第36話:守秘義務契約が必要です




 タウンハウスも同じように作った。

 もうアザトースは何も言わなかった。

 いや、言ったな。

 「結婚したら、俺もここに住みたい」と。

 でもここは獣人奴隷の家だから!

 守秘義務が魔法で完璧な彼等だから、ここに住めるんだよ……と、後付けした理由を言っておいた。


 タウンハウスにはキッチンが有るが、ワンルームマンションには無い。

 男の一人暮らしなど、間違いなく栄養が偏るからだ。

 朝、昼、夜と食べられる食堂を別に建てる!と決めていた。



 料理人が二人いても、本邸ではそれほど仕事が無いので、食堂を建てたら働いてくれるそうだ。

 俺としてはファミレスみたいなのにしたいのだが、良いかな?良いよね?


 温かいデニッシュパンにソフトクリームが載ってるアレとか、フワフワのスフレパンケーキとか良いよね。

 季節のフルーツのパフェとか、フルーツたっぷりのロールケーキとか!


 いや、栄養偏りまくりじゃん、俺。

 糖の方とか言いたくないから!

 本当に蟻がたかるのかな?

〈教えてエロい人、って書いてどっかで聞いてこい〉

 どっかってどこ!?

 しかも別にエロいネタじゃないから。

〈これも古いのか……〉

 なぜかガイアが落ち込んだ。




 ガイアの知識をフル活用して、を作った。

 ……電子レンジはセーフですか?

 フライヤーとか、製氷機は有りですか?

 ご丁寧に、メニューのレシピと機械のマニュアルも用意されていた。


 料理人二人は、本邸以外の建物は立ち入り禁止の方向で。

 こちらの都合ですみません。


 獣人の中にも料理人は居るだろう。

 元々獣人奴隷の為の食堂だしな。

 そこに俺がお邪魔するだけだ。うん。




「え?嫌ですけど!?」

 ファミレスが食堂じゃなくてになってしまったので、料理人二人は働けない事を告げた。

 そしたら二人に速攻で拒否られたんですけど!?


「や、でも、どっかでポロっと話しちゃったら駄目な感じで……」

 詳しく話さずに説明する難しさよ!


「それなら、守秘義務の契約しちゃえば大丈夫!」

 は?料理人に守秘義務ないよね?

「魔法で制約が掛かれば、話したくても話せないですよね?」

 アランもジョエルも譲らない。

「雇い主は俺じゃなくてボールスだから、勝手に契約出来ないし」

 何で守秘義務契約で制約が掛かる側のがやる気満々なんだよ!



 まぁ、俺の抵抗虚しく、契約成立したんだけどね。

 ボールスが「本人が良いなら、別に良いのでは?」と軽く流してくれたからね。


 そして今はファミレスの厨房の中。

 マニュアル片手に、二人で色々やってる。

 本邸の厨房要らなくね?

 もう皆、ここで食べると良いよ!

 食費の件は、アザトースとボールスだけ有料にすれば良い。

 王宮の食堂と同じシステムだな。

 食材は俺が一括で払えば良いよな!


 獣人の食費を稼ぐ為にも、あの店もちゃんとオープンしよう。


 あれ?

 俺、働いてばかりいないか?



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