第34話:森の開拓始めました




「ふおぉぉぉおお!」

 買った敷地全体を特殊な柵で囲い、屋敷と森の境の柵を無くした。

 森に居る動物とかモンスターとかが屋敷の敷地に来ないのかと心配したら、「シルバーウルフが居るだけでも大丈夫ですが……」とエドアルドに言葉を濁された。


 それはシロとラッキーを恐れて、動物どころかモンスターも来ないって事かな?

 害意の無い子だったら、遊びに来て欲しいなぁ。


<遊びに行って来て良い?>

 ラッキーがワクワクした様子で聞いてくるけど、木に激突するぞ?

〈スコルですから、木など通り抜けますね〉

 あぁ、そうだった。

 どうも前世のハスキーの頃の記憶が強くて。

 ハスキーって、ちょっとお馬鹿さんなんだよな。

 帰巣本能もあまりなくて、犬のくせに迷子になるってテレビで見た時、納得したもんな。


「良いよ、行って来な。誰か居たらお友達になって、連れておいで」

 栗鼠リスとか小動物が居たら良いな。



 敷地を囲った電気柵もどきは、商人の商品の中にあった魔石を利用して、半永久的に稼働するすぐれものだ。

 ガイアに言われた通りに魔石に魔法陣を刻み、電気柵に組み込む。

 パリリっと、電気が通ったのが見えた。


〈オッシャァ!!ウルフでも丸焦まるこげだぜ!〉

 ガイアが嬉しそうに言うけど、いやいやいや、ちょっと待て。

 ウルフ丸焦げにしちゃ駄目だろが!

 吃驚ビックリして逃げる程度にして!


〈しょうがねえなぁ。魔法陣構築し直して、魔石に刻み直しだな〉

 そんな事出来るのか?

 とりあえず危険だから、柵から魔石を外す。

 魔石に刻んだ魔法陣を破棄し、新たな魔法陣を組み直した。


〈魔法陣とは、面白いものですね〉

 アートモが俺の手元を見て、感心したように呟く。

 まぁ手元を見ているかは、実際には判らないんだけどな。

「ここでは魔法陣って無いのか?でも魔導具あるよな」

〈魔導具は、本体に付与魔法を掛けて、魔石を動力にします〉

 電池式の電化製品みたいな感じか?


 ガイアの漫画や小説などにある魔法陣という概念の知識と、アートモの魔法の知識を足して作られた、俺にしか使えない魔法陣作成魔法。

 うぅん、チートだ。



 敷地の内周は木を残して、なるべく外から見えない場所にマンションを建てる事にした。

 4階建てで、ワンフロアに8戸のワンルームマンション1棟。

 タウンハウス型で1階に玄関がある2階建て4戸のを4棟建てる事にする。

 獣人奴隷は家族が少ないらしいので、増えたらまた建てようと思う。


 えぇと、木を伐採して、根を掘り起こして、根は畑の肥料に、本体は木材に。

 木材は家具を作るのに使えるし、無駄が無くて良いね。

空気刃エアカッター

 ドズウン、ドガン、ドウン、ドスン、と地震かと思うほどの地響きがした。

 ごめんなさい。

 倒れた木の事を考えていませんでした。


「何したぁー!?バカタレがー!!」

 遠くからアザトースが叫ぶ声が聞こえて来る。

 そうだよ。

 プロがいるんだから、整地まではやって貰えば良かった。


 俺は、凄い形相で走って来るアザトースを、笑顔で迎えた。

 よろしく頼むよ!魔術師様!!



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