第40話:いらっしゃ……あれ?




 色々有りましたが、本日、獣人奴隷が到着します!


 アザトースに怒られたり、マリンに叱られたり、アザトースに呆れられたり、エドアルドに呆れられたり……あれ?



 獣人の大人に話を聞いたら、獣人兄妹の名前も決められるな。

 前に名前を決めようとしたが、種族により禁忌な名前とかあるらしく、大人に話を聞いてからの方が良いという事になったのだ。


 友人がどこかの国で自己紹介したら、下ネタだと思われたと嘆いていたな。



「ヨッシー様、獣人達が到着しました」

 物思いにふけっていたら、エドアルドが呼びに来た。

 俺の護衛として、エドアルドと彼の獣魔を俺の側に配置するのだ。


 初っ端にシロとラッキーは可哀想だとの配慮だ。

 俺には可哀想の意味が解らないが「そういう時は、顔合わせの時のシルバーウルフ達を思い出せ!」とアザトースに言われた。

 あの降伏の腹出しポーズね、はいはい。



 とりあえず、全員馬車を降りて庭に集合!

「女性が倒れました!」

「子供が粗相おもらしを!」

「馬車から降りたら動けないのが何人も!!」

 隣国から獣人達を連れて来た商人なのか、護衛なのか、彼等も馬車から離れようとしない。


 動き回って色々報告しているのは、全てうちで元々働いている人達だ。

 顔合わせの為に来ただけのアランとジョエルまで動き回ってる。


 ところで、何でこんなに大騒ぎ?


〈あ~ヨッシーさぁ、熊家族って庭に居なかったっけ?〉

 居るよ。庭に住んでるもん。

 たまに警備員として、門の所まで見回りしてくれてるんだよ。

 本当、良い家族だよね。


〈それじゃね?〉

〈それですね〉

 え?何で?




「俺達もヨッシーに毒されてた!」

 頭を抱えてひしがれてるアザトース。

 熊家族を前にしても、呆れはしたけど驚かなかったもんな。

 確かにシロやラッキーに比べたら、インパクト少ないよな。


〈セルを知っちゃうと、ピッコロじゃ驚かないよな!しかも今は味方だし!〉

 何、ウマイ事例えた俺!みたいになってんの?ガイア。

 しかもそれ、伏せ字なくて大丈夫?


「熊兄さんは鍛錬仲間だし、頼れる門番だ!」

 うん、それは否定しない。

 ボールスと熊兄さんは、暇さえあれば一緒に鍛錬してる。

 知らない人が門に近付くと、1番に飛んで行くのも熊兄さんだ。



「誰が何て言っても、マーダーグリズリーは世間では凶悪なモンスターです!」

 マリンが怖い。

「いきなり野放しのマーダーグリズリーを見て、驚かない人がいますか!?しかも、獣人の方々は私達よりも強さとかそういうのに敏感なのです!」

 反論はできません。はい。


「とにかく!可哀想なので、はやく部屋割りをして休ませてあげてくださいね」

「はい……」

 思わず「お母さん」と言いそうになってしまった。

 マリン母さん。子育てした事無いはずなのに、お母さんだよな。


「では、親の居ない子供達は、うちであの子達と一緒に育てましょう」

 スーザン母さんだ。

 あの子達とは獣人兄妹の事だ。

 今、獣魔術師家族は、屋敷の2部屋に住んでいる。

 男女に分かれているのだ。


 彼等は孤児院的な感じの一軒家を建てた方が良いかもな。

 獣人の子供も一人二人ではなさそうだし。



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