第37話:大人の休日?




 今日は何もしない日です。


 気が付いたら、俺ってば働き過ぎじゃない?

 いきなりお店のオーナーになったり、奴隷が五十人も増えたり、やらなきゃならない事は山積みだ。

 でもね、でもね!!


 1日くらい何もせずに遊ぶ日があっても良いよね?



 広い庭の木陰に木製のサマーチェアを置いて、テーブルの上にはクッキーやポテトチップスなどのジャンクフードと、キンキンに冷やしたビールが置いてある。

 大人の休日の定番、昼からアルコール摂取してダラダラ過ごすを実行中だ。


 なぜビールがあるのか。

 それはファミレスに生ビールサーバーがあったからだよ。

 ドリンクバーもあるが、昔のタイプで厨房の中に設置されていた。


 好きなだけどうぞ、なドリンクバーだと、奴隷達は遠慮して誰も飲まない気がするので、これで正解だと思う。

 この生ビール用も含めたドリンクサーバーが、掃除しなくても0時になると勝手に浄化される優れもの。

 サーバーの掃除って、意外と面倒なんだよな。



 そんなこんなで、ダラダラとくつろいでいたら、大きめのビーチボールくらいあるボールを咥えて、ラッキーが寄って来た。

 このボールも、あの二人の手作りなんだろうなぁ。

<ヨシツグ遊ぶ~?>

「おう、いいぞ!」


 自分に身体強化を掛けて、思いっ切りボールを投げる。

 屋敷を越えて、裏の森に飛んでいった。

 我ながらよく飛んだな!

<ぃいやっほぉう!>

 テンション爆上げでラッキーが飛んで行った。


 今、ラッキーが行った地域はまだ手付かずだけど、まぁ大丈夫だろう。

 明日あたり、ちょっと伐採というか間引き?して、陽の光が入るようにしなきゃな。




 なんか、思った以上にラッキーが帰って来ないな。

 さすがに敷地は越えないだろうし、変な所に引っ掛かったとか?

 でも空も飛べるし、色んな所の通り抜け出来るから、ボールが見つからないとかも無いだろう。


「なぁ、シロ。ラッキーが帰って来ないんだけど大丈夫かな?」

 俺の横で日向ぼっこしているシロに聞く。

 上半身を起こしたシロは、ラッキーが飛んで行った方向をジッと眺めた。


<大丈夫よ。新しいが出来たみたい>

 それだけを言うと、シロはまた寝始めた。

 新しいお友達って何!?



 獣人兄妹は、今日はマリンと買い物に行っているから、屋敷には居ない。

 従魔術師家族は、街の従魔ギルドに再登録に行って、その後はやはり買い物だ。

 ほら、五十人も人が増えるからね。

 何かと入用いりようなのよ。


 因みに俺は従魔ギルドに登録しなくても良いそうだ。

 従魔を使って仕事をする人が登録するらしい。

 奴隷落ちして奴隷商の私物扱いになると、一度登録が削除されるのだとか。

 身元の保証をどこがするのかって事だろうか。

 それとも中間マージンをどこが得るかなのかな。



 なんてボーッと考えていたら、やっとラッキーが帰って来た。

<ただいま!>

 明るい声で元気に挨拶をしたラッキーの口には、グッタリとした毛むくじゃらが!!

 よく見たら、背中にもしがみついている毛むくじゃらが二匹。


 あ、背中のが力尽きたのか滑り落ちた。


 ラッキーの背中に居ると小さく見えたけど、地面に落ちた体は俺の倍はデカイ。

 てか、熊?熊だよね?

 しかもエライ凶悪な顔してんだけど!


 そしてラッキーの口から降ろされた熊は、気を失っているにもかかわらず、ラッキーのボールをしっかり抱えていた。



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