第39話:熊さんも仲間入り




「おかえりなさ~い」

 お出迎えしたら、若干名気を失って倒れた。

 ごめんなさい。

 シロが地面に潜って下に行き、優しく受け止めたから、怪我はないみたいだ。

 良かった。


「何を考えているんですか!子供達も居るんですよ!」

 マリンに思っクソ叱られた。

 いや、シロとラッキーに馴れてれば、マーダーグリズリーくらい大丈夫かなぁ?って、思ったんです。ハイ。


「えぇと、従魔ですかね?」

 エドアルドに聞かれた。

「え?あれ?そういえば、別に従魔契約とか特にしてないな」

〈完全な野生のマーダーグリズリーですね〉

 アートモが言うなら間違い無いな。


「完全な野生のマーダーグリズリーみたいだ」

 皆がピシッと姿勢を正したので、紹介しようか。

「この顔に傷があるのがお母さん。で、一際小さいのがその子供ね。ちょっと大きいのがお母さんの弟、大人の中で1番小柄なのが妹」

 俺に紹介されて、順番に頭を下げていく熊家族。


 今度は使用人達を紹介していく。

 料理人二人は居ないけど、まだ買い物してるのかな?

 でも食器は、ファミレスにいっぱいあるからなぁ。

 食材を買ってるのかもな。

 業務用冷蔵庫と業務用冷凍庫が並んでいた厨房。

 テンション上がって買い過ぎてないと良いなぁ。



 エドアルドに会釈された。

 ん?何だ?

 あ、今度は手招きされた。

 テコテコと歩いて寄って行くと、ガシッと両腕を掴まれた。

「何をしてんですか!何を!」

 熊達に聞こえないように声を抑えながら、それでも俺を怒鳴りつける。


「何って、何?熊家族、良い熊達よ?」

 だって悪い魔物を自主的に狩ってたんだよ?

「良い悪いでは無く、野生のモンスターが敷地内に居るのが問題なんです!」

「え?何で?」

「これから奴隷が五十人増えるんですよね?」

「あぁ、うん」

「襲われない確証は無いですよね?」

「え?有るよ」


「え?」

「え?」

 何か話が通じ無いな。

「熊家族は、果物とか魚とか食べるんだって。小動物すら食べないのに、人間は襲わないでしょう」

「何でそう言い切れるんですか?」

「え?だって熊お母さんが言ってたし」


 エドアルドがピシリと固まる。

「あれ?俺、動物とかモンスターと話せるって言って無かったっけ?」

「聞いてませんよ!」

 うん。ごめんね。



「獣魔術師には夢のスキル」

 絵文字のOTZみたいになってる人、初めて見たよ。

「野生の……マーダーグリズリー」

 俺からもう一度ちゃんと話をして、熊家族が従魔じゃないけど、安全な事を皆に説明した。


 今度は怒られなかったけど、呆れた顔をされた。

 そして目がキラキラしてるのが一名。

「フリー。フリーのマーダーグリズリー」

 従魔術師家族の長女テッサだった。




 後でアザトースとボールスにも熊家族を紹介した。

「一緒に鍛錬しようではないか!」

 これは脳筋ボールス。

「おま!ふざっ!え?何してんの!?もう嫌だ~コイツ~」

 こっちはアザトース。


 ボールスには、相撲の練習用の土俵を作ってやろう。

 思う存分、熊と相撲をとるが良い!

 異世界の坂田金時!

 銀じゃ無いよ。金だからね。


 後日、土俵で熊と相撲をとっているテッサを見て、相撲はを着けるルールは断念した。

 ボールスと熊がしてたら面白いと思ったんだけどね。

 とにかく、怪我だけはしないようにな~。



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