーヴォー調の飾り棚キャビネットだった。

 これは、漂白したら駄目なヤツ!!

 この木目を活かして、そのまま年月を重ねて重厚な黒光りが味になる家具だよ!



  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る